「午前十時の映画祭14」でスティーヴン・スピルバーグ監督、ハリソン・フォード主演の「インディ・ジョーンズ」シリーズ三部作(って、まだあと2本続篇がありますがw)を鑑賞。
3作とも日本語字幕担当は戸田奈津子。
すでに3月で去年4月から続いていた「午前十時の映画祭13」は終了、「午前十時の映画祭14」では第一弾として「インディ」三部作を4/5(金) から4/25(木) の3週間で1作品1週ずつの上映。
各作品の感想は以前書いているので、今回は「午前十時の映画祭」で観た、という記録のために短めに書き残しておきます。
必然的にシリーズのネタバレも含まれますから、まだご覧になっていないかたはご注意ください。
僕はこのシリーズは3作目の『最後の聖戦』からリアルタイムで劇場で観ていて、だから1作目の『レイダース』と2作目の『魔宮の伝説』はこれまで映画館で観たことがなかったので、どうしても押さえておきたかったんですよね。
2021年に「マトリックス」シリーズの最新作が劇場公開されると翌年の22年に最初の三部作が、その同じ年に「ジュラシック」シリーズが完結すると翌年の23年に最初のシリーズ三部作が「午前十時の映画祭」で上映されたように、去年シリーズの完結篇が公開された「インディ」シリーズにも期待していたんだけど、さすがですね。しっかりと応えてくれました。
ほんとはさらに4作目の『クリスタル・スカルの王国』もあるんだけど、そちらはだいぶ年月が経った2008年作品だし、もともと80年代に作られて当初は『最後の聖戦』でおしまいだと考えられていたシリーズですからね。
そういえば、今年の「午前十時の映画祭14」では最新作『マッドマックス:フュリオサ』(感想はこちら)の公開に合わせてジョージ・ミラー監督、メル・ギブソン主演の『マッドマックス』(1979) とその続篇が上映されますが、こちらは3作目の『サンダードーム』が見事に無視されてますねw 一緒に上映してやってくれよ^_^;
『レイダース』は冒頭での巨大な丸い石に追いかけられるシーンが有名で、「宇宙刑事ギャバン」でもパクってましたが(あちらはヴィデオ合成だったけど、こちらはほんとに作り物で撮っている)、最初の公開版では丸い巨石の両端に木の棒が突き出ていて、それで石を転がしていたんだけど、DVD化された時に映像が修正されて木の棒が消えていました。
今回の劇場上映ではどうなってるんだろうと思ってたけど、DVDと同じ処理がされていました。もうあのオリジナル版は観られないのかな。昔のVHSとか金曜ロードショーで放映されたものを観るしかないんでしょうかね。
それから、インディとマリオンが閉じ込められていた「魂の井戸」から脱出する場面で、インディたちが大きな石を押し出して外に出るんだけど、重いはずのその石が地面に落ちてまるで発泡スチロールのように弾んでいるのが影でわかる。
そこは修正してあるんだろうか、と観ていたら、そのまんまでした。軽そうw
僕は特にこの1作目から3作目までは金曜ロードショーの吹替版に馴染みがあったので(DVDも持っていたから、もちろんオリジナル音声版だって観てはいたけど)、戸田奈津子さんの字幕はやはり省略が多くて、大事な情報が結構抜けているのが気になった。
字幕には字数制限があるから、しょうがないのはわかってるんですけどね。
インディとマリオンのやりとりなんかも、細かいニュアンスが字幕だと伝わりづらくて。
『最後の聖戦』で、オーストリアの古城でインディがタペストリーを観にきた貴族に扮すると、執事から「あなたがスコットランド貴族なら、私はミッキーマウスだ」と言い返されるんだけど、その台詞も字幕では「ミッキーマウス」が完全に消えていたし。
だから、オリジナルの言語を聴きながらも、僕は吹替版の方を思い浮かべながら観ていました。
マリオンの声をアテていた戸田恵子さんって、マリオン役のカレン・アレンさんと声がよく似てるんですよね。
「あたしアメリカ人よ!」という戸田さんの吹き替えの声が聞こえてくるようだった。
アメリカ人だったら特別扱いしてもらえる、という考えも疑問が湧いてくるけど。昔は当たり前のようにそういう描写があったな。現地の人は野蛮人扱い。
マリオンはとても印象深いヒロインだったけど、続篇2本には出てこなくて、27年後の『クリスタル・スカルの王国』でようやく再登場。
これはちょっと不思議ではありますよね。まぁ、007映画がそうだったようにヒロインは主人公の相棒、というよりもアクセサリー的な扱いだった、ということだろうけど。場の賑やかし、というか。でも重要な役割だったんだけど。
それはこうやって三部作を続けて映画館で観たことでより実感しました。
たとえば『魔宮の伝説』のヒロイン、ウィリーはインディからも「騒々しい女」と言われるし、終始叫び声を上げていて多くの観客からも「ウザキャラ」みたいに見做されているけれど、あらためて観てみて僕はウィリー役のケイト・キャプショーさんのコメディエンヌとしての才能に惚れぼれしたし、彼女のおかげでこのグロ趣味満載の映画が笑えるものになっていることがわかる。ものすごい功労者なんだよね。インディ、ショーティ、ウィリーの3人のコントのようなドタバタ劇、この映画はほぼそれで成り立っている。
ウィリーのクルクル変わる顔の表情、泣きそうだったりキレまくったり、かと思えばパジャマ姿でインディにデレたり。
実に80年代的なヒロイン像というか、奔放で頭軽めな女性なんだけど(ダイヤと聞いて目の色変えるとことか)、けっして憎めない。ケイト・キャプショーさん自身もウィリーの役についてはそういう主人公の足を引っ張るようなキャラクターとして受け取っていたようだけど、でも繰り返すけど彼女がいてくれたからこの映画は格段に面白くなっているんだよね。ちゃんと役に立ってもいるし。
僕はウィリーという女性キャラクターや彼女を演じたケイト・キャプショーさんのコメディ演技はもっと評価されていいと思う。
彼女は『ブラック・レイン』(感想はこちら)では主人公のマイケル・ダグラスに力を貸す女性の役だったけど、あの映画ではウィリー的なコメディ演技を披露してくれることはなかったから、もっとキャプショーさんのキュートで面白い演技が見たかったな。2000年代の初めぐらいまでは俳優の仕事をしていたようだけど、今ではスピルバーグ夫人として家庭に入っているんでしょうか。
ショート・ラウンド(ショーティ)を演じたキー・ホイ・クァンさんが久しぶりに俳優に復帰してオスカーを獲った『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(感想はこちら)の授賞式のあとに、スピルバーグ監督とケイト・キャプショーさん、そしてハリソン・フォードさんがキーさんと再会して抱擁してましたね。感動的な場面だった。
あれから40年なんだもんなぁ。そりゃ、みんな歳取るわけだよね。
キー・ホイ・クァンさんが“データ”役だった『グーニーズ』も僕は映画館では観ていないから、いつか観たいな。007のテーマ曲に乗ってドタバタやってたよね(^o^)
以前の『魔宮の伝説』の感想には、特撮にそんなにときめかなかった、みたいなことを書いたんだけど、やっぱり劇場で観ると迫力が全然違ったし、CGではないミニチュアやマットペインティングなど見応えがありました。
特に砲撃や爆発の音などは劇場が揺れるほどの臨場感で、映画館で観ないとこのシリーズの真価はわからないとつくづく思った。
観にきてるのはほとんどがイイ歳したおとなたちだったけど、週末だったこともあって子連れの家族も見かけたし、ゲテモノのシーンとか楽しかったですね(^o^)
白人のヒーローがインドの貧しい人たちを救う、という今だったらちょっとどうかと思うストーリーだし、残酷描写などやり過ぎぶりが批判もされているけれど、ここまでマンガ的な描写をエスカレートさせたということでは映画史的には特筆すべき作品だと思うし、良くも悪くも80年代のアクション・アドヴェンチャー物の極北と言えるかもしれない。
序盤のカーチェイスのあとに飛行場ではインディたちをダン・エイクロイドさんが飛行機に案内していたけれど、彼は同じ年に公開された『ゴーストバスターズ』でメインのキャストを務めていたし、その「ゴーストバスターズ」シリーズの最新作は現在も公開中。今、一体西暦何年なのか(;^_^A
『魔宮~』はシリーズの中でも異色作ではあるけれど、一番テーマパーク的でしたよね。
再びナチスとの戦いが描かれる『最後の聖戦』のヒロイン、エルザ役のアリソン・ドゥーディさんは最近ではインド映画『RRR』(感想はこちら)でも悪役を演じていて、健在ぶりが確認できてよかった。
ショーン・コネリーさんのヘンリーパパ、味があるよねぇ。
「孫娘みたいな女」と一夜をともにする、という、この息子にしてこの父な感じは初公開時に観た時同様に全然リアリティを感じなかったけど(だって堅物な人だったはずでしょ。なんで急にジェームズ・ボンドみたいになるの?^_^;)。
でも、ナチスの兵士たちを機関銃で撃ち殺しまくる息子に「なんてことを…気は確かか?」と驚くところなど、ほんとに可笑しかったし、確かにインディがやってることは普通じゃないよね。いや、ショーン・コネリーさんだって007シリーズでかなりの人を殺めてますが。
この父親役の存在の説得力が、インディ・ジョーンズというキャラクターにさらに厚みを加えたことは間違いない。
ハリソン・フォードさんは60代で『クリスタル・スカル』を、そして80代で『運命のダイヤル』に主演して、コネリーさんのヘンリーパパよりもずっと年上になった。
スター・ウォーズでハン・ソロは殺されてしまったけれど(あ、ネタバレごめんなさい)、インディはけっして死ぬことはなく、そして消え去ることもなくて、これからも僕たち観客にその作品は観続けられる。
『レイダース』と『魔宮の伝説』は初めて劇場で、『最後の聖戦』も初公開以来35年ぶりに映画館で観ることができて、ほんとに胸が一杯になった。
多くの若い人たちや子どもたちは昔の映画にはあまり興味がないかもしれませんが、『最後の聖戦』を観にいったら小学生の男の子とお父さんが来ていて、上映前に「どまんなかアニメ映画祭」(5/17~19)の宣伝をやってて、そのお父さんが「これ観たいなぁ」と言うと、息子くんが「観ればいいじゃん」とちょいツンな返しをしていて微笑ましかった。インディの方も絶対にお父さんが観たかったんだよなw
このシリーズは「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズ同様に、世代間の垣根を超えて共通の楽しさを味わえる貴重な作品群だと思うんですよね。
もうこういう映画は作れないかもしれないけれど、かつて人々を熱狂させたシリーズを、たまにこうやって映画館で観るのは最高の贅沢だな。
さて、これからも「午前十時の映画祭」は観たい作品だらけなのでなかなか大変なんですが、楽しみです。