映★画太郎の MOVIE CRADLE 2

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「ガウディとサグラダ・ファミリア展」


つい先日終了してしまいましたが、名古屋市美術館で去年の12月19日(火) から今年の3月10日(日) まで開催されていた「ガウディとサグラダ・ファミリア」を観てきました。

gaudi2023-24.jp

スペイン・バルセロナを中心に活躍した建築家アントニ・ガウディ (1852-1926)。世界遺産に登録された独創的な建築群は、バルセロナの街を鮮やかに彩り、訪れる世界中の人々に驚きと感動を与えます。「人間は、創造しない。人間は発見し、その発見から出発する」という言葉を残したガウディは、世界中の建築様式を学び、大自然から有機的なフォルムや幾何学的な法則を発見し研究することで、独自の造形原理を作り上げていきました。本展では、140年以上の時を経ていよいよ完成への道が見えてきたサグラダ・ファミリア聖堂にスポットを当て、100点を超える図面や模型、写真、資料、さらには最新の映像をまじえながら、サグラダ・ファミリア聖堂の造形の秘密に迫り、ガウディ建築のオリジナリティーを明らかにします。

「未完の聖堂」サグラダ・ファミリア。1883年に二代目建築家に就任したガウディは、事故で亡くなる1926年までの人生をこの聖堂の建築に捧げました。ガウディの死から約100年が経ち、さまざまな建築家の手が加えられながらも、この聖堂がガウディの代表作として知られるのは、外観や内部の構造、彫刻などのすべてにガウディの思想が流れ、その遺志が後世に受け継がれているからです。本展では、ガウディの手による模型や彫刻から彼独自の造形思想を紹介し、今日までの聖堂計画案の変遷を辿ります。(展覧会チラシより)


週末だし、もう終わる直前だから当日券売り場の前にズラ~ッと列ができてた。こんな長い期間やってたことを知らなくて、ぎりぎりになっちゃいましたが。

会場内は、老若男女大勢の人たちでごった返していて、小さな子もいたし、ギャン泣きしてる赤ちゃんも。そこまでして観にきたかったのね(^o^)

例のごとく、僕は建築家のアントニ・ガウディも彼がたずさわったサグラダ・ファミリア(聖家族教会)のことも名前を知ってるぐらいで、だからそのサグラダ・ファミリアが2026年完成予定だったということも今回初めて知りました。コロナ禍の影響により、完成はさらに先に延びたようですが。

ガウディって1926年に73歳で亡くなってるので、ずいぶんと前の時代の人だし、サグラダ・ファミリアは1882年に着工ということだから140年以上も作り続けているわけで、それはもう壮大というよりは狂気の香りがする。

そもそもサグラダ・ファミリアって、最初からガウディが手掛けていたのではなくて、彼は二代目の責任者なんですね。死ぬまで40年ぐらいもサグラダ・ファミリアのために人生を費やした。

なんでガウディが亡くなって100年経っても、まだ完成しないのか。

細かい設計図ではなくて模型を作って完成形を思い描いていったガウディの構想したデザインを調査して、最先端の技術を導入して建て続けられているんですね。

昔ながらの方法で、しかもどこをとっても一つ一つが大量生産できないからなかなかはかどらなかった、というのもある(お金もかかるし。費用は観光客の入場料で賄われている)。だから2000年代に入って技術の進歩とともに飛躍的に建築が進んだようで。

あの独特の形のいくつもの細長い塔は、糸にくくりつけた重りをたくさん垂らして、それを上下逆さにした形を用いたんですね。なるほどー。


サグラダ・ファミリア聖堂。柱の形にもこだわりがある。

1936年に始まったスペイン内戦でサグラダ・ファミリアの資料の多くが失われて工事も中断してますが、スペイン内戦、といえばビクトル・エリセ監督の『ミツバチのささやき』(感想はこちら)の背景にあったし、『エル・スール』(感想はこちら)でもかすかに触れられていました。

映画に絡めて意図して観たわけではないけれど、同じスペインで140年間作り続けられていれば当然時代が重なる部分もある。

ガウディがデザインしたカサ・ミラなんて、波打つような家の形がどこかダリの絵を思わせたりもするんだけれど、ダリはガウディの建築物から影響を受けたりしているんだろうか。かなり癖の強いデザインですよね。住みにくそう^_^;

グエル公園なんて、カラフルでテーマパークのようだし。ピクサーのアニメみたい。

ガウディの作品群の画像はお借りしました。

洞窟や動植物など、自然の形をモティーフにしたり、今回の展覧会でも展示されていた逆さ吊りの重りと糸の作る放物線を利用したり、一見すると感覚的に作られたような壁の模様だとか、うねり、不思議な形の部分がどれも細かく計算してデザインされているのがわかった。

そりゃ、ただ感性に任せて建物を作っていたら耐久性が心配だし、それこそ140年以上も作り続けているのなら、はっきりとしたコンセプトがなければまともな建造物として成立しないでしょう。どっかの村の建て増しし過ぎた謎の建物みたいになってしまう。

彫刻も彫刻家に頼まずに自分で作ったり、ガウディがそれ以前の時代のどんな建築物からヒントを得たのかとか(イスラム美術など)、どんな資料を読んだのかとか、そういうことも説明されていました。

それにしても、なぜこんなに多くの人たちがガウディとサグラダ・ファミリアに惹かれるのだろう。

サグラダ・ファミリアの外観や内部がスクリーンに映し出されていたけど、まるでファンタジーの世界のようなんですよね。昔の宮崎駿監督の映画の世界なんかを思わせる。

こういうところにみんなロマンを感じるんだろうなぁ。


100年近くも前に亡くなった建築家の思い描いた巨大な教会。

もともとは人々の信仰を取り戻すために始められた建築が、これほどの大事業になるとは、誰が想像できただろう。

でも、これはある時期から永遠に完成しないままずっと作られ続けるのではないか、と、人々も、それから工事にたずさわる人たちも感じていたのではないか。

天にそびえる塔、イエスやマリアなど、聖書にまつわる人物たちの像。

輝く星や、まるでピカソの「ゲルニカ」の中に描かれていたような牡牛の首。

圧倒される大きさと崇高さ。古典的な美と現代美術が融合したような造形。

スペインに行くのはなかなか難しいから、こうやって部分的にスペインの名所を巡っているような感覚を味わうことで、芸術に触れたようなそんな気持ちで会場をあとにしました。

うっかり荷物を入れたロッカーの中に財布を入れたまま入場してしまったため、残念ながら音声ガイドは借りられませんでしたが(ナヴィゲーターは城田優さん)、それでもしっかり二時間ぐらいかけて観終えて(常設館は今回は寄らなかった)、外に出るとまだ当日券の列が並んでた。すごい人気だなぁ。

なかなか面白くて興味深い催しでした。


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