映★画太郎の MOVIE CRADLE 2

※2019年の“はてなダイアリー”終了に伴い、2018年9月にブログを移行しました。

『ビッグ』

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ペニー・マーシャル監督、トム・ハンクスエリザベス・パーキンス、デヴィッド・モスコー、ジャレッド・ラシュトン、ジョン・ハード、マーセデス・ルール、ロバート・ロッジア出演の『ビッグ』。1988年作品。

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小学生のジョッシュ(デヴィッド・モスコー)は移動遊園地でレトロなゲーム「ゾルター」に「大きくなりたい」と願い事をする。翌日、彼は大人になっていた。母親(マーセデス・ルール)に家を追い出された大きくなったジョッシュ(トム・ハンクス)は、すでに移動されてしまった「ゾルター」を探してニューヨークまで行くことに。

ストーリーやラストについての言及があります。 

 

先日DVDで久しぶりに観た『プリティ・リーグ』のペニー・マーシャル監督作品。

ei-gataro.hatenablog.jp

僕はこの映画はリアルタイムで映画館では観ていないんだけど、翌年に同じくトム・ハンクスが主演したジョー・ダンテ監督の『メイフィールドの怪人たち』(かなり好きな映画)は劇場で鑑賞しました。

その時点では確かトム・ハンクスのことはもう知ってたから、もしかしたらそれ以前にTVで放送された『スプラッシュ』(1984)を観ていたのかもしれない。

『ビッグ』も多分TVかなんかで90年代頃に観ました。

こちらも久々に観て、あらためて小さな映画だったんだなぁ、って思った。

主人公の少年が中身は子どものまま見た目が大人になってしまって、でもニューヨークで運よくオモチャ会社に就職できて、子どもならではの感性であっという間に出世していく、という夢物語。

でも、そこで少年時代と大人の社会の決定的な違いに主人公とともに観客も気づかされていく。

トム・ハンクスの「こどもおとな」演技が実に愉快で、その「外見は大人だが中身はピュア」というキャラクターと演技は94年の『フォレスト・ガンプ』に繋がっていく。

ヒロインのスーザンに「私のことどう思ってるの?」と真剣な顔で尋ねられて、ニヤつきながら丸めた紙で「なんだよ」と彼女をペシペシ叩くとことか最高。 

ジョッシュのイノセンスはやがて失われていくものでもあって、そこには切なさが伴う 。

これは少年が大人の世界を知って少し成長する、という形を取りながら、実は大人のスーザンがおさげ髪だった頃の少女時代の自分を思い出して、それが永遠に過ぎ去ったことを実感する物語でもある。

ようやく見つけ出した「ゾルター」に再び願い事をして家に戻ることにしたジョッシュがスーザンに「一緒に来ない?」と言うと、彼女は「私はもうその時を通り過ぎたから。一度で充分」と答える。

「あの頃」はもう二度と戻ってはこないし、戻ることはできない。戻るわけにはいかない。

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スーザンはジョッシュのことを「あなたのような人は初めて」と言うけど、彼女がうんざりしている会社の男たちもかつてはジョッシュのように無邪気で屈託のない少年だったのだ。

ジョッシュは少年のように純粋無垢な大人の男性ではなくて、少年そのものだ。

だからスーザンと惹かれ合っても抱きしめ合ってキスし合うところまでで、彼女がいくら待っててもその先には進まない。ジョッシュにはセックスも大人の恋愛もまだ理解できない。キスしてせいぜいおっぱいに触れるぐらいまで。

そのことがわかった時、スーザンは自分の「あの頃」は遠い昔に過ぎ去ったことを痛感する。自分はジョッシュの姿を通して「あの頃」を思い出していたのだ、と。

そして、お別れにジョッシュの唇にではなく、おでこにキスをする。大人が子どもにするように。

たわいない変身譚のようでありながら、これは大人になった者たちがしばし子どもの頃を振り返り、また日常に戻っていく、ほんのいっとき人生について考えさせられる映画でもある。

果たしてジョッシュは10年後もスーザンのことを覚えているだろうか。

この映画が公開されて30年が経ち、ジョッシュを気に入って副社長に抜擢するマクミラン社長役のロバート・ロッジア(『インデペンデンス・デイ』『ロスト・ハイウェイ』)は2015年に、それからこの映画ではジョッシュを目の仇にする嫌な奴ポールを演じている、その後「ホーム・アローン」シリーズのお父さん役でお馴染みになったジョン・ハードも2017年に亡くなっている。

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少年時代のジョッシュや親友のビリー役の子役たちは今何やってるのかもわからない。

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確実に時間は過ぎて、人は老いてやがてこの世を去っていく。

僕はスーザン役のエリザベス・パーキンスを他の映画でも見たような記憶があるんだけど、彼女のフィルモグラフィを確認してみても「これだ」というのがなくて、なんかモヤモヤしたままでいます。綺麗な女優さんですよね。

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この映画の中で、いかにも大人の世界を頑張って渡り歩いている、という彼女のツンと澄ましていた顔に戸惑いの表情が浮かんだり、やがてそれが笑顔に変わる瞬間がとても素敵。

『ビッグ』はファンも多い作品だから、これからもエリザベス・パーキンス=スーザンは人々の心に残るヒロインで居続けるでしょう。

それにしても、トム・ハンクスの俳優としての息の長さはほんとにスゴいと思う。

80~90年代に一世を風靡した監督や俳優たちの顔と名前を見かけることが少なくなってきた今でも第一線で活躍していて、主演も務めている。

何か、映画界をずっと歩き続け見つめ続けてきた人といった感じで、でも威圧感はない。

それはこの『ビッグ』や『プリティ・リーグ』の時の彼の軽妙なユーモアが今でも記憶に残っているから。トム・ハンクスのあの笑顔には人懐っこさと胡散臭さ(笑)とけっして悪人になれない善良さを感じる。

年齢を重ねると若い時のように身体を動かしまくって笑いをとるのは難しくなってくるだろうけど、でもまたコメディに出てくれないかなぁ。

時々こうやって昔の映画を観るのもいいものですね。それではまた、お会いしましょう。

 

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