映★画太郎の MOVIE CRADLE 2

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『ライトスタッフ』


フィリップ・カウフマン監督、サム・シェパード、スコット・グレン、デニス・クエイドエド・ハリスフレッド・ウォード、パメラ・リード、バーバラ・ハーシー、ヴェロニカ・カートライト、キム・スタンレーほか出演の『ライトスタッフ』。1983年(日本公開84年)作品。オリジナル193分版。

原作はトム・ウルフのドキュメンタリー小説「ザ・ライト・スタッフ」。

音楽はビル・コンティ

第56回アカデミー賞作曲賞、編集賞、音響効果賞、録音賞受賞。

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1947年、モハーヴェ砂漠で行なわれた飛行実験により空軍のテストパイロットのチャック・イェーガー音速の壁を破る。以降、ジェット機による飛行速度の記録更新が相次ぐことに。1957年のソ連による人工衛星打ち上げで巻き起こった“スプートニク・ショック”は米ソの宇宙開発競争をより激化させ、「マーキュリー計画」によって選ばれた“マーキュリー・セブン”と呼ばれる7人は、厳しい訓練の末、それぞれが任務を帯びて宇宙に向かう。


「午前十時の映画祭12」で鑑賞。

先日の『アポロ13』(感想はこちら)に続いてNASAの宇宙開発にまつわる実話をもとにした映画の名作を鑑賞。

といいながら、僕はこの映画をちゃんと観るのはこれが初めて。


84年の劇場公開時にはもちろん、その後BSなどで放送されたものも最初から最後まで観通したことはなかった。

どうやら日本では初公開時には160分にカットされて上映されたようですが、今回は193分のオリジナル版での上映。

200分近い上映時間、しかも休憩も無しということでかなり緊張感を持って臨んだおかげで、鑑賞中にトイレ危機に陥ることもなく、無事観通せたのでした。

ただ、すでに多くのかたがたに「名作」「傑作」と高く評価されている作品だけに滅多なことが言えなくて困るんですが、観終わったあとはここまでこの作品が大勢の人々に絶賛されている理由がいまいちわからなかった。

えっ、ここで終わるんだ、みたいなエンディングだったし。

それは僕がこの映画に初公開時にリアルタイムで触れていないからだろうし、原作本も読んでなくて作品に対する思い入れがないからだと思うんですが。

やはり、84年当時に映画館で胸をときめかせた思い出のある人々と今回初めてこの映画に触れた僕とでは、作品に対する熱量や航空機映画、宇宙飛行士を描いたパイオニア的作品としての本作品へのリスペクトの度合いが全然異なるのだろうし。

僕はむしろ、先ほどの『アポロ13』や、あるいは『ファースト・マン』(感想はこちら)など、その後作られた映画たちとの時代的、人脈的な繫がりがとても面白かったですね。


「マーキュリー・セブン」本人たち。後列左からシェパード、グリソム、クーパー、前列左からシラー、スレイトン、グレン、カーペンター

ライトスタッフ』で描かれる7人の宇宙飛行士「マーキュリー・セブン」のメンバーの一人でスコット・グレン演じるアラン・シェパードは劇中で「俺は月に行くぞ」と呟くけれど、『アポロ13』でトム・ハンクス演じるジム・ラヴェルがアポロ14号に搭乗するはずだったのが13号のメンバーと交代することになったのは、船長のアラン・シェパードが中耳炎になったから。シェパードはその後、映画の中での宣言通り、アポロ14号で月に降り立っている。


マーキュリー・セブンの一員でありながら病気のためマーキュリー計画では宇宙に行けなかったディーク・スレイトンは、『アポロ13』でジム・ラヴェルの上司として登場している。

また、『アポロ13』でも冒頭で少し描かれていたし、『ファースト・マン』でもその事故の模様が再現されていたアポロ1号の訓練中の火災事故で命を失った宇宙飛行士の一人が、『ライトスタッフ』でフレッド・ウォードが演じたガス・グリソム。

ライトスタッフ』の中で、宇宙船のスイッチを押していないのに勝手にハッチが開いてカプセルが水没してしまうエピソードがあったけれど、その時の教訓が仇となってアポロ1号の訓練中の大事故(内側からハッチを開けられないように細工してあったために逃げられなかった)に繋がってしまった。

ファースト・マン”ことニール・アームストロングはマーキュリー・セブン選抜時には予備役だったため民間人扱いされてメンバーに選ばれなかった。彼は同じくマーキュリー計画にかかわらなかったチャック・イェーガーと接点があった。『ファースト・マン』でも冒頭でちょっとだけ描かれてましたが。

チャック・イェーガー役のサム・シェパード(左)とイェーガー本人

ライトスタッフ』ではエド・ハリスが演じていたジョン・グレンは、マーキュリー計画を裏で支えたNASAの計算手の女性たちを描いた『ドリーム』(感想はこちら)で、彼女たちに挨拶してましたね。


みんな、どこかで繋がってるんだな。だから作品を越えて「宇宙開発」というところで連なった壮大な物語を見ているようでもある。

もっとも、これは『アポロ13』の感想でも少し述べたように、「宇宙開発」というのは軍事的な目的もあって、そもそも宇宙飛行士の多くは軍人だったし、ただ単に未知の領域への冒険、というような素朴なものではないわけで、だいたいあまりに金がかかり過ぎる。

他にやるべきことがあるんじゃないのか?という疑問が拭えない。

ライトスタッフ(正しい資質)”に基づいて挑戦し続けたパイロットたちの雄姿に魅せられながらも、「アポロ計画」の終了とともに人々の月や宇宙への夢はどこかもう過ぎ去った時代への郷愁のようなものになったんじゃないかとすら思える。

もちろん、現在も宇宙開発は続けられているし、さまざまな分野で新たな発見もあるわけだけど。

映画『ライトスタッフ』にはまだ空や宇宙に素朴に憧れていられた時代の匂いがする。

CG以前の撮影技術によって作られた映像の数々。西部劇に出てくるような登場人物たち。

まるでスポーツを楽しんでいるようなパイロットの夫たちに呆れながらも、そんな男たちを愛し続ける妻たち。ある者は大切な存在が失われる恐怖に耐えかねて、故郷に帰ろうとする。

軍人の夫を持つ妻たちを描いた『シング・ア・ソング!』(感想はこちら)を思い出しました。

デニス・クエイド演じるゴードン・クーパーの妻トルーディ役の女優さん(パメラ・リード)に見覚えがあるなぁと思っていたら、シュワちゃん主演の『キンダガートン・コップ』と『ジュニア』に出てた人なんだな。我ながらよく覚えてたな、と思いますが。

イェーガーの妻グレニス役のバーバラ・ハーシーは、ナタリー・ポートマン主演の『ブラック・スワン』(感想はこちら)でおっかないママを演じていたっけ。


マーキュリー・セブンの採用係役でジェフ・ゴールドブラムが出てましたね。その後、彼自身が恐竜や戦闘機に乗って宇宙人と戦いますが。

ジョンソン副大統領(リンドン・ジョンソン)役のドナルド・モファットは、『遊星からの物体X』(感想はこちら)にも出てました。特徴的なお鼻がユーモラスな俳優さんですね。

ガス・グリソムの妻ベティ役のヴェロニカ・カートライトは『エイリアン』で泣きながらエイリアンに襲われる女性隊員を演じてた人だし、あまり目立たなかったけどマーキュリー・セブンの一人ウォルター・シラー役のランス・ヘンリクセンはおなじみ『エイリアン2』のアンドロイド“ビショップ”役で有名だし、なんか出演者の皆さん、宇宙づいてるよね(笑)


ガス・グリソム役のフレッド・ウォードさんは惜しくも先月亡くなられましたが、『トレマーズ』で知られる彼が出ていた『ザ・プレイヤー』(92年作品。日本公開93年)が好きだったなぁ。ご冥福をお祈りいたします。

アラン・シェパード役のスコット・グレン(パイロット名と俳優名にシェパードとかグレンとかが入り乱れてるんで少々混乱するんですが^_^;)は『レッド・オクトーバーを追え』や『羊たちの沈黙』(感想はこちら)、『バックドラフト』などでの演技と存在感が印象に残っています。

…なんかほんとに懐かしいな。いや、今も活躍中のかたがたもいらっしゃいますが。

エド・ハリスは最近はしわしわのおじいちゃんになっちゃってるけど、でも今でもかっこいいし渋いよね。なんとなく長身のイメージがあったんだけど、意外とそんなに背は高くないんだな。でも高そうに見えるところがステキ。

今では亡くなっている人たち、大ヴェテランになっている人たちの若かりし頃をスクリーンで観るのはいいものですね。


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