7/13(土)~21(日) に「“音”で楽しむ!ミッドランドスクエアシネマ映画祭 第2回【ライブ音響上映】」が行なわれていて、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015) を観てきました。字幕版。
全19本の作品が上映されていて、『トップガン』や『トップガン マーヴェリック』『グレイテスト・ショーマン』など他にもそそられる映画が何本もあるけれど、何しろ一律2500円(『バーフバリ』二部作は各3000円)という高額料金なので、個人的にどうしても観たいこの作品1本に絞りました。
感想は初公開時に書いているので、そちらをご参照いただければ。
なんと、上映開始が午前2:30で終了が4:30という、家に帰らせる気ないだろ、的なかなり微妙な時間帯。外も雨天だった。
でも、現在公開中の続篇『マッドマックス:フュリオサ』を観たばかりだから、9年ぶり(僕はモノクロ版は観ていない)にぜひ劇場で観たかったし、体力的にも経済的にもなかなか苦しい中、行ってまいりました。
正直なところ、「ライヴ音響上映」というのがどういうものなのかよくわからないし、普通に上映してくれればいいのに、とも思ったんだけど(他の地域では通常料金で普通に上映してるところもある)。
僕は馬鹿デカい音が苦手で、だから「爆音上映」みたいなのもめったに行かないんですが、この機会を逃したら次はいつ映画館で観られるかわからないから。
客席はそれなりに埋まってて、マッドマックス大好きな皆さんが集っていた。
で、案の定、物凄い爆音で映画が始まったので、事前に用意しておいた耳栓を装着。
これじゃ2500円も払って観る意味がないんだけど、耳栓しなかったら鼓膜がおかしくなりそうだったし(スクリーンからだいぶ離れた席をあえてとったけど、効果なかった)、こんな騒音では繊細な音など聴き分けられないから、お好きな人たちには申し訳ないですが、こういう「音」に鈍感な催しは好かない(…それにしても、この催しで『関心領域』を上映するのは狂気としか思えないが)。
普通よりもほんの少しだけ大きい、ぐらいでちょうどいいと思う。
で、ともかく久方ぶりに観た『怒りのデス・ロード』だったんですが、もちろんやっぱり面白くて夢中でスクリーンに見入っていたんだけれども、これまでにすでに3回観ているからとはいえ不思議だったのが、たとえばヒュー・キース=バーン演じるイモータン・ジョーや乳首いじりおじさん/人食い男爵(演:ジョン・ハワード)の出番が意外とそんなに多くはなかったこと。
ワンシーンでの出演時間はそこまで長くないんだよね。
下手したら『フュリオサ』での彼らの出番の方が長かったんではないか(※ヒュー・キース=バーンさんは2020年に死去されたため、『フュリオサ』では別の俳優がイモータン・ジョーを演じている)。
『怒りのデス・ロード』の上映時間は120分なのに対して、『フュリオサ』は148分だし。
つまり、僕たち観客は『怒りのデス・ロード』を観た時点では、映画で直接描かれていないことをかなり脳内補完していた、ということ。
登場するキャラたちのインパクトが大きかったために、出ずっぱりでなくても充分その存在感が記憶されたんだな。
人食い男爵が治めるガスタウンが描かれたのは『フュリオサ』でのことだし*1、武器将軍(演:リチャード・カーター*2)が管理するバレット・ファームも同様。でも、とにかくなんかキャラの濃いおっさんたちなのはよくわかった。だからその背景は描かれていなくても、なんとなくそういうもんだと思って観ていたんだな。
ちなみに人食い男爵は原語では“The People Eater”だし、武器将軍は“The Bullet Farmer”なので、彼らは男爵でも将軍でもない。『フュリオサ』のディメンタスが将軍でもなんでもなかったように。
このあたりのキャラの日本名は誰がつけたんでしょうね。『フュリオサ』では人食い男爵は字幕では「人食い」とだけ書かれてましたが。
フュリオサの母「メリー・ジャバサ」の名前が台詞の中に出てきたり、彼女が故郷の「緑の地」を出て3日目に死んだ、とフュリオサ(演:シャーリーズ・セロン)が語っていたり、このあたりは忘れていた。
この映画は、背景すべてが描かれていなくても映画は成立するし、ちゃんと物語も理解できるということを証明したんだな。
映像に関しては、『フュリオサ』を最初に観た時に感じた、『怒りのデス・ロード』の方がリアルに見えたのは気のせいじゃなかったし、この映画を超えるカーアクションをその後も観ていない。
確かにシャーリーズ・セロンがあまりにも素晴らし過ぎたせいで主演であるはずのトム・ハーディが割を食っちゃったところはあるんだけれど、でもこれはお世辞でもなんでもなくて、マックスを彼が演じたからこそフュリオサとバランスが取れてこの映画がうまく成り立っていたんで(並みの俳優なら、完全にフュリオサにキャラ負けしてただろう)、まるでフュリオサを主人公のように描いたのがこの映画の真に画期的だったところ。
こうして性別年齢を問わず多くの観客に記憶されることになったのも、闘う女たちと、彼女たちと共闘する男たち、という形で物語を作ったから。こんな映画、これまでになかったし、その後だって作られてはいない。
“マッドマックス”の話を女性に盗られた、と感じている旧作のファンもいるようだけど、これは起こるべくして起こった変化だと思うし、進化なんじゃないか。
続篇、というか前日譚である『フュリオサ』が作られたことで、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』はもうそれ単体だけが存在していた時のようには観られないんだけれど、それでもこの映画は孤高にして至高の名作だと思う。
これからも何べんでも映画館のスクリーンで観たいし、そのたびに胸が熱くなるんだろう。
ただし、今回大変残念だったのは、エンドクレジットに流れる曲がMAN WITH A MISSIONによる「日本版エンディング曲」だったこと。
あぁ、そうだ、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』って、エンディング曲がオリジナル版なのはIMAX版だけだった。うわぁ。*3
やっぱり映画と曲が合ってなかったよ。なんかロックっぽい曲ならなんでもいいってもんではない。『フュリオサ』のエンディング曲を聴けば、『怒りのデス・ロード』の「日本版エンディング曲」がいかに場違いな曲だったかよくわかる。二度とオリジナルの曲をいじらないでほしい。
ギターのアニキも怒ってるぞ
さて、本格的な夏が始まる前に個人的に大きなイヴェントが一つ終わったわけですが、でも8月には「午前十時の映画祭14」でメル・ギブソン主演の『マッドマックス』と『マッドマックス2』が上映されるし、BS-TBSでは7月末から8月にかけて『フュリオサ』以前の4作品がすべて放送されるので、まだまだ「マッドマックス」の夏は終わらない(^o^)
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