映★画太郎の MOVIE CRADLE 2

もう一つのブログとともに主に映画の感想を書いています。

『機動警察パトレイバー the Movie』『クラッシャージョウ』 4DX

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押井守監督の『機動警察パトレイバー the Movie』(89)と安彦良和監督の『クラッシャージョウ』(83) を4DXで鑑賞。

それぞれの作品の感想というよりは、80年代に作られたこの2本のアニメ映画を劇場で観て感じたざっくりとした印象、のようなものを綴ります。とりあえず鑑賞の記録のために。

あ、申し訳ありませんが、かなり好き勝手に個人的な見解を述べていますので、お読みになって不快な気持ちになられるかたもいらっしゃるかもしれません。あらかじめご了承ください。

いつだったかTwitterで劇場用パトレイバーの1作目が再上映されることを知って興味をそそられたんだけど、でも通常の上映じゃなくて4D(4DX / MX4D)でしかやってないのが引っかかったのでした。

僕の住んでるところでは4DXの設備があるシネコンは1館しかなくて、場所も結構遠いし、4DX自体料金が張るのでそんなしょっちゅう観にいくことができなくて(MX4Dの方は行ったことがないけど、やはり1館しかないようで交通の便も悪い)割引も使えないし。

交通費も時間も手間も普段利用している映画館よりもかかるし、何よりもチケット代が高過ぎる。今回、同じ日に続けて2本観たんだけど、いつもの映画料金の2倍以上かかった。もう遊園地のアトラクション並み。

前回利用したのは去年の『マトリックス』(感想はこちら)の4DX上映で、まぁ、あの映画はもともと好きだから20年ぶりに劇場で観られて嬉しかったけど、ぶっちゃけ4DXである必然性はまったくなくて、近場のシネコンの通常の上映で充分だったし、その方が気軽に観にいけるんでそうしてくれるともっとよかった。

映画館側の都合かもしれないけど、何しろやってるところが少な過ぎる。

で、今回も別に4DXでどうしても観たい映画というわけじゃないから、ずいぶん迷ったんですよね。でも、今回を逃すと次はいつやってくれるかわからないし、観にいかずに後悔するぐらいなら、ともかく観ておこうと思って。

これまで僕が4DXで観て感動・感激したのは『パシフィック・リム』(感想はこちら)『ゼロ・グラビティ』(感想はこちら)『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(感想はこちら)の3本。

ほんとに4DXでこそ味わえる迫力と興奮があった。ちなみに3本とも3Dでの上映。

残念ながら、それ以降でこれらの映画のような「4DXならでは」といった作品には出会えていない。『マッドマックス』からすでに5年経ってるのに。

マトリックス』もそうだったけど、昔の映画を再上映する際に付加価値として4DXでやってるのかもしれないが、むしろ通常での上映の方がよっぽどお客さんを呼べるんじゃないだろうか。

今回の「懐かしアニメ」の上映では2本とも僕以外には2組ほどのお客さんしかいませんでした。そもそも映画館自体が閑散としてたけど。客層は僕も含めて中年だけだった。…まぁ、そうだろうな。

機動警察パトレイバー the Movie』は初公開当時は僕は映画館では観ていなくて、のちにレンタルしてきたVHSヴィデオで観ました。確か2作目は劇場で観てるはずなんだけど、それ以来観返していないので内容はまったく覚えていない。

1作目が89年の作品だったことも忘れていて、あぁ、ぎり80年代のアニメだったのだな、と。

巷では2作目の方が前作よりも人気があるっぽいってのは知ってるし、それは同じく伊藤和典さんが脚本を担当した「平成ガメラ」シリーズの2作目が人気が高いのとよく似ている。おそらく自衛隊のミリタリー描写がウケてるんだろうけど。

ei-gataro.hatenablog.jp


では、当時の思い出などを差し挟みつつ、ほんとにざっと簡潔に感想を述べていきます。

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汎用人間型作業機械「レイバー」の暴走が相次ぎ、特車二課第2小隊の篠原遊馬(しのはら・あすま 声:古川登志夫)巡査は独自の調査の末、原因がレイバーに搭載されているOS「HOS」であることを突き止める。「HOS」の主任開発者だった帆場暎一は、一連の暴走が起こる直前に自ら命を絶っていた。「HOS」が暴走を起こす引き金となるのは、強風による建造物から発せられる低周波音だった。折りしも東京を大型の台風が襲おうとしていた。


かなり久しぶりに観たんですが、…あぁ、こういう内容だったっけ、と。

僕はパトレイバーは、ゆうきまさみさんのコミック版を当時読んでて掲載誌の少年サンデーも買ってたし単行本も集めていました。一方、アニメ版の方はOVA版をちょこっとだけ(「二課の一番長い一日」)観たことはあるんだけど、TVアニメ版はまったく観ていません。

だから、「パトレイバー」というとまず、ゆうきさんの絵柄が思い浮かぶ(あとキャラクターデザイン担当の高田明美さんの絵も)。 

アニメって僕は絵柄の好みで作品そのものの好き嫌いが決まることが多いので、ゆうきまさみさんの絵柄とまったく異なる押井監督の映画版の絵柄がそもそも好みではないなぁ、と当時から感じていました。

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まぁ、映画版は映画版でコミックやOVA、TV版とは作風が違うんで、内容に合ったデザイン変更だったといえるかもしれませんが。

1つの作品がさまざまなメディアで作られて、それぞれが微妙に異なるパラレルワールドを形作っている、というのはなかなか面白い試みだったと思うし、登場人物が死にまくるガンダム的なロボット・アニメへのアンチテーゼだった、というのも、このジャンルにおいて新しい可能性を広げてくれました。

僕が読んでいたコミック版でも巨大ロボット同士の派手なバトルというのはめったに描かれることはなくて、だからこそ、たまにやってくるそういう展開には燃えたし、「巨大ロボット」という荒唐無稽な代物に戦争モノだったガンダムとはまた違ったメカとしてのリアリティを持たせていた。

人間たちのドラマも、のちに「踊る大捜査線」でパクられた取り入れられたように、かつての「スポ根モノ」とか劇画調の大河ドラマ風なロボット・アニメにはなかった日常の中での生活臭さや組織内での力関係をめぐるあれこれの描写などがユニークだったんですよね。とても子ども向けとは思えないw よく企画が通ったよな。実現するまでにずいぶんご苦労があったようですが。

で、この劇場版はそういう主人公たちの日常だとかまるで部活動みたいな任務の様子が描かれてきた「パトレイバー」としてはだいぶ趣きが異なる事件を扱っている。

一連の事件の原因を生み出した犯人はすでに死んでいて、主人公の泉野明(いずみ・のあ 声:冨永みーな)ら第2小隊はそのもはやこの世にはいない犯人に翻弄される。

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ほとんど廃墟となった東京の下町を松井刑事たちが歩く画は、押井守の他の作品だったか、あるいは押井作品にインスパイアされた他者の映画だったか忘れてしまったけれど、手前に朽ちかけたような建物の数々があって背景には近未来的な超高層ビル、というイメージはその後も何度も見たような気がする。

OVA作品「迷宮物件 FILE538」で“探偵”がさまよう町を思い出したりもして。監督をはじめスタッフや声の出演者が結構カブってる「うる星やつら」の劇場版第2弾『ビューティフル・ドリーマー』もちょっと。

僕は、90年代には押井守監督の作品を過去作を含めて意識して観た時期があって、箱庭的な世界に閉じ込められる小劇場の舞台劇のようなその世界はけっして嫌いではなかったんですが、一方でミリタリー方面にはまったく興味がなくて、だからどちらかといえばそちら側にシフトしつつあったこの『パトレイバー the Movie』は正直あまり入り込んで観ることはなかった。

コンピューターウイルスによるサイバーテロ犯罪を先取りしていた、みたいなところが評価されてもいるようだけど、アクション物として観ると地味だし(最後に最新レイバー“ゼロ”の動きを止める場面がまるで『ロボコップ2』のクライマックスみたいだったし。いや、こちらの方が先ですが)、台詞が多いんで途中でちょっとダレちゃった。

だって、4DXなのに中盤ではしばらく座席がピクリとも動かなかったもんね。

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ここから95年の『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』に繋がっていく、というその片鱗は見られるものの、1本の映画としてはかなりフラストレーションが溜まった。

そして1本の映画として独立していなくて、登場キャラクターたちの紹介や人物関係の説明を一切しない。コミック版を読んでいたり、OVAやTV版を観ていることが前提。ちょうど「ドラえもん」の劇場版のような。

主人公・野明の人物造形が、いかにも80~90年代的な女子キャラなのも時代を感じさせる。動物やロボットまで「あの子」と呼ぶとかさ。今でも40~50代ぐらいの女性でそういう人たまにいますが。

この映画の時代設定は確か1999年だったはずだから、野明は今ならちょうど40代ぐらいでしょうか。

遊馬の前で涙ぐんでみせたりするところとか、なんかあの当時のアニメの中の女の子そのものだなぁ、と(コミック版の野明はもうちょっと大人っぽかったと思うのだが。僕は彼女に当時好きだった女性を重ねていた)。

野明の声をアテていた冨永みーなさんは、『風の谷のナウシカ』(感想はこちら)では出番はごくわずかだったけど、アスベルの妹ラステル役でした。第1小隊の南雲隊長役の榊原良子さんも『ナウシカ』でクシャナ殿下を演じてらっしゃいましたね。

冨永さんについては、今ではもしかしたら「サザエさん」のカツオのイメージが強い人が多いのかもしれないけど(って、もうカツオ役を20年以上されてるわけだから別に不思議じゃないが)、女の子役の時の声と全然違うので声優さんというのはほんとにスゴいな、と思います。2代目カツオ役の高橋和枝さんの声色にそっくりだもんなぁ。

脚本の伊藤和典さんは、『ガメラ2 レギオン襲来』で自衛官がいきなりキリスト教の聖書の一節を唱えだすのがとても違和感があったんだけど、今回の『パトレイバー』でもやってましたね。クリスチャンなんだろうか。日本人ってそんなにキリスト教に馴染みがあるわけじゃないと思うんで、唐突に聖書とか持ち出すのがとても不自然に感じてしまうんですが、特撮とアニメ界隈の人たちってキリスト教をモティーフにするの好きだよね。

良くも悪くも、あー、これは80~90年代の作品だなぁ、って感じました。

そもそも、作品世界の背景にある「バビロン・プロジェクト」なる国家事業自体が非常に「バブル期」的だし、ここで描かれているのは「実現しなかった未来」。

この30年間で現実はもっと深刻な様相を呈しているわけで、だから80年代末当時を懐かしく思い出しはするものの、この作品に僕は時代を越えた面白さは見出せない。

でも、現実に災害や凶悪犯罪、そして政治家や警察の腐敗などはあるのだから、それらを取り込むことでほんとは現在でも充分にリアリティの感じられる作品になり得ると思うんだけど。新作の企画があるようなことも聞きますが、コロナ禍で延びてるんでしょうか。

…う~ん、こんなところですかね^_^;

なんか久しぶりにコミック版が読みたくなったな。

で、お次は『クラッシャージョウ』。 

www.youtube.com

西暦2160年代。仲間のタロス、アルフィン、リッキーらと宇宙航路の整備や惑星改造の仕事を請け負う“クラッシャー”を生業とするジョウは、冷凍睡眠状態のエレナという女性をある惑星に運ぶ依頼を受けるが、持ち船のミネルヴァ号で航行中に船内からエレナと依頼主のヴァレンティノフの姿が忽然と消える。連合宇宙軍のコワルスキー大佐に海賊と疑われたジョウ一行は逮捕されてしまう。


…好きな人はごめんなさい。なんだこりゃ。

僕は1983年当時この映画は劇場では観ていなくて(当時、僕が観てたアニメ映画はせいぜい劇場版「ドラえもん」ぐらいだった)、でもその後TV放送かなんかで観た記憶があって、だから「クラッシャージョウ」というタイトルは知っていたし、ヒロインのアルフィンにも見覚えがあった。

僕は、この時代の安彦良和さんの絵柄が好きなんですよね。線に微妙な強弱があって、なんというか、艶っぽいから。

90年代以降の安彦さんの絵は、線の太さが均一になって80年代にはあった荒々しさや色気が消えていったように思う。…すみません、偉そうなこと言えるほど安彦さんの作品を観てるわけじゃないんですが*1。その後作られた、安彦さんがキャラクターデザインを担当された『機動戦士ガンダムF91』(監督:富野由悠季)も未鑑賞。

それで、今回『クラッシャージョウ』を劇場で観てみたところ…まったく内容を覚えていなかったばかりか、登場キャラクターについてもほとんど初めて知るようなことばかりで驚いたのだった。

じゃあ、俺がかつて観たと思っていたアニメ作品は、あれは一体なんだったんだろう。

僕はこの作品の主人公ジョウ(声:竹村拓)は“クラッシャー”って呼ばれてるぐらいだから暴れん坊であらゆるものを壊しまくるような、ちょうど同じ時期にTVでやってた「スペースコブラ」のコブラとか松本零士の「キャプテン・ハーロック」、あるいはスター・ウォーズハン・ソロみたいな大人のアウトローだと思い込んでいたんですよ。

そしたら、全然そんなんではなかった。

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“クラッシャー”というのは、そういう呼び名の職業で、主人公のジョウはお偉いさんとこのボンボン。

父親に認められたくてイキってタフガイぶってるけど、その正体は付き合ってる彼女とちょっと身体が触れ合っただけで赤面しちゃうような“アウトロー”でもなんでもないただの童貞臭溢れる青二才。

メンバーの一人でデカくて強いタロス(声:小林清志 小林さんは「コブラ」では宿敵クリスタル・ボーイ役でしたね)はジョウの親父さんの元部下かなんかで、ジョウには敬語で話す。ジョウのお目付け役みたいなキャラ。

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観る前に僕が想像していたのとまったく違うキャラだったんですよね。

小林清志さんってどうしても「ルパン三世」の次元の印象が強いし、だから力自慢のデカブツ、っていう感じじゃないんだよなぁ。

ゴツいキャラといえばこの人、な郷里大輔さんは今回は悪役の一人を演じてるんで、たとえば銀河万丈なんてピッタリだったんじゃないだろうか。銀河万丈さんはギレン総帥のようなキレ者の役も得意とされてるけど、「タッチ」の原田みたいなもっさりとした喋り方のめっちゃ強い奴の役もできちゃう人だから。

リッキーの声は、最初は小原乃梨子さんっぽいなぁ、と思ったんだけど、でも未来少年コナンともペーターやのび太ともなんとなく違って聴こえたんで(なんか声がいつもより高めで可愛かったから)別人かな、と。そしたらやっぱり小原さんだった。

僕が子どもの頃は、小原乃梨子といえばやっぱり「ドラえもん」ののび太とか「タイムボカン」シリーズのドロンジョ様がおなじみだったんだけど、でものび太の声は今は別の声優さんだし、ドロンジョ様の方も小原乃梨子というイメージを持ってるのはある程度の年齢以上の人なのかな。

小林清志小原乃梨子納谷悟朗久米明など結構ヴェテラン声優が出てるんだけど、なんていうか、名優たちの持ち腐れみたいに感じてしまった。

まだ子どものリッキーはちょうど「科学忍者隊ガッチャマン」の少年隊員みたいで、タロスと漫才のようなやりとりをするんだけど、これがまったく面白くも可笑しくもない。

そして“紅一点”のヒロイン、アルフィン(声:佐々木るん)は何かといえば敵に捕まって「助けて、ジョウ!!」と叫んでるか、ジョウが他の女性とただ会話してるだけで嫉妬してわめくという、これまた80年代のTVアニメにありがちだった甘えた声で男性主人公にベッタリなヒロインという、勇ましく活躍することもなくハッキリ言って足手まといなだけの存在。

男に媚びまくるアルフィンや、劇中で映画のスクリーンに映し出される「ダーティペア」の二人の峰不二子キューティハニーの流れを汲む媚態を眺めていたら、この翌年にスクリーンに登場したナウシカのヒロイン像がどれほど画期的だったかあらためて思い知らされる。

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ディスコでの中身のないスカスカな会話やドタバタな喧嘩、漫画家やアニメ関係者たちのカメオ出演という内輪ネタなど、あまりにつまんな過ぎて観ていて本当に辟易してしまった。

こんなアマチュアの作った同人アニメみたいな内容で上映時間が132分もあるとか、どうかしてる。よーするに、こんなのが許されるほど当時はアニメ・ブームだったということなんだろうけど。

この作品は僕も知ってたぐらいだから劇場公開当時はきっと話題になったんだろうし、映画サイトのレヴューを覗くと褒めてる人たちもいるようだけど、これの翌年に作られた『ナウシカ』と比べると、というか比べるのが失礼なほどそのクオリティのあまりの違いに眩暈がしそうになる。

背景の美術とか、「実験映画か?」ってぐらいに雑だった。とても劇場用アニメとは思えないほど汚い。そしてキャラクターたち(特におっさんたち)のあまりの魅力のなさ。

今年、映画館で再上映されてる『ナウシカ』も『AKIRA』(感想はこちら)も紛れもなくプロの仕事でこれからもアニメ史に残っていくだろう作品だけど、断言してしまうがこの『クラッシャージョウ』は違う。忘れられていく作品だ。これに比べれば劇場版『パトレイバー』はまだよっぽど映画としてまとも。

安彦監督の『アリオン』も昔ヴィデオで観たけど、そしてこの『クラッシャージョウ』よりはまだマシだったと信じているけれど(長らく観てないから、これももう内容を覚えてないが)、申し訳ないけれど、安彦良和というクリエイターはアニメ監督としては80~90年代で止まってる人なんだろうと思う。彼が描く物語だとか人物、男女関係などに感じる「古臭さ」がそれを証明している。

宮崎駿のアニメは時代を越えて愛され続けているけれど、そういう普遍性とか永続性といったものが安彦作品からは感じられないんですよね。

僕にとってはガンダムといえば安彦良和がキャラクターデザインを担当したファーストガンダムだし、だからとても魅力的な絵を描く才人だと思っています。

幼い頃は、彼がキャラクターをデザインした何本ものTVアニメを観ていた。

なので、個人的にも思い入れはある。 

だけど、この『クラッシャージョウ』を観て、これはもう、思い出のかなたにある作品だなぁ、と思った。女性キャラクターの扱いも登場人物同士のやりとりも、物語も何もかもが稚拙で退屈だった。

銭形警部と沖田艦長が合体したような、何かといえば怒鳴ってばかりいるコワルスキー大佐(声:納谷悟朗)とか、よくこんな恥ずかしいキャラを出せたもんだ。パクり過ぎだろ。

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映画版の脚本にもかかわっている高千穂遥の原作にはまったく触れたことがないので、この壮絶なつまんなさが原作のせいなのかアニメ化の際に生じたものなのかは知らないけど、登場人物とか星の名前など、そのネーミングのダサさはいかんともしがたい。80年代的センス爆発。

原作が今でも読まれてるのかどうかも知らないけど、まるで中学生が書いたような設定、ストーリー展開がもういちいち恥ずかしくて。

スター・ウォーズを作ろうとしたら『宇宙からのメッセージ』になっちゃった、みたいな。いや、『宇宙からのメッセージ』は楽しいですけどね。特撮も頑張ってるし。

クラッシャージョウ』も、メカがCGで描かれることが当たり前になってしまった現在では手描きの宇宙船同士の戦いの場面は目に楽しいし、ちょっとギョッとさせられるような流血場面の多さも、子どもも観る作品としては今となっては貴重といえば貴重といえるのかもしれない。

あまりありがたみを感じないけど。

しかし、残酷描写多過ぎでしょ。思いっきりおっぱいも映すしなぁ。これ、子どもも観てたんですよね?

殴られて顔がグチャグチャになる場面を何度も執拗に描いているのも、なんかすごく異様な感じがする。 

これ観て、つくづく最初のガンダムはよくできたアニメだったと思ったし、あれは富野さんの作品だったんだな。

少年時代にはなんの疑問もなく普通に観ていたアニメが、時を経て観直すと堪えられないという、その典型だと思う。

日本のアニメ史をたどる時、1983年にはこういう作品が公開されてました、という記録としては意味があるかもしれませんが、僕はこのアニメ映画を面白いとは思わなかったし、こんなん観るぐらいなら60年代の東映動画の長篇漫画映画の方がよっぽど観たい。 

80年代ぐらいのアニメがそれ以前の作品と比べてコンプライアンス的に首を傾げざるを得ないものが少なくないのは、性暴力、性差別的な要素が無自覚に野放図に開陳されてるから。

僕が日本のTVアニメから距離を置いて、やがて興味を失っていくのは、たまたま年齢的にアニメ離れする時期だったということもあるけれど、70年代後半や80年代以降、アニメヲタクに媚びた作品が増えたこともある。

あの時代の空気感は味わえたけど、俺はもういいかな。 

さようなら、80年代。静かに眠ってくれ。 

 

…罵詈雑言の嵐でごめんなさい。ファンのかたは腹立たしかったでしょう。

でもねぇ、自分がリアルタイムで少年期を過ごした時代に作られたアニメーション映画をどちらも劇場で初めて観るのを僕はとても楽しみにしていて、誰に頼まれたわけでもないが何日も前から予定を組んで遠くのシネコンまで行って高い金払って臨んだんですよ。

もしも作品が本当に面白かったら、それらの手間と金だって惜しくはなかったんだけど、観終わったあとヘコんじゃって。鑑賞後、その娯楽施設で銭湯入ってトボトボと帰った。

なんだか寂しかったなぁ。少年の日はもはや遠くになりにけり、か。


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*1:84年にTVで放送された「巨神ゴーグ」は観ていたけど、これも内容はまったく覚えてない。放送期間も短かったですし。