先日5月3日から、毎週日曜深夜12:10~12:40にNHK総合で宮崎駿監督のアニメーション番組「未来少年コナン」の再放送が始まりましたね。
1978年に初放映されて以来、NHKで放送されるのは42年ぶりということですが、僕は子どもの頃に民放で再放送されていたのを観たのが初めてで、その後レンタルヴィデオで借りてあらためて通して観ています。
僕はこちらがお馴染みだった民放用の短縮版OPとED
「未来少年コナン」
— JUNK (@XMbHWFpbX) April 29, 2020
民放再放送版OP・ED
監督:宮崎駿|作画監督:大塚康生|音楽:池辺晋一郎@retoro_mode pic.twitter.com/thgR0bFXTb
便宜上、このブログ記事でのカテゴリーを「ジブリ」にしてありますが、もちろんジブリ作品ではなくて製作は日本アニメーション。
まだ再放送は始まったばかりなので、今回初めてご覧になるかたもいらっしゃるでしょうからネタバレになるようなことは控えようと思いますが、あらためて言うまでもなくこれは本当に名作ですね。
全26話という、けっして特別長いわけではないTVアニメ番組で物語の中には伏線がしっかりと張られ、登場人物たちのキャラクター付けは明快で最後にはすべてが「大団円」となって深い余韻と満足感を残す。
最初は悪役のようだった者たちが主人公のコナンとラナと出会ってふれあううちに変化していく。
戦争を起こした者たち、その戦争に翻弄された当時子どもだった者たち、そして戦争のあとに生まれたコナンのような新しき世界で生きる者たち。
エピソードが進んだらまたいずれ語りたいですが、文明が崩壊した未来世界(舞台となっているのは2028年)を描くこの作品には、やがてポスト・コロナの時代を生きていかなければならない僕たちにとっていろいろと示唆してくれるものがある。
真面目に働いて、互いに手を取り合いともに生きること。力による圧政や独裁について。
これは子どもたちに向けて作られたアニメだけれど、相手が子どもだからってけっして子ども騙しのおとぎ話にはなっていない。ただの「懐かしアニメ」でもない。
「コナン」は『天空の城ラピュタ』(感想はこちら)や庵野秀明監督の「ふしぎの海のナディア」などにも繋がっていきますよね。
登場キャラやメカのデザインは78年当時でもすでにレトロだったけれど、でもだからこそ古びない。『ルパン三世 カリオストロの城』(感想はこちら)がいつまでも古びないのと同じく。
「漫画映画」の楽しさがあるんですよね。アニメ本来の“動き”の面白さが。
これから大勢の人々と一緒に毎週この漫画映画の快感と感動を味わえるんだと思うと、ほんとに嬉しい。
宮崎駿のアニメーション作品は、特にその前期は登場人物たちがみんな類型的なんですが、彼らが全員古典的な「物語」の“型”にピッタリはまった配置をされているので不自然でも退屈でもない。
コナンもラナもある種の「理想の少年少女像」であって、逆にその眩しいほどの健全さに反発や退屈さを覚える人もいるかもしれないけれど、このアニメには彼ら以外の少年少女も登場する。彼らの“変化”も見どころだと思う。
懐かしいアニメは、今、新しくもある。
※小原乃梨子さんのご冥福をお祈りいたします。24.7.12
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