フェデリコ・フェリーニ監督、マルチェロ・マストロヤンニ、アヌーク・エーメ、クラウディア・カルディナーレ、サンドラ・ミーロ、バーバラ・スティール、マドレーヌ・ルボーほか出演の『8 1/2』。1963年(日本公開65年)作品。
音楽はニーノ・ロータ。
第36回アカデミー賞外国語映画賞、衣裳デザイン賞(白黒)受賞。
43才の映画監督のグイド(マルチェロ・マストロヤンニ)は、新作の撮影に入っているはずが構想はさっぱりまとまらない。体調を崩した彼は、医者から薦められた湯治場にやって来た。妻ルイザ(アヌーク・エーメ)との関係は冷え切っており、カルラ(サンドラ・ミーロ)と愛人関係にあったが、今はそれもわずらわしくなっていた。湯治場で見かけた美しい女性(クラウディア・カルディナーレ)に一瞬心ときめいたが、それも空しい幻影に過ぎず─。
(「午前十時の映画祭12」公式サイトより転載)
「午前十時の映画祭12」で鑑賞。
90年代にフェリーニの映画が好きな先輩からTVで放送されていたものをエアチェックしたヴィデオを借りて、同監督の作品を何本か観たんですが、その後一度も観返していないし、まったく内容を覚えていません。
アンソニー・クインとジュリエッタ・マシーナ主演の『道』(1954年作品。日本公開57年)はNHKで放送されたのを観て、意味がちゃんとわかったしイイ映画だと思ったんですが、それ以外の作品はよくわかんなくて。
『8 1/2』で記憶にあるのは、冒頭で主人公のグイドが空を飛んでいって、足にロープをつけられていてそのまま海に落ちていくシュールな場面と、それから海岸で太った女の人が踊るところぐらい。
『甘い生活』や『フェリーニの道化師』とか『フェリーニのローマ』『インテルビスタ』あたりを観たはずなんだけど、もうどれがどれだったかわかんなくなってるし。ドキュメンタリーもあったな。
巨匠と言われているし、多くの映画人に影響を与えたということも知ってはいましたが、どうも僕にはハードルが高い映画監督で。
で、今年の「午前十時の~」で上映されることがわかって、あらためて名作と呼ばれるこの作品を観てみたんですが…。
…いやぁ、ここ最近観た映画の中でも一番難物でしたわ(;^_^A
もうまったく映画には入り込めなくて、何が描かれてるんだかもわからなくて日本語字幕を読む気力すら薄れていって、何度も何度も舟を漕ぎながらなんとかついていこうと思ったんだけど、結局どういう映画だったんだかわかりませんでした。
気づいたらみんなが手を繋いで踊っていた。そんで「FINE」。終わっちゃったよ^_^:
昔観たことがあったんだし、ここまでおいてかれるとは思わなかったのでショックだった。この敗北感。
まず、登場する人物たちが何者なんだか把握する時点で苦戦。
おそらくはグイドの仕事仲間とかプライヴェートの友人たちなんだろう、と思いながら観てるんだけど、とにかくお話が頭に入ってこない。
映画監督が主人公だけど、女性たちは「女優ではない」と言ってるから仕事で一緒の人たちではないんだろう、とか、あれこれ頭を捻りながら観ているうちに意識が遠退きそうになった。寝不足だったから、というのもあるんだろうけど。
いや、結構気合い入れて臨んだんですけどね。お客さんもわりと入ってたし。
だけど、ほんとにこれのどこが面白いのか皆目わからなくて困った。
それ以前にはなかった映像イメージをいろいろと生み出した作品なのだろうけど、不勉強なためどこがそんなに素晴らしいのかわからず。
もう、これは映画に詳しい人たちの解説を読んだらそれでオッケーなんじゃないか。
北野武監督の『TAKESHIS'』(2005) を観た時に、あぁこれはフェリーニだな、と気づいたから、フェリーニに対するイメージというのはあったんですよね。
テリー・ギリアムとかティム・バートン、デヴィッド・リンチや寺山修司あたりも影響を受けているだろうことも、教えられなくてもわかったし。
だけど、その肝腎のオリジナルであるご本人の映画に自分がこれほどまでに拒否反応を起こすとは思いもしなかった。
年取ってだんだん頭が固くなってきたんだろうか。
脚本もちゃんとできてないのにロケットの発射台のセットが組まれてるとか、なんかその後のギリアムの映画作りを彷彿とさせますが。そんなとこ巨匠を真似なくていいのに^_^;
映画監督って、自分の幻想にまわりの人々を付き合わせるエゴイストなんだなぁ、ってつくづく思ってしまった。そうじゃなければ映画なんて撮れないんでしょうけど。
それにしても、こういう映画を心から楽しめる人々が本当に羨ましい。アカデミー賞外国語映画賞まで獲ってるんだもんねぇ。
クラウディア・カルディナーレは綺麗だったし、アヌーク・エーメもセシル・ド・フランスっぽい顔つきで素敵だったけど、それ以外の劇中に登場する女性たちがドギツ過ぎて、おまけに老人がやたらと出てくるんで食あたり起こしそうだった。
これを「美しい」と感じるのは、俺には難しいなぁ、って。
果たして、僕は今後の人生の中でフェリーニの映画を観ることはあるだろうか。
※アヌーク・エーメさんのご冥福をお祈りいたします。24.6.18
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