「こち亀」が終了するそうだ。
少年ジャンプを読まなくなってすでに20年近いので愛読者でもない人間が知ったようなこと書く資格などないけれど、それでも少年時代は読んでいて、単行本を集めていた時期もあります。
80年代の終わり頃、同級生だった近所の薬局の息子*1が「こち亀」の古い単行本をまとめて僕にくれました。
第1巻から30何巻ぐらいまで、ところどころ抜けてはいるけれどほとんど揃ってる状態で。
きっと親御さんに処分するように言われたんだろうなぁ。
古本屋に売ることだってできただろうけど(当時はまだブックオフはなかった)、友だちのよしみでただで譲ってくれたのでした。*2
楽しく読ませてもらったし、「こち亀」は僕がジャンプでリアルタイムで読んでた80年代中後期〜90年代初期にはすでに現在の絵柄にきわめて近かったんだけど、おかげで連載開始当初から80年代初めぐらいまでの両さんに今でも愛着がある。
40年間も続いてるから当然絵柄もずいぶんと変化してきていて、細かく言えばもっと多岐にわたるだろうけど大雑把に初期と中期、そして現在に続く後期と3つぐらいに分けられるでしょう。
現在の目が大きくて親しみやすい絵柄になってオタクネタに溢れて中川や麗子など脇のキャラもアニメ絵っぽくなってからかなり経つんだけど、僕は個人的には中期、10数巻あたりのタレ目で目つきが悪かった頃の両さんが好きだなぁ。
もうちょっと前になると、菅原文太を多分に意識した顔立ちで*3(部下の戸塚が「文太兄ぃ」とか言って文太さんの映画の話をしてるし)、現在のようなプラモやフィギュア、アニメ好きのオタクなおじさんではなく、野放図で粗暴さが目立つキャラだった。
中川や麗子だって、登場したばかりの頃は現在みたいな優等生キャラではなくて、かなりの問題児たちだったし。
昔の「こち亀」は出てくるキャラたちがみんな軒並み豪快でぶっ飛んでたんだけど、回を重ねるごとにだんだん問題を起こすのはゲストキャラ以外は両さん一人になっていったんだよね。
最初の頃の絵柄はかなり「劇画」入ってて昔の青年誌の漫画みたいなタッチだったのが*4、中期になると少女漫画っぽい絵柄というか、なんか幾分走り描きのようなデザインのキャラが登場したり背景もわりと適当に描いているように見えたりしてきてて、時代の移り変わりがうかがえます。
まだ映画『ALWAYS 三丁目の夕日』がヒットするずっと前から「こち亀」では昭和の懐かしネタをよくやっていて、作者の秋本治さんは僕の母親と近い世代なので、そこで描かれる両さんの子ども時代のエピソード、人情話は自分の親の子どもの頃を見ているようで、好きだったんですよね。
両さんって警察官だし、よくよく考えるまでもなく権力側にいるキャラクターなわけで、そんな主人公が大騒動を巻き起こす(時には人のトラブルに巻き込まれる)話を笑って読んでたってのが今となってはちょっと不思議です。
80年代って『リーサル・ウェポン』とか『ビバリーヒルズ・コップ』『ポリスアカデミー』「マイアミ・バイス」「あぶない刑事」など警官や刑事が大暴れする映画がいくつもあったし、そういうのを娯楽として単純に楽しめるユルさがあったんだな。
僕は少年ジャンプを読まなくなって「こち亀」の単行本も買わなくなって久しいから最近の両さんのキャラがどうなってるのか知らないけど、次第にキャラクターが変化しながらも愛され続けてきたこの漫画が終わるということに、一つの時代の終わりを感じています。
読んではいなくても、連載が続いていることに安心感があったから。
永遠に続くものなんかないんだと、あらためて感じます。
ほんと「こち亀」って永遠に続くような気がしてたもんね。
正直、今回もいつぞやの「ニセ最終回」みたいな壮大なドッキリなんではないか、という疑念がいまだに拭えないんですが^_^;
本気にして泣いた読者続出だったニセ最終回。次のページでシレッと次回予告をしていた。
それにしても、宮崎駿が長篇アニメを作るのをやめて*5、秋本治が「こち亀」をやめる日が来るとはなぁ。確実に時は流れているんだな。
秋本さんはこれからも漫画は描かれるそうだし、両さんとの今生の別れになったわけじゃないので、またどこかで会える日を楽しみにしています。
ありがとう、両さん。