映★画太郎の MOVIE CRADLE 2

※2019年の“はてなダイアリー”終了に伴い、2018年9月にブログを移行しました。

『エクスペンダブルズ』


※以下は2010年に書いた感想です。


監督・主演:シルヴェスター・スタローン、出演:ジェイソン・ステイサムジェット・リードルフ・ラングレンミッキー・ローク他、『エクスペンダブルズ』。2010年作品。R15+

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南アメリカの小国の独裁者を排除するよう依頼された傭兵たちが敵地へ殴りこみをかける。


映画の感想述べる前に、スタローンについてちょっとおさらいを。

退屈でしたら飛ばしていただければ。

ハリソン・フォードも60代でインディ・ジョーンズを青息吐息でやってたけど、こちらも御年64にしてアクション映画の主演である。

ハリウッドのアクション映画を振り返る時、良くも悪くもこのマッチョ・スターのことを無視することはできない。

僕のスタローン作品の初体験は『ランボー/怒りの脱出』でした。近所の友だちの家で、当時まだ珍しかったLDで観た。

70年代後半に『ロッキー』でアメリカンドリームを体現し、その後『ランボー』一作目を作った頃の彼のことをリアルタイムでは知らなくて、その後のTV放映やヴィデオでの鑑賞で学習。

けっして熱心なファンではない。

シリーズ中では一番好きな『ロッキー4』も映画館では観てないし。


まだ気軽に映画館に行けるような年齢じゃなかったので、僕にとってスタローンといえばTVでの鑑賞、という印象が強い。

正直なところ、劇場で最初に観た彼の作品を思いだせない(『クリフハンガー』だったかなぁ)。

リンカーン・ホーク”というマンガみたいな名前(スタローンが演じるのはこれ以外でも“コブレッティ”とか“スパルタン”とか変な名前のキャラが多いんだが)のトラック野郎が「帽子のつばの向きを変えるとスイッチが入る」とか言いながら息子を連れてアームレスリングに参戦する『オーバー・ザ・トップ』はTVやヴィデオで何度観たことか。

オーバー・ザ・トップ』(1987) 監督:メナヘム・ゴーラン 出演:デヴィッド・メンデンホール ロバート・ロッジア


ロックアップ』と『デッドフォール』なんかもTVで何度も放映されてたけど、「カート・ラッセルが出てたのどっちだったっけ?」と、もはやわけわかんなくなっちゃってたりする。

そんなスタローンが活躍した80年代というのは、何かにつけて「あの頃はよかった」と懐かしがる“懐古厨”も多い一方で、「からっぽな時代だった」と揶揄されることも少なくない。

少年期を過ごした時代として思い出は多いが、正直僕もあの時代にどこか空虚な印象も持っているのはたしかで。

だから気安く「いい時代だった」などとは言えないんであるが。

余談だが、高校の時、英語の先生が海外旅行先で偶然スタローンを見かけて一緒に写真撮ってもらった、という話をした。

おばちゃんの先生で「気さくに写真撮ってくれた。あまり背は高くなかった」と言ってた。写真が手元になかったせいで生徒たちから「嘘だぁ」と笑われて誰にも本気にされなかったけど、多分本当だったんだろうなぁ。信じてあげなくて気の毒なことした。

それはともかく、今多くの人(特に30代以上)が思い浮かべるスタローンのイメージって、おそらくこの時代の彼でしょうね。

北斗の拳」のケンシロウ*1が格闘にはまったく不要な筋肉に覆われたボディビルダー体型だったのも、スタローンの影響大なのはいうまでもない。


「空虚」というのはつまり、“格闘のスキルとか、そんなこたぁどーでもいい、筋肉を誇示して撃ち合い殴り合ってればそれでオッケー”という、きわめて単細胞的な、という意味でもある。

あの単純きわまりない世界が懐かしい、というのもわからなくはないのだが。

しかし、やがて90年代に入るとじょじょにその人気をさらなる筋肉自慢のシュワルツェネッガーに脅かされるようになる。

やはり『T2』の大ヒットは大きかったようで、シュワちゃんが『ツインズ』でコメディに挑戦すれば慌てて『刑事ジョー/ママにお手あげ』に出て壮絶にコケたり、『クリフハンガー』のヒットで持ち直したり、もう一作ごとに浮き沈みを繰り返す。

クリフハンガー』(1993) 監督:レニー・ハーリン 出演:ジョン・リスゴー マイケル・ルーカー
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クリフハンガー』の予告篇の冒頭、女性が高所から落下する映像で劇場の客席にどよめきが起こったのを憶えてます。俳優を吊ったワイヤーを“CGで消す”、という技術が一般の観客に認知される先駆けとなった作品。

デモリションマン』『ジャッジ・ドレッド』…この辺は劇場で観た。これまたどっちがどっちだったか一瞬わかんなくなるが…サンドラ・ブロックが出てたのは『デモリションマン』ね。


そして90年代後半から2000年代にかけて、出演作はあるものの大ヒット作には恵まれなくなっていく(この頃観たのは『ドリヴン』ぐらい)。

2000年代後半になって、『ロッキー』と『ランボー』復活によって60代にしてようやく“アクション俳優”として息を吹き返したのであった。

それでもスタローンがけっしてDVDスルー作品の常連にならなかったのは、ひとえに自分で脚本が書けて監督ができる強みがあったこともあるだろう(その才能についてはいろいろご意見はあるでしょうが)。

…と、長々とスタローンの経歴を振り返ってきたのは、つまり今回の『エクスペンダブルズ』は『ロッキー・ザ・ファイナル』と同様、この一世を風靡したアクションスターに対するそういう思い入れを込めて観てこそ愉しめる映画だと思ったから。

以下、ネタバレは予告篇を観たらわかる程度。


“The Expendables”とは、“消耗品軍団”という意味。


とにかく全篇濃ゆいオヤジたちの顔面のドアップのオンパレード。

ドルフ・ラングレンの顔はデカ過ぎてフレームからはみ出てる。

ラングレンをスクリーンで観るのはキアヌ・リーヴス主演の『JM』以来かも。

あの映画では、その巨体でキアヌと大バトルを繰り広げてくれるのかと期待してたら、アクションらしいアクションも見せずに退場。そのあんまりな扱いには寂しさを感じたものだった。

今回はジェット・リーを“チビ”呼ばわりする中坊ライクな精神年齢のヤク中役。見せ場はあるものの、かつて“人間核弾頭”と呼ばれた男に対してこれまたビミョーな扱いなのだった。


それでも25年ぶりのスタローンとラングレンの共演というのはなかなか感慨深いものがある。

ロッキー・ザ・ファイナル』への出演はかなわなかったが、こういう形で実現したわけね。

嘘か事実か知らないけれど自称ロッキー・ファンの友人によると、『ザ・ファイナル』ではスタローンは当初ドルフ・ラングレンの出演を希望していたが、それがドルフ演じるドラゴは病気かなんかで再起不能みたいになってるのをロッキーが見舞いにきて励ます、って話だったらしくて、そりゃ断わられるよ、と。

今回の『エクスペンダブルズ』のドルフはまさに今ではダメになってる役で、それをスタローンが心配するという話。ちょっと笑ってしまった。

ハリウッドでの力関係がうかがえますな。

さて、80年代から活躍してるスターたちが勢ぞろい…ってジェイソン・ステイサムは90年代後半から2000年代以降の人だけど、全然違和感がない。

ってゆーか、ステイサムって『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』の頃からすでにハゲてたよなw

若ハゲでこれほどアクションスターとして人気がある人も珍しいのではないかと。

ジェット・リー(ステイサムとは『ザ・ワン』や『ローグ アサシン』で共演済み)やミッキー・ロークについては省略しますが。

観る前はこれだけの面子がみんな主人公の仲間だったら悪役が霞んじゃうのでは?と思ってたけど、いってみればこれはアクションスターたちが互いに敵味方に別れてぶつかり合うタッグマッチなんで、場合によっちゃメンバーが入れ替わったり敵方に寝返ったりもアリの“アトラクション・ショー”。

だからそもそもお話なんかなくて、闘いそのものがすべてなんである。

ちなみに予告篇観て予想したとおり、ターミネーターマクレーン刑事はワンシーンのみのカメオ出演

三人の顔がちゃんと見える状態で同一フレームに入らない奇妙なキャメラワークと切り返しメインの編集が可笑しかった。

ドルフ・ラングレンもそうだけど、地味にシュワちゃんが“しぼんでる”のに驚いた。こちらもスクリーンで観るのは久しぶりだからなぁ。

で、感想ですが。

…これを観ると、やっぱり80年代はなんにもなかったんじゃないのかと思わせられる。

敵の身体が銃撃でミンチになるエフェクトなど、『ランボー 最後の戦場』を経たうえでの描写もあるけど、中身はやっぱり80's。

女性が添え物以外の何物でもない扱いなのもきわめて80年代的なら、ステイサムと元カノとのやりとりとか、DV男を懲らしめるくだりなんかもこの手の映画で今までに何千回と繰り返されてきたパターン。

敵と味方にプロレスラーや格闘家を配するのもおなじみの手法。

どーでもいいけど、敵役のスティーヴ・オースティンはスキンヘッドの頭よりも首の方が太いんで、正面や真後ろから見ると親指か亀○みたいでちょっと笑った。


お話の方は『特攻野郎Aチーム』などと同じく、観終わった瞬間に忘れるような内容。

わかりやすい悪者がいて、主人公たちがそれを殲滅するという、これ以上ないほどシンプルなストーリー。

もう、オッサンたちが暴れ回る理由がありゃなんだっていいのである。

ようするにこの映画自体が消耗品ってこと。それを重々わかった上で観ることが肝要かと。

ただ、何しろ出てる面子が面子なので、もう彼らが集まってとりたてて面白味もない会話をしてるのを眺めてるだけで愉しい。

バイクに乗って、禁煙なんざ知ったことかと葉巻やパイプをふかしナイフ投げに興じるオッサンたち。

タトゥー屋を営むミッキー・ロークが『レスラー』級に泣きの演技で「後悔したくないなら、ネェちゃんを助けに行け」とつぶやき、それを聞いたスタローンが涙目で決意する。


やっすい話もオヤジたちの熱演でなんだかわかんないけど感動的になるんだということ。

もうそこからあとは大放出、特濃!男祭り。

映画鑑賞、っていうより観戦だな、これは。

オッサンたちがドンパチとナイフさばきで爆走する様をこれでもかと見せつけてくれる。

そんなわけで気分良く観終わったんだが、エンドロールにナガブチの歌声が。当然日本版のみの曲だけど、スタローンやミッキー・ロークみたいに歳とるにつれてムキムキになっていってる、って共通点からの起用ですか?キヨの番長も呼ぶかい?

いつも思うんだけど、こーゆーの誰が喜ぶんだろう。「ガマンがならねぇ♪」って気持ちよさげに歌い上げられてもなぁ。我慢がならないのはこっちなんだが。普通にオリジナル版流してくれないか?

まぁこの映画に限っては「別にいっか」とも思ったけど。


その後、2012年に公開された2作目ではジャン=クロード・ヴァン・ダムが悪役として登場。ブルース・リーと闘った男、チャック・ノリスも参戦。なお、ブルース・ウィリスは今年の夏に全米公開予定の3作目には出ない模様。

そのかわりウェズリー・スナイプスメル・ギブソンアントニオ・バンデラスハリソン・フォードと超豪華な出演メンバーが発表されている。メル・ギブソンが悪役なんだそうな。

いろんなアクションスターを巻き込んだ豪華な鍋料理みたいなシリーズですね。


関連作品
『エクスペンダブルズ2』
『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』
『大脱出』

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*1:偶然だろうけど、今回の映画で敵役の一人を演じていたゲイリー・ダニエルズは実写版『北斗の拳』でケンシロウ役だった人。ヒゲ生やしてたんで誰なのかわかりませんでした。