映★画太郎の MOVIE CRADLE 2

※2019年の“はてなダイアリー”終了に伴い、2018年9月にブログを移行しました。

『ヤギと男と男と壁と』


※以下は、2010年に書いた感想です。


監督:グラント・ヘスロヴ、出演:ユアン・マクレガージョージ・クルーニーの『ヤギと男と男と壁と』(邦題命名:千原ジュニア)。2009年作品。日本公開2010年。

原作はジョン・ロンスンによるノンフィクション「実録・アメリカ超能力部隊」。

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ユアン・マクレガー演じる新聞記者が、アメリカ軍に存在するという超能力部隊を取材するためイラクへ向かう。


監督のグラント・ヘスロヴは、ジョージ・クルーニーの監督作品『グッドナイト&グッドラック』でプロデュースと脚本を担当している。

以下、ネタバレあり。



ふざけた邦題、そして最初に出る「限りなく事実に近い物語」というあからさまに胡散臭い字幕。

しょっぱなの自称超能力者の登場からすでに説得力が1グラムもないのだった。


また、ユアン・マクレガーの前に現われたジョージ・クルーニーが全篇に渡って語り続ける“超能力部隊”のエピソードは見事なまでに意味不明で中身がない。

完全に心を病んだ人の妄言レヴェル。

壁に五月女ケイ子が描いたような怪しい絵が描かれた部屋で軍服のまま踊る、見るからにイタい変人軍団。


おなじみの長髪のヒッピースタイルでオツムが遥か彼方の銀河系にイッてしまったジェフ・ブリッジス(同じ劇場で彼が酒浸りのカントリーシンガーを演じる『クレイジー・ハート』も上映されてた)率いる「新地球軍」である。


これはキツい^_^;

ただ普通にマクレガーやクルーニー目当てに劇場へ足を運んだ観客は、真顔で壁に突進したりラリッて全裸で銃を乱射したりと、どんどん迷走してゆく男たちの姿を延々見せつけられることになる。

そのとおり、彼らは大真面目なのだ。

目ん玉見開いて一心不乱に敵や空の雲、ヤギに“力=フォース”を発揮しようとするジョージ・クルーニーの顔がだんだんモンティ・パイソンジョン・クリーズみたいに見えてくるのだった。


しかしこれは単純に「バカ映画」と呼べるような、たとえばジェフ・ブリッジスの父親ロイド・ブリッジスがアホな提督を演じていた、チャーリー・シーン主演の『ホット・ショット』みたいにわかりやすい軍隊コメディではないので、大笑いして劇場をあとにする、ということもできない。

おそらくこれは『スターウォーズ』の“フォース”を極めて正しく描いた映画だろう。

その名も“ジェダイ計画”。

…どんだけおめでたいんだアメリカ軍、とこれが「ノンフィクション」といわれてもにわかには信じられないが(まぁ、たまに大企業の幹部が超科学やスピリチュアルにハマったりすることはあるけどさ)、イラクのガソリンスタンドでのアメリカ人たちの横暴な振る舞いやマヌケな銃撃戦など、アメリカが振りかざす“正義”や“大義”への大いなる皮肉がこめられているので、これも「事実」かどうかはあまり重要ではない。

キャスリン・ビグローの『ハート・ロッカー』(感想はこちら)と一緒に観ると面白いかもしれない。

ルーニーの台詞の中で唯一意味があったのは「人は自分の支えになるものを探している」という、ごくごく当たり前のことだろうか。

そして彼らは『スターウォーズ』のジェダイのように敵を斬りまくるのではなく、ピースフルな方法(?)によってアラブ人の捕虜たち(とヤギ)を救出する。

ヘリで空に消えてゆくジェフ・ブリッジスジョージ・クルーニーは、まるで偉大な“ジェダイ・マスター”のようだ。

“ダークサイドに堕ちたジェダイ”を演じるケヴィン・スペイシーがまたいつものようにイイ顔している。つくづく無表情や笑顔がブキミな人だ。

ユアン・マクレガーはクルーニーにおんぶされて「自分で歩く!」と怒ったりして終始妙にカワイイんだけど、『フィリップ、君を愛してる!』といい、この人は最近こういうキャラを狙ってるのか?

ジョージ・クルーニーは『バーン・アフター・リーディング』に続き、見た目イイ男なのに変態、もしくはKitty Guy、という役作りにさらに磨きがかかってきている。

鑑賞後、近くで観ていた二人連れの女の子の一人が「途中で意識が遠のきそうになった」と言っていた。まぁ、ず~っとオッサンしか出てこないので僕もそうなりましたが。


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