
9月28日(月) から始まった連続テレビ小説「ブラッサム」を毎朝観ています。放送開始からひと月が経ちました。
主題歌はYOASOBIの「咲き誇れ」。
主人公・葉野珠(演:石橋静河)のモティーフになったのは作家の宇野千代。
明治の終わりの山口県岩国。働かず奇行が目立つ父、優しい継母、やはり血は繋がらないが仲の良い弟妹たちと暮らす珠は、女学校を経てやがて代用教員となるが、ゆえあって故郷を飛び出すことになる。
朝ドラの感想は2024年の「虎に翼」以来で、そのあとも「あんぱん」や「ばけばけ」などを観ていましたが(「おむすび」と「風、薫る」は途中離脱)、ブログをお休みしていたので感想が書けませんでした。
で、二年ぶりにこうやって朝ドラについて書いているのですが。
宇野千代さんについては名前は存じ上げていましたが恥ずかしながら彼女の作品を読んだことはなくて、でもこの機会にできれば何か読みたいと思っています。
1996年に98歳で亡くなっているので、もう没後30年になるのだし、明治の終わり頃に生まれて大正時代にはすでに小説家として活動されていたということは「おしん」の主人公とほぼ同時代の人で(「おしん」は1907年、「ブラッサム」は1908年から始まる)、そう考えるとけっこう昔の人なんだけど、あまりそういう感じがしないのは、ご本人が晩年までずっとご活躍されて顔もよく知られていたし(「徹子の部屋」にも出演していた)、作品も読まれ続けているからでしょう。
脚本担当の櫻井剛さんは2023年の「ブギウギ」(足立紳さんと共同)や大好きだった夜ドラ「あなたのブツが、ここに」も書かれていたので、信頼できるというか、あの作品を書いた人の朝ドラはぜひ観続けたいと思っていました。
僕は宇野千代さんについての予備知識がないため、彼女がたとえば日本の文壇やその他のジャンルでどのような評価を得ていたり、どういう立ち位置にいるかたなのかちゃんと理解していないんですが、恋多き人だった、ということだけ聞いていて、そのあたりをどう朝ドラというジャンルに落とし込んで表現するのか、あるいは明治や大正という時代を経て昭和、そして平成とほんとに長きに渡り人生を送られてきた人が2026年の令和の世とどのような形で結びつくのか興味がありました。
やっぱりどこかで現在の僕たちと繋がっている物語にこそ面白さを感じるし、共感も持てるのだから。
早くも第1話で登場した主人公・珠の父・清治(渡部篤郎)のクズっぷりに大反響があって、でも演じる渡部さんが発する色気にヤラれる視聴者続出w 朝ドラにおける歴代クズ親父の1位の座を更新する勢いで「セクシークズ」という呼び名まで登場して、その壮絶な最期(史実ではもっと凄惨)に別れを惜しむ声も絶えず。
子役が出演したのはわずか一週間*1で、これは「べっぴんさん」(感想はこちら)の時と同じ慌ただしさなんだけど、珠の子ども時代を演じた村上蘭さんはしっかりと視聴者にその存在感を印象づけたのでした。継母のリョウ役は、2001年の「ちゅらさん」で主人公を演じた国仲涼子さん。
僕は「ちゅらさん」は本放送でも再放送でも観ていなかったのであの作品のファンのかたがたのような感慨はないけれど、でもあれから25年経ったのだなぁ、となんともいえない気分にはなっています。国仲さんはほんとに素敵な年齢の重ね方をされていますよね。この新作ドラマでも、血は繋がっていない娘を実の子どもたち同様に大切にする母親を好演されています。
来年公開予定の劇場版『虎に翼』にも出演されてるようで。


珠の弟・守役の中須翔真さんは「スカーレット」や「おちょやん」など朝ドラの常連で、あぁあの彼がもうこんなに大きくなって、と親戚のおじさん気分に。
珠とは対照的な環境に生きる幼馴染の梅役の松本穂香さんは現在昼に「ひよっこ」(感想はこちら)が再放送中で、眼鏡っ娘の澄子と2作品連続でお茶の間に顔を見せたりの楽しさも。
それから、女学校で珠と同期の忍役の木竜麻生さんはNHKでもおなじみの人だけど、とても印象深くて彼女の男装が予想外に似合ってて、おやおやこれは(。・ω・。)ノ♡と(^o^)
木竜さんは僕は『福田村事件』(感想はこちら)の新聞記者役で初めてその存在を知って気になったんだけど、脇に回っても主人公でも映える人ですよね。ちなみに忍もまた記者を目指して上京しています。今後、珠との再会も描かれるんでしょうね。


珠の叔母役の山田真歩さんは朝ドラは「花子とアン」での作家先生役が記憶に残ってますが、今度は作家の叔母役なのですね。またまたなかなかキャラの立った役柄ですが(笑)
ともかくこの「ブラッサム」、評判がいいですね。キャスト陣の皆さんも好評で展開も早いので、何かジェットコースターに乗ってひとりの女性の人生を駆け足で眺めているような疾走感があるし、本来僕は誰が誰を愛するとか誰と誰がくっつくとかいった恋愛要素に興味がないのですが(だからその手のTVドラマが苦手)、このドラマはそういう、それこそ主人公の「男遍歴」を描きつつもその中に男女の間の「愛」をめぐるすれ違いだったり、単純に善悪で割り切れない感情、人の心の移ろいの残酷さなどを通して宇野千代さんが送られた長い人生の中のいくつものトピックを描いていくのだろうから、それはなかなかエキサイティングでもある。何しろ脚色されているとはいえ、実在の人物がたどってきた道なんだから。

“はのたま先生”の教師生活をもっと見ていたかったけど(史実では2年勤めていたが、ドラマではあっという間に解雇)、この先のエピソードが立て込んでるんでしょうか。
さて、放送開始から5週目にしてもう東京での生活が始まっていますが、あらためてその展開の速さに驚かされます。
ヘブン先生とおトキさんの関係の変化をゆったりもったり描いた「ばけばけ」と比べると、ほんとに怒涛のようなスピード…(;^_^A
だって、何週か前には父が壮絶な死を遂げて、やがて同じ教師との“不適切”な関係をぶっ叩かれて故郷を飛び出して、今では東京で結婚相手のような従兄弟と同居しながらレストランの給仕の仕事に就いている。
そこで有名作家や文芸雑誌の編集長と知り合って…とこれまた次々と新しい出会いが。
ところが、その出会いがまたひと波乱を起こしたりして…。
今後もこういうエピソードが何度もあるのだろうか。
これも実在の人物の人生をモティーフにした「おちょやん」でも主人公・千代の夫の不倫が描かれていたけれど、あのドラマでは彼女と夫の一平との関係は史実からかなり改変されていた。史実通りに描いたらエグ過ぎて視聴者がついてこられないから。
この「ブラッサム」でもそのあたりの改変は行なわれるのだろうし(離縁した最初の夫や学校の教師との関係など、すでにもう史実を丸くする脚色は行なわれてる)、そこんとこは致し方ないとは思うけれど、何もかも綺麗な話だけで終わらせないでほしいとは思う。
誰かを愛してその結果別の誰かを苦しめることになるなら、時としてそこにはやっぱり人として踏み越えてはならないところを踏み越える罪が生じる得るわけで、ドラマを観る者にとっても納得いかない部分だって出てくるし、それでもそういう罪を背負いつつ清濁併せ呑んで生きていく主人公を描いてこそ、こういう題材もほんとのリアリティを保てるのだから。小説というのもそういうものでしょう。綺麗事だけでは作品にならない。
早くも次週は北海道行きの話が出るようだし、今週の最終放送日には珠の妊娠がわかって、この展開の速さはなかなかスゴい…(;^_^A
編集長にはその文才を認められたような描写もあったし、珠はこれからどんどん自分の作品をものしていくのでしょう。
朝ドラで作家、創作者や、ひとりの人間としての“業”をいかに表現していくか。
今後も楽しみにしています。
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*1:正確には5日間。



