4月8日(金)に“朝ドラ”ことNHKの連続テレビ小説の「カムカムエヴリバディ」が最終回を迎えました。
同ドラマについてはこれまでに2つほど記事↑を書いてきて、その時点では僕はこのドラマをまだ好意的に観ていたので穏やかな文章だったんですが、今回は『「カムカムエヴリバディ」を観終えて』…と題しつつ、すみません、「カムカム~」の細かい内容についての感想というよりも(もうかなり忘れてしまっているし)、途中からこのドラマに猛烈に覚えた不快感と不満について記していきます。このドラマが好きなかたは不快な気分になるかもしれませんから、お読みにならない方がいいと思います。
3月の半ばまで僕はこれまでの朝ドラ作品のようにTwitterで「#カムカムエヴリバディ」のハッシュタグで肯定的な感想を呟いていたんですが、どうも「ひなた編」での主人公ひなた(川栄李奈)とその弟・桃太郎(青木柚)の言動にだんだん我慢ならなくなってきて、でもタイムラインに流れてくるのはファンのかたがたの絶賛ツイートばかりなものだから違和感がハンパなくて、思わず「#カムカムエヴリバディ反省会」という主に批判的なツイートが多く書き込まれているところを覗いたところ、非常に納得のいく意見が多くて、しばらくそこに書き込みをしたのでした。
ei-gataro@chubow_deppooいかにもツンデレ効果を狙ったように五十嵐がひなたのことをバカバカ言うのが不快だったんだけど、実は彼はかなり正確にひなたのことを理解していたのではないかと思い始めた。 #カムカムエヴリバディ反省会
2022年03月14日 23:35
ei-gataro@chubow_deppooフラれたら金を持ち逃げしたり万引きしていいわけではない。失恋と盗みにはなんの関係もない。ここで価値観の転倒、混乱が生じている。逆に、お前たちの“恋”はそんなしょーもないもんだったのかよ、と思ってしまう。 #カムカムエヴリバディ反省会
2022年03月16日 08:46
ei-gataro@chubow_deppooなんとなく感じていたこのドラマの問題点は、登場人物たちの人に対する解釈の仕方がしばしば間違ってること。ひなたと桃太郎の言動に問題があることを作り手が認識していないこととも繋がる。 #カムカムエヴリバディ反省会 #カムカムエヴリバディ
2022年03月16日 08:30
3人のヒロインの3人目であるひなたが主人公の「ひなた編」には、このドラマが抱える問題が集約されているように僕には感じられたのでした。
人として間違ってること(人の職業を見下したり失恋の腹いせに万引きすることなど)がきちんと反省されないまま、お話が先に進んでいく。
昔なじみの人々がたびたび再登場して、それが「伏線回収」などと称えられる。
努力が苦手でだらしない性格だったひなたが、いつの間にか地道に英語を勉強して英会話をマスターしていたり、時代劇に真面目に取り組んでいるとは言い難かった(安達祐実演じる先輩女優のすみれに人間性を疑うような暴言を吐いたり、お化け屋敷の仕事にふてくされたりしていた)五十嵐文四郎(本郷奏多)がハリウッドでアクション監督になっていたり、その成長の過程がすっ飛ばされて結果だけが“報告”される。
このドラマの登場人物たちはほとんどがそうだ。
朝ドラ界隈で最近やたらと言われてる「伏線回収!」みたいなのはもういいかなぁ。それは伏線でもなんでもないから。
— ei-gataro (@chubow_deppoo) 2022年4月8日
伏線って、何気なく観ていたものがあとで「そういう意味だったのか」と気づかされるとか、ストーリー展開に捻りを加えるもののはずで、最初から「これ“伏線”ですよ!」ってこれみよがしに投げ散らかしたり、
— ei-gataro (@chubow_deppoo) 2022年4月8日
あとで「どうです、この見事な伏線回収!」とドヤ顔で予想通りの(あるいは強引極まりない)過去のシーンとの繋がりを強調することじゃないんだよね。作る側も観る側も完全に勘違いしている。“伏線モドキ”にうつつを抜かすよりも、ちゃんと人物のドラマを描いてほしいな。
— ei-gataro (@chubow_deppoo) 2022年4月8日
世の中には親子でまるで同一人物かと思うぐらい似てる人たちはいるけれど、それはたまに一人だけそういう人がいたら「あっ、そっくり!ってゆーか同じ役者(笑)」という驚きや楽しみに繋がるんで、それがあっちでもこっちでも同じ顔の親子やら祖父母やらがいたら感動も何もない。
— ei-gataro (@chubow_deppoo) 2022年4月8日
ただのお約束になってしまう。カムカムは朝ドラのいろんな密かな楽しみどころを「こういうことやっとけば視聴者は喜ぶから」と半ばルーティーンでやっていた。で、実際喜んでる人たちもいたし。人の楽しみにケチつけるようでなんだけど、ずいぶんチョロくないか。
— ei-gataro (@chubow_deppoo) 2022年4月8日
桃次郎ときぬちゃんの孫娘の扱いとか、やっつけ以外の何物でもないもんなぁ。ドラマってのはいつの間にかくっついてる、ってんじゃなくて、その過程を描くもんでしょ。
— ei-gataro (@chubow_deppoo) 2022年4月8日
※ごめんなさい、「桃太郎」がいつの間にか「桃次郎」に脳内でトランスフォームしてましたが。名前さえ失念するほど思い入れがなくなっていた。
このドラマの最大の謎である、なぜ安子が長らく頑ななまでに別人になろうとしていたのか最後まで納得いかないのがなぁ。年取って、親のほうから娘にアプローチを取ろうとしなかったのはなぜだろうか。ずっと再会をひっぱるため以外の理由が見当たらない。安子はその行動が若い頃から謎のままだった。
— ei-gataro (@chubow_deppoo) 2022年4月8日
やはり若き日の安子とるいの離別はもっと説得力のあるものだったらよかったのではないか。実際にあの時代にさまざまな理由から親子で離ればなれになった人たちはいたのだろうし。誰も悪者にしないようにしたからだろうけれど、結果的に安子が最後まで無責任な女性に見えてしまったのは残念だった。
— ei-gataro (@chubow_deppoo) 2022年4月8日
…はい、もう充分ですね、すみません偉そうに。
だけど、僕はこのドラマの出来が「朝ドラ歴代ベスト3」とか言われても「冗談でしょ」と思うし、「巧い脚本」と言われても「全世界の脚本家に謝れ」と言い返したくなってしまう。
たびたび例に挙げてしつこくて申し訳ないですが、同じBK(大阪放送局)制作の「スカーレット」も「おちょやん」も、僕は毎日大変楽しく観て、あれこれと文句も言ったけど、それでもどちらも好きな作品だったんですよね。
それがここ何年もの間、安定のクオリティを保ってきたBK作品にもかかわらず、「カムカム」には途中でほとんど興味がなくなってしまったのだった。これは本当にショックでした。
明日はどうなるんだろう、という関心がちっとも持てなくなってしまって。
一応最後まで観通したけれど、感想で細かい内容に触れられないのは要するに終わりの方はほとんど物語が頭に入ってこなかったから。誰の子どもだとか孫だとか、「答え合わせ」みたいな展開ばっかだったし。
僕は脚本に大いに問題があったと思うし、その責任が脚本家にあるのか、それとも演出を担当したディレクターのせいなのかは知りませんが、100年間のヒロインたちの物語は完全にこのドラマの作り手たちの手に余ったんだと思う。
唯一、このドラマで心動かされた部分を無理やり捻り出すと、実際には別人である複数の俳優たちがリレーしながらそれぞれ一所懸命一人ひとりの登場人物たちを現前させようと頑張っていたこと。
— ei-gataro (@chubow_deppoo) 2022年4月8日
シナリオの見事さでもなく、演出の上手さでもなく、ただひたすら愚直なまでに架空の人物を成り立たせようとカメラの前で演技する人々の姿に、みんなで何かを生み出すことの大変さや凄さを見た気はする。出演者の皆さんには心から、お疲れさまでした、と言いたいです。
— ei-gataro (@chubow_deppoo) 2022年4月8日
さて、次週11日からはAK(NHK放送センター)制作、黒島結菜さん主演の「ちむどんどん」が始まります。
AKドラマは僕は何年も途中離脱してしまっているので心配なのですが、今回BKドラマさえもついにそういう危機を迎えたんだから、もう何事にも絶対なんてことはないですね。面白かったらいいなぁ。
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「ちむどんどん」