先日9月22日(木)深夜0:30~2:30にNHKのEテレで放送された「青春舞台 2022」の中で「全国高等学校演劇大会」の最優秀賞受賞作品が放送されていて観ました。
愛媛県の松山東高校による「きょうは塾に行くふりをして」(作:越智優、曽我部マコト)。
高校の演劇部の部員たちが自分たちの芝居のリハーサルをしている。本番当日が迫る中、やがて見えてくる彼ら高校生たちの事情。3年間という限られた時間の中で新型コロナウイルス感染症に見舞われ活動が制限された生徒たちが演劇を、部活動をするということはどういうことなのか。
たまたま深夜にEテレをつけていたらやっていたので観ることができたのですが、2年前に観た映画『アルプススタンドのはしの方』を思い出しました。
あの映画の原作は高校演劇の戯曲で、やはり「全国高等学校演劇大会」(なんか今回別の大会名が出てたけど、すみません、詳しくないので)で最優秀賞を獲った作品でした。
で、それもたまたまEテレ観てたらやっていたのでした。偶然って面白いな。
映画の方は↑の感想をお読みいただければ、と思うんですが、その中で、僕は芝居の台本を書いたのが生徒たちではなくて顧問の先生だったことにがっかりした、というようなことを書きました。
だけど、実は今回の「きょうは塾に行くふりをして」もまた、顧問の先生とコーチ(すみません、システムを知らないので失礼ながら“コーチ”というのがどのようなポジションなのかわからないのですが、もともと卒業生のかたのようで)が書かれたそうなんですよね。
あぁ、なるほど、全国大会に出場してそこで最優秀賞を獲るような学校では、先生が中心になって部活動が進められているんだな、と納得。
…ちなみに、僕は高校時代に演劇部に所属していましたが(2年の終わりに引退)、僕自身は松山東高校さんとも愛媛県にも縁もゆかりもない部外者ですし、全国大会どころか県大会に出場したこともありません。
演劇についても無知ですし、最近(ここ10年以上)はライヴの演劇を観てもいない。
ただ、高校時代の演劇部の想い出は自分にとってはかけがえのないものだし(とか言っててほとんど忘れかけてるんですが)、だから、たまたまつけてた番組で放送されていた高校演劇のお芝居に率直に胸を打たれたんですよね。
台本を書いたのは先生だけど、そこでは生身の高校生たちの痛みや葛藤、手を取り合いながらみんなで立ち上がろうとする彼らのリアルな姿が描かれていた。
高校演劇の中でコロナ禍における高校生の生活を描き、“高校演劇”について語る。こんなにがんばってんだろー!!って叫びが切実で胸に迫る。 #青春舞台2022 #高校演劇 #きょうは塾に行くふりをして #松山東高校
— ei-gataro (@chubow_deppoo) 2022年9月22日
全部偽物なのに全部本物。「演劇」というものについての言及であるとともに、それは何かこの社会のリアルを語ったものにも思える。#青春舞台2022 #高校演劇 #きょうは塾に行くふりをして #松山東高校
— ei-gataro (@chubow_deppoo) 2022年9月22日
『アルプススタンド~』は映画にもなったし、あるいは平田オリザさんが書いた小説「幕が上がる」も映画版と演劇版がある。
でも、この「きょうは塾に行くふりをして」は、演劇をやっている高校生たちを現役の高校生たちが「演劇」という形で演じてこそ成り立つし、真に心に訴えかけてもくるんですよね。演劇でしか表現できないことをやっている。
それにしても、教師の仕事をこなしたうえで芝居の台本まで書くって、超人的な気力と体力じゃないでしょうか。スゴいですね、先生^_^;
顧問の先生のブログをご紹介。
なんかやっぱり、どこか狂ってないとやれないことなんだろうなぁ。
俺は早々に逃げ出した人間だから、こうやって熱くモノ創りしてる人たちを見ると自分が恥ずかしくて堪らなくなるんですが。
ただ、演劇をやってる高校生の姿って20年前も30年前もそんなに変わらないなぁ、って思うんですよね。そこに親近感が湧く。
現役の高校生だった頃、演劇部の顧問のM下先生に「お前たちは今風の学生っぽくない」と言われたっけ。演劇部の部員たちってそういう時代遅れっぽいところがあるんでしょう。
でも、舞台のうえで汗をかき涙を流して演じ、かいがいしく働き、互いに時にぶつかり合いながら一所懸命何かに打ち込む者たちは泥臭くてダサいんだよね。そして輝いている。
僕がかつてめんどくさくなって捨ててしまったものを、現役の高校生たちが持っている。
今の若者たちは昔の僕なんかよりももっと器用にいろいろこなせるんだろうし、ただの精神論を超えてちゃんと効果や効率を考えてモノ創りに励んでいるんだろうと思うけど、何よりも感動したのは、単純に「お芝居が面白かった」ことです。
この先どうなっていくのか、という興味がずっと持続する。一時間近い上演時間に退屈することが一切なかった。なるほど、これが最優秀賞受賞作品なのだ、と。
お芝居のリハを描く、というメタ的な視点から、時々笑いもまぶしつつやがて部員一人ひとりに接近していく。彼らがこの3年間で何を考え、何に耐え続けてきたのか。
それは大人たちの姿に似てもいるし、しかし、大人たちにはわからない、彼らだけの本当に限られた時間の中での燃焼について語ってもいる。
久しぶりに高校演劇観た。出演者全員が役柄そのものに思えた。面白かったです。そして懐かしかった。素晴らしい舞台をありがとう。 #青春舞台2022 #高校演劇 #きょうは塾に行くふりをして #松山東高校
— ei-gataro (@chubow_deppoo) 2022年9月22日