映★画太郎の MOVIE CRADLE 2

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「ちむどん」と「あなブツ」


最終回まであとひと月となったNHKの朝ドラ「ちむどんどん」を観ています。

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…といっても、なんというか、もはやほぼ毎朝のルーティーンをこなしている、といった感じになっていて、集中して内容を観ていないのであまりお話が頭に入ってきていないんですが。

ちまたでは、もうずっと以前からファンによる「#ちむどんどん」タグとアンチによる「#ちむどんどん反省会」タグで作品をめぐってTwitterで火花が散らされてるようですが、そういうのに興味がないので僕は「#ちむどん」タグで独自に呟いています。

内容についての詳しい感想とかではなくて、ほとんど一言か二言程度のツッコミみたいなものですが。

主人公の名前は「暢子」だけど、僕は「ちむ子」と呼んでる。

真面目に論じる気がしなくて。そういう作品ではないことがもうわかってしまったから。


僕は世間では評判がいいらしい前作「カムカムエヴリバディ」もそんなに出来が良かったとは思っていなくて批判的な感想を書いたんですが、でもAIさんが唄う主題歌「アルデバラン」は好きでした。

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同じく「ちむどんどん」も三浦大知さんによる主題歌「燦燦(さんさん)」は好きで、この歌のおかげで毎朝この朝ドラを観続けていられてる、と言えるかもしれません。

ただ、残念ながら、主題歌から溢れる抒情性をこのドラマの中身から感じ取ることは難しくて、ハッキリ言ってしまえばこれはドラマではなくてコントだと思っています。

ニーニーこと賢秀(竜星涼)が懲りもせずに詐欺に騙され続ける展開だとか、ちむ子(黒島結菜)が幼馴染の智(前田公輝)をフッて和彦(宮沢氷魚)と結婚したとか、フラれた智は今度はちむ子の妹の歌子(上白石萌歌)を狙ってるとか、なんかどーでもよくなってきて。

ちむ子がなんで和彦と結婚しようと思ったのか、その過程が全然描かれてないから共感も感情移入もしようがなくて、「唐突」という感想しか生まれないんですよね。

沖縄から上京してイタリアンレストランに勤めだしたちむ子が、どうしてそこを辞めて沖縄料理の店を始めようと思ったのかもわかんない。

全篇そんな感じで、「ドラマ」に必要な段取りも積み重ねも何もなくて、ただなんか事件が起こったり思いつきのように主人公が新しいことを始める、ということの繰り返し(そして、時々ニーニーが邪魔に入る)。

もう「ツッコミどころ」は無限に湧いてくるのでいちいちそれを列挙していられないし、作り手も「炎上商法」に味を占めたのか、「わざとやってまーす」ってな具合に登場人物たちにたまに彼らの言動のおかしさに自らツッコませたりしている。

何よりも呆れたのは、このドラマの脚本家や演出家たちの誰も沖縄への関心や料理の知識がなかったこと。自分たちでそれを白状している始末。

www.news-postseven.com

「白状しますと、僕たちおじさん3人は料理の知識がまったくないんです」(羽原氏)
「僕にとって料理は『美味いか、不味いか』ではなく、『食べられるか、食べられないか』。そういうレベル」(木村氏)


…スゴいな。それでよく沖縄料理のドラマとか作ろうと思ったよな。舐め過ぎじゃないですかね、各方面に対して。

toyokeizai.net

president.jp

hubokinawa.jp


知らないならその道のプロの助けを借りればいいと思うんですが、映画とかTVドラマ、あるいはヴァラエティ番組などでありがちなように、番組の作り手たちがそういうプロフェッショナルの声を無視して自分たちの勝手な判断でいろいろと変えちゃった挙げ句に、誰も責任を取る気もないもんだからどんどん収拾がつかなくなって…ってことでしょう。

脚本家の名前が何人もズラズラと並んでるけどちっとも面白くなかったハリウッド映画みたいな状態で、そんなとこだけハリウッドを真似たってしょうがないんだよな。

なので、ここが素晴らしかったとか不満だったとか、真剣に語るのがバカバカしいので適当に呟いたり他の視聴者の皆さんの的確な批判ツイートをRTさせてもらいながら、とりあえずあとひと月も乗り切ろうと思っています。

何度も繰り返していますが、僕は映像作品って脚本家と演出家がその責任の大半を担っていると思うので、作品に対する批判はほぼ彼らに向けてのものです。

主演の黒島結菜さんをはじめ出演者の皆さんは、基本、書かれた脚本と演出家の指示通りに演じているだけだと思いますんで。

あとひと月で急にドラマが面白くなったりクオリティが上がることは残念ながらないと思うので、内容に期待はせず、賛否で激しく争われたこの朝ドラがどのような終幕を迎えるのか、見届けようと思います。


さて、8月22日(月)に毎週月曜から木曜の22:45~23:00の放送時間で始まった夜ドラ「あなたのブツが、ここに」(全6週・24話予定)の初回をたまたま目にして、そのまま毎日観ています。

www.nhk.jp


放送初日の朝の「あさイチ」に出演者の一人、毎田暖乃(のの)ちゃんが出ていて、でもちゃんと観ていなかったので気づかなかったけど、このドラマの宣伝だったんですね。

主演は仁村紗和さんで、暖乃ちゃんは彼女の娘役。

2020年。大阪・十三(じゅうそう)のキャバクラで働くシングルマザーの山崎亜子(仁村紗和)は、コロナ禍で収入が激減し、尼崎でお好み焼き屋を営む母・美里(キムラ緑子)の住む実家に身を寄せてキャバクラの常連客の一人だった葛西社長(岡部たかし)の経営する運送会社で働き始めるが、慣れない宅配ドライヴァーの仕事に悪戦苦闘する。娘の咲妃(毎田暖乃)は母親が夜の商売をしているということで、以前から学校のクラスで嫌がらせを受けていた。


毎田暖乃ちゃんは「おちょやん」で主人公・千代の子ども時代を演じていましたが、仁村紗和さんも同ドラマでお茶子さんたちの一人・節子を演じてました。

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仁村さんの役柄はそんなに大きくはなかったけれど、ナチュラルな太眉が印象的でいつも出番はわずかながら、顔を見ると気になってました。

で、そんな彼女が主演のドラマということで、「おっ」と思って。

フィルモグラフィを確認すると、僕はこれまで仁村さんの出演作品を「おちょやん」以外まったく観ていなかったので(普段、TVドラマを観ないものですから)、何か急に出てきた人みたいなインパクトがある。

なんていうんですかね、ぜひこれをきっかけにブレイクしてほしいなぁ、と。

映画やTVドラマでしっかり主役が務められる実力を持ったかただと思うので。

それは彼女の自然体の関西弁やスリムなその身体から醸し出される存在感から強く感じたのでした。


キムラ緑子さんの娘役がめちゃめちゃ板についてるもの(キムラ緑子さんも朝ドラ「ごちそうさん」でおっかない小姑の“和枝ちゃん”を演じてましたね)。ほんとの親子に見える。毎田暖乃ちゃんとの相性もバッチリだし。


この主要キャストの面々を見ても(それから、お好み焼き屋の常連客役で最近朝ドラではご無沙汰な“すだれ髪”でおなじみ海原はるか師匠の姿も)、このドラマの作り手の本気度が伝わってくる。脇の出演者たちも実力派揃いだし。

物語はなかなか世知辛い社会の一片を切り取っているけれど、そこはただ気が滅入るような重さや暗さはなくて関西ならではの明るさとユーモアもあるし、週の初めにはウルフルズが唄う主題歌「バカサバイバー」が流れて出演者たちがキレッキレで踊って「鬱」な気分を吹っ飛ばしてくれる。

わずか2年前を舞台にして、そこから見えてくるものをすくい取る。

誰もが苦しい思いをしていて、一見意地悪に感じられた人にもその人なりの事情があって、へこたれそうになったり、知らなかったことを知りちょっと強くなったりもする。

僕にはこれは、「こういうのを“ドラマ”というのではないですか」という作り手からの朝ドラに対する問いかけのように思えるんですよね。BK(大阪放送局)の底力見せたろやないか、と。

「朝ドラと同じ15分間の放送です」と暖乃ちゃんも宣伝してましたし。完全にあてつけだよねw 私らはこの出演者でこういう作品を作りましたよ、って。

これまで7話分放送されたけど、実際「続きを観たい」と思わせてくれるもんなぁ。そして、こういうのが「ドラマ」だよな、と思う。

キャバクラや運送会社でのちょっとしたディテールの描き込みによって、リアリティがもたらされる。出演者たちがそれぞれ、ほんとにこういう仕事をしてる人たちに見える。


「ちむどんどん」の作り手の皆さんは、このドラマ観てもうちょっと(って、もうあとひと月しかないが)気合いを入れた方がいいんじゃないですかね。

朝ドラと夜ドラ、比較するとほんとにいろいろと感じるものがある。

まぁ、朝ドラは朝ドラであまり重くない、それこそコントのノリで楽しみたい、という人もいるだろうし、二つのドラマを両方観ることで心のバランスをとる、というのもいいかもしれませんね。


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