ジョー・ジョンストン監督、サム・ニール、トレヴァー・モーガン、ウィリアム・H・メイシー、ティア・レオーニ、アレッサンドロ・ニヴォラ、マイケル・ジェッター、ローラ・ダーンほか出演の『ジュラシック・パークIII』。2001年作品。
古生物学者のアラン・グラント博士(サム・ニール)は実業家を名乗る男ポール(ウィリアム・H・メイシー)とその妻アマンダ(ティア・レオーニ)から、恐竜が生息するイスラ・ソルナ島を上空から見学するツアーのガイドを依頼される。多額の報酬を積まれ仕方なく引き受けるグラントだったが、ポールたちはグラントとの約束を破って島に着陸してしまう。実はポールとアマンダの真の目的は、8週間前に島の近くでパラセイリング中に消息を絶った息子エリック(トレヴァー・モーガン)を捜すことだった。(映画.comより転載)
「午前十時の映画祭13」で「ジュラシック・パーク」三部作の最終作を鑑賞。
あっという間の3週間でした。
3作目は監督が前2作のスピルバーグからジョー・ジョンストンに交代(スピルバーグは製作総指揮)。上映時間は92分で、シリーズ中最短。
まるで遊園地のアトラクションを楽しむように(って、このシリーズはすべてそうだが)、さくっと観られますね。
大型肉食恐竜のスピノサウルスが本作品の目玉で、劇中ではティラノサウルスと激闘を繰り広げて勝利する。スピノサウルスのインパクトは大きかったし、衛星電話のあのメロディとともに記憶に残っています(スピノサウルスの登場はシリーズ中では本作品のみで、「ジュラシック・ワールド」三部作でもその存在自体まったく言及されない)。
ほんとにもう“怪獣”みたいなんだよね。撮影ではアニマトロニクスも大活躍したようで、あの実在感はスタン・ウィンストンの力が大きかったんだなぁ。
数々のアニマトロニクスやSFXを手掛けたスタン・ウィンストンさんは2008年に惜しくも亡くなられて、2015年からの『ジュラシック・ワールド』には参加できなかったのが残念。でも、後進たちがその技を受け継いでいる。
なんとなく、前2作と比べて軽く語られがちな本作品だけど、あらためて観直してみたら、ちゃんと前作からお話を引き継いでいて(舞台となるのは前作同様、イスラ・ソルナ島のサイトB)、またヴェロキラプトルが群れで狩りをしていた、ということをもう一度強調していて、続く『ジュラシック・ワールド』への布石のような役割を果たしてもいる。
ストップモーション・アニメの巨匠、フィル・ティペット御大(左側)
ウィリアム・H・メイシーとティア・レオーニが演じる元夫婦とその息子の一家にサム・ニール演じるアラン・グラント博士が付き合わされる話で、トレヴァー・モーガン演じるエリックと一緒にパラセイリングしていたベン(マーク・ハレリック)が死んじゃってるのに、元夫婦が元さやに戻ってまた家族が一緒になれてよかったね、みたいなお気楽なラストはどうなのかと思ったし、正直なところ、あのカービー家の家族の物語にはあまり興味を持てなくて、これが「ジュラシック・パーク」三部作の完結篇、と言われると初公開当時観た時には物足りなさがあったんだけど、続篇である「ジュラシック・ワールド」三部作も完結した今観ると、シリーズの一編としては全然悪くないな、と。
VFXに関しては、2023年の今観ると冒頭のパラセイリングの場面での合成が結構気になったし、遠景での恐竜たちのCGがいかにもCGにしか見えない、という粗もあるけれど、前作、前々作から進歩している部分もあるし、テンポがいいのでダレることはない。
『ジュラシック・ワールド』の感想にもちょっと書いたけど、グラント博士って別に戦いやサヴァイヴァルのプロじゃないので(まさか殺されることはないだろうとは思いつつも)ハラハラさせられるし、ほんとに僕たち観客と同じような立場として彼らを見られるので、そこが他のアクション映画などとは違うところなんですよね。
いつ、誰が殺されてしまうかわからない。まぁ、『ジュラシック・ワールド』以降はほとんど主要キャストは死なないんだけど。
そういえば、ラプトルたちにワナとして利用されて、それがグラントたちにバレると殺されてしまったユデスキーを演じているマイケル・ジェッターって、テリー・ギリアム監督の『フィッシャー・キング』(感想はこちら)で甲高い歌声のおじさん役だった人ですね。ヒゲはキープし続けてるんだな(^o^)
この映画のティア・レオーニ演じるアマンダってあまり評判がよくない印象で、確かに島に着陸したらいきなりメガフォンでデカい声で息子の名前を呼んだり、そのあと不時着してからもやっぱり馬鹿デカい声で「エリック!!」と叫んでてイラッとさせられはしたんだけど、でも子どもを捜しにきた母親としては当然の行動でもあるし、ベンの死体を見て取り乱すのも無理はないことかと。
でもそのあと、恋人だったベンが死んだことを悲しむんじゃなくて我が子の心配だけしてるところがまた^_^; あまりにも薄情だろ。
ティア・レオーニさんは『ディープ・インパクト』(1998) にも出ていたし、綺麗な女優さんだなぁ、と思っていたけど、この映画ではちょっと損な役回りだったかな。下着姿を披露してくれてましたが。
元夫・ポール役のウィリアム・H・メイシーはあの当時、頼りなさげな男性役が多かった印象が(その後も『ルーム』で同様の役柄を演じていたが)。
この映画では、最後に家族の絆を取り戻すお父ちゃんを演じていて儲け役ではあったけど、グラントに殴られたりやっぱり情けない役でした。
前作『ロスト・ワールド』のマルコムの娘・ケリーや恋人のサラなどと同様、今回のカービー一家やグラントの弟子のビリー(アレッサンドロ・ニヴォラ)も本作品限りの出番で、その後はどうなったのか不明。
エリック役のトレヴァー・モーガンはM・ナイト・シャマラン監督の『シックス・センス』(感想はこちら)でハーレイ・ジョエル・オスメント演じる少年を苛めるクラスメイト役でした。今何やってるんだろう。
前作には出ていたジョン・ハモンド役のリチャード・アッテンボローも今回は出演はしてなくて、名前だけで触れられるのみ。
代わりにローラ・ダーン演じるエリー・サトラー博士がちょっとだけ出てきて、グラント一行を救う。
二人は2022年に公開された『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』で再会を果たす。
『ジュラシック・パークIII』の中で、エリックはマルコム博士をディスっていて、グラント博士もそれに同意する。マルコムさん、お気の毒。
彼もまた、『新たなる支配者』で再登場する。
『ジュラシック・パークIII』では当初、プテラノドンがヘリを襲う場面が考えられていたそうだけど、それは『ジュラシック・ワールド』でようやく実現しました。
この『ジュラシック・パークIII』とその次の『ジュラシック・ワールド』の間は14年空いてるんだよね。長かったよなぁ。
恐竜たちが生息していた期間や、彼らが絶滅してから経った年月に比べれば、30年なんて地球の歴史からするとほんの一瞬ではあるのだけれど、それでも出演者の中にはすでに亡くなっている人もいるし、14年とか30年という時間は僕たち人間にとってはけっして短くはないことを実感する。
1993年から2001年の間に作られた「ジュラシック・パーク」三部作を観終わったら、今度はその次の「ジュラシック・ワールド」三部作がまた無性に観たくなってきた。
「ジュラシック・ワールド」三部作、特に2作目の『炎の王国』(感想はこちら)では過去の「ジュラシック・パーク」シリーズへのオマージュと思われる場面が頻出する。やっぱり「シュラシック・パーク」が原点なんだよね。
いつか全6作品が続けて上映される日は来るだろうか。
実質8年間と7年間、計15年かけて作り続けられたこの壮大なシリーズは、これからも繰り返しTVで放映されるだろうし、新しいファンも生み出していくでしょう。
またスクリーンで観られる日を楽しみにしています。