2月27日(現地では26日)にアカデミー賞授賞式が行なわれて、受賞作品が発表されました。
作品賞は『ムーンライト』。さらに助演男優賞と脚色賞の全3部門受賞。
『ラ・ラ・ランド』は6部門、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』が2部門受賞。
受賞者の皆さん、おめでとうございます。
しかしプレゼンターに作品賞が誤って伝えられて発表されてしまうアクシデントがあったり、さらに追悼映像に別人の映像を流したりといろいろやらかしてますね^_^;
プレゼンターはフェイ・ダナウェイとウォーレン・ベイティの『俺たちに明日はない』ペア
僕はまだ授賞式の模様は観られていませんが、さまざまな記事を読んだりして、どうやらトランプ大統領を批判するスピーチがいくつもあったことを知りました。
それについてブログで「政治的発言は控えるべきでは」と苦言を呈していた人がいたんですが、僕はむしろ今しっかりと言葉に出して移民や外国人への差別や排斥にハリウッドが「否!」と言うことはとても重要だと思います。*1
ハリウッドでは多くの海外から来た人々が活躍しているのですから。
以前メリル・ストリープが行なったトランプ大統領(直接名前は出していないが)への批判に対して、早速大統領自らTwitter(このおっさんからスマホを取り上げたら悶えて死ぬんじゃないか。誰か試してくれないかな)でストリープさんへの反論、というよりも“中傷”を行なっていましたが、ああいう行為に対してなんとも思わない方がどうかしてる。
「政治的中立」などと言って言論を抑圧して、その実自分は中立でもなんでもない者たちがこの国にもいますが、僕は黙って見過ごすことでそういう人間たちの片棒を担ぎたくない。
映画の祭典なんだから「政治的発言」をするな、などと言って現実に目をつぶってただお祭り騒ぎをしていればよい、彼ら受賞者たちが笑顔で愛想を振りまいていればいい、と思ってるなら、あまりに頭がおめでたすぎる。
ハリウッドのトップ俳優や監督たちは、さまざまな立場の人々の代弁者でもあるのだから。その地位を使って発言することは彼らの権利でもあり、時には義務でもある。その言動には責任がある。彼らは人々の模範になれるのだ。
ちなみに、主演男優賞を獲得したケイシー・アフレックに対して昨年主演女優賞を獲ったブリー・ラーソンが拍手やハグを拒否したという記事も読みましたが(ここに書かれているケイシー・アフレックのセクハラ行為が事実なのかどうかはわかりませんが)、僕はこのように自分の意思を公の場でハッキリと表明して態度で示す勇気ある人たちを尊敬します。
有名女優が受賞者への拍手を拒む異例の事態 アカデミー賞で物議醸す
「白すぎるオスカー」と批判もされた昨年とは打って変わって今年はアフリカ系の俳優たちや彼らが出演した作品が受賞したりしましたが(相変わらずそれ以外の有色人種の数が圧倒的に少ないが)、アカデミー賞は所詮ハリウッドの内輪のお祭り、と言われながらも、やはり多くの観客にも影響を与えます。
だから悪しき部分は改善されてほしいし、善きことはぜひこれからも続けていってほしい。
こういうところを日本でも「アカデミー賞」などと名乗っている某映画賞も見習ったらいかがでしょうか。
■作品賞
『ムーンライト』(感想はこちら)
■主演男優賞
ケイシー・アフレック 『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(感想はこちら)
■主演女優賞
エマ・ストーン 『ラ・ラ・ランド』(感想はこちら)
■助演女優賞
ヴィオラ・デイヴィス 『フェンシズ(原題)』
■監督賞
デイミアン・チャゼル 『ラ・ラ・ランド』
■脚本賞
ケネス・ロナーガン 『マンチェスター・バイ・ザ・シー』
■脚色賞
バリー・ジェンキンズ、タレル・アルヴィン・マクレイニー 『ムーンライト』
■外国語映画賞
『セールスマン』(イラン)
■長編ドキュメンタリー映画賞
『O.J.:メイド・イン・アメリカ(原題) / O.J.: Made in America』
■短編ドキュメンタリー映画賞
『ホワイト・ヘルメット−シリアの民間防衛隊−』
■短編アニメーション賞
『ひな鳥の冒険』
■短編実写映画賞
『合唱』
■歌曲賞
「City of Stars」 『ラ・ラ・ランド』
■美術賞
デヴィッド・ワスコ、サンディ・レイノルズ・ワスコ 『ラ・ラ・ランド』
■撮影賞
リヌス・サンドグレン 『ラ・ラ・ランド』
■メイクアップ&ヘアスタイリング賞
『スーサイド・スクワッド』(感想はこちら)
■衣裳デザイン賞
コリーン・アトウッド 『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』
■視覚効果賞
『ジャングル・ブック』
『ズートピア』が予想通り長編アニメーション賞を受賞。嬉しい(^o^)♪
そう、『ズートピア』で描かれていたように“多様性”こそが大切なんだよね。
受賞作品の中で僕がすでに観ているのは『ズートピア』と『スーサイド・スクワッド』、そして公開が始まったばかりの『ラ・ラ・ランド』だけですが、これから受賞作品が続々と公開されるので楽しみです。
*1:外国語映画賞を獲ったイラン映画『セールスマン』のアスガー・ファルハーディー監督は、トランプが発令したイスラム圏7か国出身者の入国を禁止する大統領令への抗議で出席をボイコットした。