ニコラス・ストーラー監督、セス・ローゲン、ザック・エフロン、ローズ・バーン、クロエ・グレース・モレッツ、アイク・バリンホルツ、カーシー・クレモンズ、ビーニー・フェルドスタイン、セレーナ・ゴメス、デイヴ・フランコ出演の『ネイバーズ2』。2016年作品。日本劇場未公開。R-15。
マック(セス・ローゲン)とケリー(ローズ・バーン)のラドナー夫妻は家を売りに出して、幸い買い手が見つかる。ところが、かつて夫婦とバトルを繰り広げた元・隣人のテディ(ザック・エフロン)の助言で隣の家にシェルビー(クロエ・グレース・モレッツ)をはじめとする大学のソロリティ(女子友愛クラブ)のメンバーが引っ越してくる。売り家の買い手には30日間の猶予があり、キャンセルされればマックたちはすでに購入した新しい家とともに持ち家が二つになってしまう。なんとかその間おとなしくしてくれるよう新しい隣人に頼むが、女子大生たちは聞く耳を持たず連日騒々しいパーティに明け暮れるのだった。次第に一家と女子大生のバトルはヒートアップしていく。
心底くだらない映画を観てしまった…。
「くだらない」という表現は時に褒め言葉として使うこともありますが、今回に限っては言葉本来の意味。本当にくだらない映画だった^_^;
いや、最初にYouTubeで予告篇を観た時からすごくくだらなそうなのはわかってたから、本気でディスる気もないけど。
でも、意外と面白かった、とかいうことは全然なくて、ユルくてどーでもいい内容の、観終ったら一瞬で忘れる類いの作品でした。
しかも『ネイバーズ2』といっても、僕は1作目を観ていないんですが。
前作を観てなくても、なんとなくお話はわかるけど。
前作は一応、日本では一週間だけ限定で劇場公開されたりDVDにもなってて好きな人もいらっしゃるようですが、どう考えても観ている人の数はきわめて限られているだろうから、その続篇についてここで僕が何を書こうと腹を立てるような人もあまりいないでしょう。
実際観てみたら、案の定、日本じゃDVDスルーも致し方あるまい、という代物だった。*1
じゃあ、なんでそんな映画を観たのかといったら、クロエ・グレース・モレッツが出てるから。
今回は水着なのか下着なのかよくわかんないビキニ着て頑張ってます。
ってゆーか、『キック・アス』(感想はこちら)でナギナタ振り回して暴れてた小学生が今じゃ大学生役。もう二十歳ですよ(お誕生日おめでとう)。
劇中では「処女卒業おめでとう!」なんていって、みんなから祝われてるし。相手が誰とかそういう描写は一切ないですけど。
おじさん、なんだか涙目になって遠くを見つめながら旅に出たくなっちゃう。
心なしか、年々彼女の声がハスキーになっていってる気がするんですが。
ちなみに、クロエちゃんのファンを自称しながら、僕はついに去年は1本も彼女の出演作を観ませんでした。
劇場で2本の映画(『フィフス・ウェイブ』『ダーク・プレイス』)が公開されて、しかもその中の1本は主演作だったのに。ファン失格ですな。
観る前から、どちらもちまたでの評判がかなり微妙だったからですが…。
今、微妙な映画をあえて映画館で観たいと思わなくて…しんどいので(;^_^A
言い訳ですが、僕はやっぱり好きな女優さんが出てたらなんでも観る、というんじゃなくて、それなりに面白い映画じゃないとキツいんですよ。女優さん目当てじゃなくて、あくまでも自分の中では映画そのものがメインなので。
クロエちゃんのエージェントの人は、もうちょっといい企画探してきてほしいなぁ。
なんか、これぞ!って作品に全然恵まれていない。
2014年の『イフ・アイ・ステイ』(感想はこちら)と『イコライザー』(感想はこちら)はよかったですけどね。『イコライザー』はちょっとだけしか出てないが。
そろそろまた面白い映画に出てほしいなぁ。
…で、この『ネイバーズ2』は見るからにくだらなそうで最初から期待もしていないから、ビールでも飲みながら脱力して何も考えずに軽く観られるんじゃないかと思って。
その通りでしたがw
とはいえ、結婚直前のバチェラー・パーティで羽目を外しすぎて大変なことになる男たちを描いた『ハングオーバー!』や、結婚式の花嫁介添人にまつわる女性たちのドタバタを描いてローズ・バーンも出てた『ブライズメイズ』(感想はこちら)なんかも僕は面白かったので、やっぱり作品の出来の問題だと思う。
面白けりゃお下劣だろうが中身がなかろうがそんなのオッケーなんだから。
ところで、映画の前に同じくDVDスルーの新作の紹介があったんだけど、それが『キンダガートン・コップ2』。そして主演はドルフ・ラングレン!
凄腕刑事が幼稚園の保父さんになる、というシュワちゃん主演の『キンダガートン・コップ』のまさかの20数年ぶりの続篇。
しかも今回の主演はイワン・ドラゴにして人間核弾頭、エクスペンダブルズのドルフ・ラングレンという出オチ感たっぷりでもう満腹w
予告だけで満足したので多分、映画本篇は観ませんが^_^;
さて『ネイバーズ2』ですが、冒頭でチアガールのコスプレをしたローズ・バーンがセス・ローゲンとベッドで夜の営みをしていて、その直後にゲップの連発とセス・ローゲンの顔面にリアルな色と形状のゲ○を噴射する。
いきなりか!^_^;
見るたびに顔がシワシワになってきているローズ・バーンだけど、僕はこの人なんか好きなんだよなぁ。
シリアスな映画への出演も多い人だけど、こういうアホな映画にも出てくれるのは嬉しい。
どーでもいいけど、『ヒストリー・オブ・バイオレンス』でもやってましたが、アメリカではチアガールのコスプレをしてプレイするのが人気なんでしょうか。それともあの映画のパロディだったのか?
さらにクロエちゃんたちは嫌がらせに経血で染まった使用済みのタンポンを窓に投げつけたり、腹のシックスパックを見せびらかしながらみんなの前で踊っていたザック・エフロンがキンタ○出したり(もちろんニセモノですが)、思いだした頃に知能指数の低い描写が繰り出される。
こうやって書くと結構面白そうなお下劣コメディみたいだけど、そんなに爆笑できるギャグが連打されるわけでもないので(ユダヤ・ネタもビミョーだし^_^;)、やっぱりユル~いコメディ、というかコントみたいなの。
もうね、これはほんとにアルコールか大麻摂取しながら(捕まります)脳が麻痺した状態で観たら心地よいのではないかと。
だからそういうテキトーに観てりゃいい映画に対してなんかクソ真面目にコメントとかするとバカにされそうけど、でも僕にはアメリカの大学のパーティピーポーの話とかマジでどーでもいいので、自分なりの面白がり方を模索しながら感想を書いていきます。
ネタバレとか関係ないよねw
よーするに、これはアメリカの大学における友愛クラブ(フラタニティ&ソロリティ)を描いたもの。
1作目は主人公の子持ち若夫婦とフラタニティ(男子)とのバトルだったのが、今回はソロリティ(女子)との戦いということのようで。
大学の友愛クラブというと記憶に新しいのは、ピクサーアニメの『モンスターズ・ユニバーシティ』(感想はこちら)。
ソラマメみたいな緑色のモンスターのマイクと青い毛むくじゃらのサリーは大学で「ウーズマ・カッパ」という名の友愛クラブに入る。イケてる奴らのクラブの名は「ロアー・オメガ・ロアー」だった。
『ネイバーズ2』でも“なんちゃらサイ”、みたいな名前も出てたけど、フラタニティとソロリティの名前にはギリシャ文字が使われるんだそうな。だからカッパ(Κ)とかオメガ(Ω)とかついてるんですな。
「友愛」とかいうとなんだか秘密結社っぽいけど、つまりは大学のサークル。
クロエ演じるシェルビーは大学に入学して早速女子の友愛クラブに行ってみるんだけど、彼女が望んでいたマリファナ吸いまくりの“パーティ”は男子にしか許されてなくて、だから女の子たちはみんな男子たちが催したパーティに行く。
しかし男どものフラタニティは女の子のカラダ目当てのヤリサーばかりで、嫌気がさしたシェルビーは知りあった他の女子たちと一緒に新たにソロリティ「カッパ・ニュー(ΚΝ)」を結成する。
でもメンバーの宿泊用の家は家賃が高すぎて借りられない。
そこへ前作で若夫婦と因縁浅からぬ関係となったテディが現われて、パーティを開いて大勢人を集め参加費を取ってそれで家賃を賄えばいい、と助言。
お隣がうるさいと家が売れないんでラドナー夫妻はまたしても窮地に立たされるが、女の子たちにウザがられて「カッパ・ニュー」から追い出されたテディが彼らに寝返り、ここに幼稚な大人たちとイケイケ女子大生集団との本格的なバトルが勃発。
DVDのジャケットとか予告篇などではイケイケとかエロエロ女子大生、などと紹介されてるけど、クロエちゃん、もといシェルビーは男たちが女の子相手に好き勝手やってるヤリサーが嫌いで自分たちのソロリティを作ったわけで、ドンチャン騒ぎしてはいるもののあくまでも女の子たちにとって居心地のよいサークルを目指している。
それ以前に、君たちは勉強はどうしたのだ?と問いたいが^_^;
そりゃアメリカの大学だって猛勉強して真面目にキャンパスライフを送ってる学生だって大勢いるだろうけど、でもハリウッド映画では毎晩飲んで踊ってバカ騒ぎする連中を描いたこういう作品って多いですよね。
『スーパーバッド 童貞ウォーズ』(感想はこちら)なんかもそういう話だったし(あちらは高校生だが)。
ちなみに『童貞ウォーズ』はクリストファー・ミンツ=プラッセやセス・ローゲン、デイヴ・フランコなど、この「ネイバーズ」シリーズと出演者がかなりカブっている。
今回、クロエの友だち役で出ていたアメリカ版渡辺直美みたいな体型のビーニー・フェルドスタインは、ちょっと顔つきからして女版ジョナ・ヒルみたい*2だったしw
彼女がセス・ローゲン演じるマックの車のフロントガラスをぶち破って転がる場面(マリファナでハイになってるから痛みを感じないw)とかセス・ローゲンとザック・エフロンが脱いだり身体を張ったギャグは可笑しかったし(アイク・バリンホルツのピエロの真似が地味にツボだったw)、シリーズのお約束らしいエアバッグ・ギャグには思わず夜中に声出して笑っちゃいました。リアルにやったら死ぬってば(;^_^A
だからまぁ、笑える場面もありましたよ。
ディルドー(張形)を幼児のオモチャ代わりにしたり、女の子たちがシェイリーン・ウッドリー主演の難病映画『きっと、星のせいじゃない。』観て“感動ポルノ”みたいにみんなで泣くとかw
例のごとく下品なギャグはあるけど、エロはほぼ無し。
クロエちゃんは相変わらず肩幅が広くて二の腕がムッチムチ。
これぐらいヴォリュームある方が健康的で僕は好きですが。
マリファナ争奪戦
さて、そうやって口を半開きにして笑って観てればいい映画だけど、僕がちょっと気になったのは、アメリカにおける「友情」というものについて。
『ハングオーバー!』でも『ブライズメイズ』でもそうだったし、『童貞ウォーズ』もそうだったようにこの手のブロマンスとか同性同士での友情を描いたアメリカ映画って、主人公や登場人物たちがいつも「私たちって親友同士よね?」と確認しあったり、男同士で「俺はお前を愛してる!」みたいに言いあったりしていて、それがずっと違和感あったんですが、今回もそうでした。
ザック・エフロン演じるテディは、同じフラタニティに属する友人のピート(デイヴ・フランコ)が同性愛のカレシからプロポーズされて結婚することになってショックを受ける。
僕は前作を観ていないので彼らの関係をよく知らないんだけど、テディとピートは親友同士のようで、ピートがゲイであることも同じフラタニティのメンバーには周知の事実。
だから彼らの結婚の報告にみんなで歌を唄って祝う。
『童貞ウォーズ』に描かれていたように、ずっと仲がよかった同性の友人が結婚したり恋人ができて、自分一人が取り残されたような気分になって落ち込んだりヤケを起こしたりするという展開。
この時も、テディは親友を別の男に獲られることがショックなんだよね。よくあるパターンだ。
一方で、シェルビーたちもまた自分たちのソロリティの存続を巡ってモメて、そのたびに「私たちは友だちよ」みたいに言いあってはみんなで仲直りする。
彼女たちにとっては男よりも女同士の絆の方が大切、ということをやたらと強調する。
一見微笑ましいけど、この「友だち」とか「親友」というのの確認のしあいが僕にはすごく違和感があって。
『ブライズメイズ』でも感じたことだけど、「親友」ってのは互いに確認しあうような関係のことだろうか。
いつもツルんでる人がほんとに友人といえるかどうかはわからない。実はたいして仲がよくなくてもとりあえずいつも一緒にいる、ってことは特に学生の頃にはありがちだし(だから学年が替わったり卒業したらそれっきり、って人も結構いるでしょう)、互いに確認しあわなきゃいけないような関係で「友だち」とか、ましてや「親友」などといえるだろうか。
この映画でわかるのは、とにかくあちらの人々は付き合う友だちによって自分自身がランク付けされるということ。
イケてるのかイケてないのか、その評価は学生の時だけじゃなくて大人になってからもついて回る。
日本でいえばママ友に誰を選ぶか、とかメンバー同士でのマウンティング合戦みたいな感じか。
僕はそういうのを見るたびにウンザリするんですよね。
そんなのの一体何が楽しいんだろう、って。
自分が仲良くしたくたって相手もそうでなければ友人関係にはなれないし、友情も続かない。
こちらが望んだからってその人が「友だち」や「親友」になってくれるとは限らない。
タイミングや運だってある。
いつの間にか続いてる、そしてお互いに大切に想いあっている、ってのが友情とか親友なんじゃないのか。
僕は「ワイルド・スピード」シリーズで主役のヴィン・ディーゼルがやたらと「仲間」の大切さを強調したり、あるいは日本のラップの人たちが唄う「同胞(はらから)」みたいなのがよくわかんないというか、そうやって仲間意識をわざわざ強調すればするほど何か無理してるように感じられてしまうんですよね。
まぁ、共通の人種だの国籍だの宗教だので同属意識を煽るよりも、ただ「仲間」だから、というアバウトな理由の方が好感は持てますけどね。
映画が好き、ってだけで話が弾んだり仲良くなったりする、みたいに。
でも仲がいいのは結構だけど、「俺たち仲間だよな?友だちだよな?」っていちいち互いをチェックしあうのって窮屈じゃないですか?
自分だけがその場にいないとハブられてるような気がして不安になる、ってのと似て。
ほんとに居心地がよければそんなこと言わなくたって一緒にいるし、仮に離ればなれになってても大切な友人はずっと大切なままだと思うんだがな。
離れて忘れられてしまうなら、そこまでの関係だったということだし。
もちろん、いろんな事情で縁遠くなったり、相手によってはハッキリと関係を切る、ということもありうるけど、それはそれでしょうがないというか、人生にはそういうことだってある。
だからこそ、ずっと続いている友情はとてもかけがえのないものなわけで。
友情はステキだけど、それに捕らわれて縛られるのはかなわない。
アメリカの友愛クラブのドンチャン騒ぎにもまったく魅力を感じないし、そこでの関係から抜け出せない人々にも何一つ共感を覚えない。
アメリカほどではなくても、日本にもあるそういう「ここに属してれば自分に利益がある」っていう打算や損得勘定みたいなものによる所属意識ってほんとにつまらない。
この映画を観ていてつくづく感じました。
なんか急に真面目っぽいこと語りましたが、言っときますけどこれは“バカ映画”ですからw 脳みそカラッポにして観る映画です。
結局いがみ合ってた若夫婦と女子大生たちは仲直りして、めでたしめでたし。
毒にもクスリにもならないお話でした。
いやまぁ、クロエちゃんは出ずっぱりだから彼女のファンの人は観たらいいと思いますが。
彼女は今年も公開予定の映画はあるようだけど、ひと頃ベッカムの息子と付き合ったり別れて「女優の活動は休止する」みたいなこと言ってたのは、もう撤回したんでしょうか。
いや、ただゴシップで騒がれるよりも本業の女優のお仕事で活躍してくれた方がもちろん僕は嬉しいですけどね。
人魚姫を演じる話はどうなったんだろう。肩幅広い人魚になりそうだよなw
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