映★画太郎の MOVIE CRADLE 2

もう一つのブログとともに主に映画の感想を書いています。

「あさが来た」を観終えて


あさが来た」が終わってしまった。

ついこの前、嬉しそうに“ぱちぱちはん”を振ったり木に登ったり相撲取ったり“おいど”を叩かれたり「なんでだす?」「びっくりぽんや」と両手で口をギュッとやってた娘さんが、もう大阪の貫禄ある実業家にして日本の女性教育に携わった大立者になって、そして今日“あさ”は行ってしまった。

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2つ前の「マッサン」も毎日愉しく観ていて終了の時には名残り惜しくて仕方なかったけど、この「あさが来た」はさらに半年間が早く感じられて「えっ、もう?」って感じです。


とはいえ「マッサン」は個人的にウイスキーを愛飲していることもあって思い入れがあったものの、モデルとなった竹鶴政孝についてちゃんと学習したわけではなかったのと同様に、今回のドラマのモデル、広岡浅子についても恥ずかしながらまったく不勉強なまま。


あくまでも毎朝の恒例行事として視聴し、Twitterでの実況も楽しませていただきました。

AKBの歌を半年間毎日繰り返し聴くようなことは今までなかったし、多分これからもないw

今後も「365日の紙飛行機」(https://vimeopro.com/tsutsutsu/mv/video/417099214)を聴くたびにこのドラマのことを思いだして、ちょっと胸が熱くなったりするんだろうなぁ。ってゆーか、泣いてまうわ(T_T)


その距離を競うより 

どう飛んだか どこを飛んだのか

それが一番大切なんだ さぁ、心のままに


ヒロインの“あさ”を演じる波瑠さんはとてもキュートな娘時代と仕事であちこち奔走する妻・母となってからを見事に演じ分けていて、ご本人も「楽しいことばかりでなく、悔し涙を流すこともあった」と振り返っているように、常に反省から学ぶその姿勢はあさと重なるところも多い女優さんだったのだな、とあらためて感じました。

朝ドラのヒロインって、“天然”でけっこう鈍いキャラクターであることも少なくなくて、そういう鈍さがしばしばまわりを引っ掻き回すようなこともあるのだけれど、「あさが来た」のあさはけっして鈍感でもなければ(唯一、男女関係には疎いが)愚かでもない。

クソ真面目なだけでなく愛嬌もあって夫のことも立てて、それでも自己主張はしっかりする。間違ったら謝って反省する。同じ間違いは繰り返さない。

同じ大阪が舞台でやはり実在の人物がモデルだった「カーネーション」のヒロインの口よりも先に手が出る「ほんとにいそう」なリアリティに対して、こちらのあさは「こんな人がいたらどんなに素敵だろう」と憧れられるキャラクターだった。

あさから感じる凛とした聡明さは、きっと演じる波瑠さん自身が持っているものなんだろうと思う。


朝ドラ初の「髷モノ」という珍しさや制作費の高さなどもあって、個人的には一種の異世界モノのような感覚もあった。

時代劇ってファンタジーっぽいですからね。


あまちゃん」を観終えた時にも書いたけど、僕はどうも現代を舞台にしたドラマが苦手らしく、特に朝ドラは現代モノだと入り込めないようで、だから前作「まれ」はほぼ途中でリタイア。

大人気だった「あまちゃん」でさえもハマれなかったのだから、要するにドラマのクオリティに関係なく今ではない「過去」が舞台でないと集中して観られないのだ。

だからそんな僕にはこのドラマはうってつけだった。

何しろドラマの始まりが幕末で、終わるのがまだ大正時代ですから。

20代の女優さんが初老の女性を演じたり、ほとんど年の違わない俳優さんたちが親子を演じるといったかなり無茶な設定も、歴史モノとか時代劇というお約束の中だからこそなんとか通用する。いちいち細かいツッコミを入れずに済む。

現代とは生活形態も価値観も異なる時代だから、と。

それと朝ドラ(大河ドラマもそうですが)って、TVを観ている視聴者も想像力を働かせることで演じ手の俳優さんたちと一緒にキャラクターを作り上げていくんですね。

さまざまなお約束で成り立っている舞台劇に近いものがある。

歴史モノだとその作業がしやすいんですよね。現代劇だとちょっとした違和感が気になって物語に入り込めなかったりするので。

実在した歴史上の人物が主人公とドラマの中で絡むのも歴史モノならではですし。

また舞台が「過去」だからこそ、毎日やっている朝ドラで描けることもある。

女性の社会的地位の向上。女性が学問を修め仕事を持って社会に出ていく。仕事と家庭の両立。それ以外にも現在日本が抱える多くの課題についてさまざまに提言をしていたドラマでした。その姿勢が最後までブレなかった。

これまで観てきた朝ドラの中でも、特にハッキリと一本筋が通ったものだった。


そして朝ドラ恒例の、このドラマでブレイクした俳優さんたちの存在。

その模様をリアルタイムで観ていられたことは、確かに朝ドラならではの醍醐味でした。

Twitterでの視聴者の皆さんの反応で、このわずか15分の間に“スター”の誕生を目にすることができたわけだから。


放映期間6ヵ月、撮影期間10ヵ月を走り続けた出演者の皆さんに並走してきたような喜びを感じています。

あいにく僕は普段TVドラマを観ないので(普通にドラマをやってる時間帯に帰れないことが多い)、それぞれ出演者のかたがたの今後の活躍をちゃんとフォローすることは難しいかもしれないけれど、「マッサン」同様にこのドラマが自分にとって忘れられない作品となったことは確かです。

これからも再放送があれば観たいし、そのたびに本放映時の記憶が蘇ってきてアルバムをめくるような楽しさを味わえるだろうと思っています。

それにしても、NHKは特に女優さんの起用の仕方が絶妙だと思いますね。


子役からティーンまで、目のつけどころが民放とは明らかに違う。

キャスティング担当者に相当な目利きがいらっしゃるとお見受けします。

僕はいわゆるアイドルファンではなく、若手女優とかアイドルグループの人たちに注目することってほとんどないんですが、このドラマを観ている間は毎日キャッキャキャッキャ言いながら初々しい女優さんたちに(男優さんたちにも)元気をもらっていました。

そういうこと自体が自分には新鮮な経験だった。

だからお別れは寂しいけれど、関係者の皆さんには「10ヵ月間お疲れ様でした。本当にありがとう」とねぎらいとお礼の言葉を送りたいです。


さて、新しく始まる「とと姉ちゃん」はもうちょっと時代が下って現代に近い昭和が舞台。

ごちそうさん」でブレイクした高畑充希さんがどんなヒロインぶりを見せてくれるのか楽しみです。


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