映★画太郎の MOVIE CRADLE 2

もう一つのブログとともに主に映画の感想を書いています。

『サマーウォーズ』


※以下は、2009年の劇場公開時に書いた感想に一部加筆したものです。


監督:細田守、声の出演:神木隆之介桜庭ななみ横川貴大谷村美月斎藤歩富司純子ほかのアニメーション映画『サマーウォーズ』。2009年作品。

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インターネットの仮想空間“OZ”。謎の人工知能が人々のアカウントを乗っ取り、現実の世界は混乱に陥る。1年先輩の夏希(桜庭ななみ)の実家にアルバイトという名目で呼ばれた健二(神木隆之介)は、彼女の親族らとともにその人工知能「ラブマシーン」と戦うことになる。


以前もちょっと触れたけど、細田守監督の前作『時をかける少女』(以下ネタバレあります)は混み混みのテアトル新宿で観て、特にヒロインの声がイイなぁと思いました。

時をかける少女』(2006) 声の出演:石田卓也 板倉光隆 原沙知絵 谷村美月
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この時点ではまだヒロイン・真琴(よく知らないけど、この子のモデルは川本真琴ですか?)を演じた仲里依紗ご本人の顔は知らなくて、アニメアニメした声じゃないけど素人臭さもない堂々とした声の演技だなと。

何度もクルクルでんぐり返ししては後頭部ぶつけまくったり、大空に向かって「おりゃあ〜!」って超人的なジャンプかましたりするヒロインに里依紗嬢の溌剌とした声がうまくハマッてて、この映画の清々しさに大きく貢献してました。

現代版「少しフシギ物語」といった塩梅で、なぜかいつも高校の男友だち二人とつるんでる女の子が下級生の恋の手助けしてみたり、仲良し三人組も三角関係になりそーでならない、みたいな非常にミニマムな世界のお話。

青春物の佳作だと思うし好きな映画なんですが、劇場鑑賞時に気になったことをあえてムリヤリ挙げるとすれば、あれだけ仲がいい三人が互いに知り合ってまだ1年ぐらいしか経ってないというのが、そんなもんかなぁ、と。

たしかに中学とか高校時代って今より時間が凝縮されてたから、たった1年でまるで幼なじみみたいな親友同士になれても不思議じゃないのかもしれないけど。

その中の一人は実はこの時代の人間じゃなかったんだけど、そのわりに現代に馴染み過ぎてて喋り方から立ち居振る舞いまでその辺のあんちゃんにしか見えない、ってのも奇妙で。

その「普通っぽさ」がSFSFしてなくてかえって新鮮だったりもしたけど。「お前、タイムリープしてねぇ?…してるだろ」ってセリフはあまりにフツー過ぎて逆に効果的だった、ってのはあるが。

あとですね、真琴が泣く“理由”がちょっと納得いかなかったんだよなー。

「人が真剣に話してるのにちゃんと聞いてあげなかった」とかって、え、何言ってんの、と。

なんか上からだなぁオイ、と。 そうじゃなくてお前の気持ちはどうなんだよ、って引っかかったんだよな。好きなら相手の一言を待ってないで自分からコクればいいじゃん。

…なーんて、そんな細かいことにいちいちこだわっちゃうのも、それだけスクリーンに集中してたってことですが。その後TV放映で観た時はさほど気にならなかったんで。

そーいや今回の『サマーウォーズ』でもヒロインが泣いてたけど、細田監督って「うえ〜ん」って子どもみたいに声上げて泣く女の子にグッとクる人なのかしら。

あんな幼児みたいな泣き方する女子高生見たことないから、監督さんは何かそういう嗜癖の持ち主であるとしか思えませんがw

なんか、女の子が声上げて顔ぐちゃぐちゃにして泣くのを描写するのが好きなアニメ監督って最近多くないですかね。別にいいけど。

時かけ』は「恋愛」と「友情」に揺れ動くあの年頃の女の子の感情がよく描かれてて(って、女の子じゃないからよくわからんけど)、切ない気持ちになったなぁ。

映画は「未来」に想いを馳せるヒロインの後ろ姿とともに幕を閉じるけど、高校時代に同じ部活の子にコクって「友だちとしては好きだけど、そういうふうには見れないから」と、あっちゃりフラれて茫然と見送ったその後ろ姿がフラッシュバックして堪らんかったです。…せつねぇ!

…それはともかく、原作付きではあるけれどほぼオリジナルなストーリーでこういう作品が作られたってことに、誠にエラソーですが「アニメもまだまだ捨てたもんではないな〜」と思った次第です。

TVアニメの劇場版ってTV版を観てることがほぼ前提だからちょっと苦手なんで、「より広い客層に向けて作品を作る」という細田監督の意図は頼もしかったりする。

でもTVアニメの人気を当て込まずに映画のみで勝負しようという試みって、なかなか成功しないんですけどね。誰をターゲットにしてるのかよくわかんなかったり、中途半端な出来の作品になっちゃうことも多くて。

映画館でお金払って観たんだから言わせてもらうけど、『猫の恩○し』とか『ブレ○ブ・スト○リー』とか、僕はダメでした(好きな人ゴメンナサイ)。最後まで観続けるのシンドかった。

時かけ』はその課題をうまくクリアしていて(たしかに小学生が観てもつまんないかもしれないけど)クチコミで多くのお客さんが劇場に足を運んで、その結果上映館も増えたんだから、やっぱり凄いことだと思う。

細田監督は「今がんばってるのは宮崎駿監督だけ」とか、意識的な挑発なのか天然なのかわからないけど、某人気ロボットアニメを揶揄するような発言をして一部の人たちから反発食らったりしててちょっと微笑ましかったです。

千年女優』や『パプリカ』などの今敏監督*1押井守監督(『スカイクロラ』観てないけど)だって頑張ってると思うけどね。でも言いたいことはよくわかる。

前置きがすっごく長くなりましたが(いつものことで…)この辺で本題へ。


「時をかけない少年」。

…ん~、いやぁ、ウルッとキちまいました。

まぁ、僕の場合、感動のツボが他のみなさんとはちょっと違うとこにあるかもですが。

仮想空間“OZ”で暴れ回るあの悪のアバター「アンノウン」ね。


他のユーザーのアカウント奪ってパワーアップした姿。無言で繰り出す技やカブト被った不敵な面構え。その悪役ぶりにググッとキてしまったわけで。

サマーウォーズ」エクストラムービー
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最後のやられっぷりも見事でした。キングカズマにぶん殴られて鉛筆描きみたいな線でおもいっきりひしゃげる顔が、なんか物凄く悪意が込められたミッ○ー・マウ○みたいだった。国防総省からんでるし、アメリカに対する当てつけですか^_^;ワーナー配給なのに。


もちろん、喧伝されてる「大家族」のお話も良かったですよ。

つい最近祖父を亡くしたばかりだから実にタイムリーなテーマで。*2ちなみにどうでもいいけど、うちのおじいちゃんの先祖も武田家の家臣だったそーな。おばあちゃんが生前誇らしげに語ってました。

田舎を舞台にしてても村や旧家の閉鎖的な部分ってのは描かれず、日常的にネット利用して今現在を生きる人々の元気まる出しな姿には、ああいうおじちゃんやおばちゃん、兄さん姉さんたちいるよな〜、なんて思ったり。ガキンチョどもがカワイイ。

緋牡丹博徒のお竜さんが花札してるよ〜、とか(ひいおばあちゃん役が富司純子だから、ってだけですが)。森光子みたいにかくしゃくとしたおばあちゃん*3よりも、その息子役の永井(波平)一郎のセリフがロレッてて、そっちの方がよっぽど心配だったけど。*4

僕も主人公同様、いつも大勢が集ってる大家族とは無縁な生活してきたんで、あの戸惑いはよくわかる。新鮮というかくたびれるというか、親子や親戚同士、嫁も婿も含めてみんな家族、っていう感覚。


似てるとこもあるけどみんなそれぞれ独立した人格で微妙に違ってるし、反発したり絆みたいなもの感じたり。親族一同が集まった祖父のお通夜や葬儀の時に感じたことを思いだしました。

大家族、ってなんだか中小企業みたいだなと。社長さんが家父長で。苦手なんですけどね、ほんとはそーゆーの。でも人に揉まれてたくましくなる、ってのはたしかにある。そういう育ち方してきた人と社会でガチでやり合ったらハングリーさでかなわないもの。

なんか映画から話が逸れちゃいましたが。


クライマックスの花札勝負の決着は、まぁ、ああなるだろうなという感じで。花札全然知らないんで何がどうなったんだかよくわかんないけど、なんかもう雰囲気で見せられちゃいます。世界中の人々と一瞬だけど一体感を得られるあの結末が、テーマである「家族の絆」と重なって。

「一番ツラいのは、お腹が空くこと、独りでいることだから」っていうおばあちゃんの言葉は、当たり前のことなんだけどジ〜ンときました。

たかがゲーム。でもそれがゲームで終わらずに「地球の破滅」に繋がる話は“セカイ系”の一種でもあるんだろうけど、それと付け焼き刃ではない、実感のこもった「家族」を結び付けたところがこの作品の新機軸かな。ステキな「夏休み映画」でした。

僕もお盆にはお墓参りしてきます。


以上は2009年に書いた感想です。

その後、映画評論家の町山智浩さんがライムスター宇多丸さんのラジオ番組でこの映画をいろいろ褒めつつもいくつかツッコミを入れられていて、それが「あ、そういえば」って感じで。

町山さんのダメ出し。


ただ、僕は映画の公開時に劇場で観た時には町山さんが指摘されていたこと(栄ばあちゃんと一族がみんな体制側、権力側の人間だということや妾の子である侘助の扱いについてなど)に気づかなかったので、つくづく表面的なところだけ見てたんだなぁ、と反省することしきり。

それと「この映画にはギャグがない。もっとギャグを入れた方がいい」という町山さんの提言にも「なるほどなぁ」と。

その後、僕は日本製のアニメをほとんど観なくなってしまったので(昨年は『映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』→感想はこちらと『思い出のマーニー』→感想はこちらを観ましたが)、観ていない作品についてとやかく言う権利はないですが、確かにギャグがあまりないために観ていてツラいアニメーション映画って結構あるなぁ、と思いますね。

僕が最近はディズニーやピクサーのアニメしか観ないのは、それらにはちゃんと笑えるシーンがいっぱい盛り込まれているからです。

細田監督の『おおかみこどもの雨と雪』は映画館で観損なってTVの地上波での放映で観ましたが、笑えるような場面はなかったし、若い女性が子育てに奮闘するその内容も僕がアニメに求めるものではなかったので、「こういう路線だったら俺は観る必要はないなぁ」って思ってたんですね。

でも今年の夏に公開される最新作『バケモノの子』は予告篇観ると娯楽映画っぽかったので、興味が湧いて。

原恵一監督の『百日紅〜Miss HOKUSAI〜』も観る予定で久々に日本製のアニメに触れる機会が何度かあるので、これが吉と出るか凶と出るか、期待と不安で一杯です。


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*1:その後、惜しくも亡くなられてしまいましたが。

*2:2009年のことなのでもう6年前ですが。

*3:森さんも亡くなられてしまいましたが。

*4:永井一郎さんも…。ご冥福をお祈りいたします。