※以下は、2010年に書いた感想です。
入江悠監督『SR サイタマノラッパー』と『SR サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム』を続けて鑑賞。
田んぼが広がるサイタマ県フクヤ市。ヒップホップグループ“SHO-GUNG”のメンバー、IKKU(駒木根隆介)はニート。世界的なラッパーを夢見ながら今日もブラブラ過ごしている。東京でAV女優をやっていた高校の同級生・千夏(みひろ)が帰ってきて戸惑うIKKU。やがてメンバー間がギクシャクしてきて決定的に決裂してしまう。
実は『SR サイタマノラッパー』には、2009年2月に“ゆうばり国際ファンタスティック映画祭”でニアミスしてるんですよね。
その時は会場にやたらとお客さんが入ってるので「なんだろう」と思ってたら、中からラップみたいなのが聴こえてきて、どうやら出演者らしき人たちが生で歌ってる模様。
でも自分が参加してる上映イヴェントがあったことや、何しろまだその映画のことを何も知らないので“日本語ラップ”にまったく免疫も興味もない身としては「何かイタいことやってる」という印象しかなくて、スルーしちゃったのでした。
その後、クチコミで評判になってることを知って「へ~、そうなんだ」と。
で、あれから一年以上経って、今回その『サイタマノラッパー』の新作と前作とを一緒に上映してるというので観に行ったわけです。
まずは『SR サイタマノラッパー』。
以下、ネタバレあり。
最初のうちはちょっと演技がビミョーな感じの出演者たちや「Yo〜Yo〜♪」みたいなやりとりに寒気がしたんだけど、やがて主人公のIKKU君の描写はもう他人事ではなくなってくる。
ラッパー気取りのIKKUがヒロインの“みひろ”に「働けよ」と言われてしまうところからすでに非常に身につまされるものが…。
このみひろさんは基本的に主人公に対して悪態しかつかない。
なんかそういうプレイをしてもらってる気分にもなってくるが、でも最近ってAV女優さんも演技が達者だよね。
みひろさん(なぜか“さん”付け)もAV引退していまはタレントとして活躍中だけど、一般映画でこれからも頑張ってほしいですね。
んなこと言ってると、IKKUみたいにみひろさんから「お前が頑張れよ、バーカ」って言われちゃいそうだが。
なんか最近いろんな映画で女優さんに「お前頑張れよっ」って言われてる気がする。
玄関のカーテンから出たり入ったりしてるうちに死んじゃうタケダ(TKD)先輩には笑いました。続篇では伝説になっててやたらリスペクトされてるし(僕も普段から多用するこの“リスペクト”って言葉も、元々日本ではヒップホップの世界で使われだしたのが最初なんだとか)。
ライムスター宇多丸師匠(ヒップホップは聴きませんが師匠の映画評は拝聴しとります)が「ヒップホップは言葉を持たない者たちに表現の手段を与えた」というようなことを言ってて、それには「なるほど~」って納得したんだけど、でも実際に聴いてみると「…よーするに、ダジャレじゃねーのか?」と、どっかの「デトロイト・メタル・シティ」の人みたいなこと言っちゃいそうになるんですが(無知ゆえですのでヒップホップ・ファンのみなさん怒らないで下さい)。
20代後半で「大人たちは~♪」とか言ってるしなぁ。
でもほんとの大人たちの目はとても冷静だし厳しい。
「この先どうやって食べていくんですか?」という質問には黙るしかない。
チンピラにコンビニの前でボコられ後輩には見限られ、仲間だと思ってた奴に「お前らがヒップホップって、マジ無ぇから」と捨て台詞を吐かれても何も言い返せない。
ラストシーンのいたたまれなさはここ最近観た映画の中でダントツでした。
どんなに世間様から「甘い甘い」と言われたって、新聞から切り抜いてきた付け焼刃の「政治」とか「戦争」ネタなんかよりも、こういうことの方が断然リアリティがあるもの。
これ、このあと続けて『2』を観なかったらちょっとキツかったです(>_<)
なんかもう胸がイタ過ぎて…。
この「半径1メートル」から抜け出すために、今日もバイトに勤しもう。
あ、そーいえば、夕張ではRioさんも観そびれたんだよなぁ。AV女優に生で会いてぇなぁ~←救いようがないバカ。
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