映★画太郎の MOVIE CRADLE 2

もう一つのブログとともに主に映画の感想を書いています。

『カケラ』


※以下は、2010年に書いた感想に一部加筆したものです。5年前なのでところどころ感覚が2015年現在とズレてますが、ご容赦を。


安藤モモ子監督、満島ひかり中村映里子永岡佑出演の『カケラ』。

劇場公開2010年。

www.youtube.com

満島ひかり

ずっと気になってたけど、でも彼女が出た作品をまだ一本も観ていませんでした。 *1

同じ映画館でやってた園子温監督の『愛のむきだし』は4時間(!)という上映時間に怖気づいて結局観られず、金子修介監督の『プライド』も未見。

愛のむきだし』(2009) 監督:園子温 出演:西島隆弘 満島ひかり
www.youtube.com

特撮ファンなら平成モスラに出てた子だ、と思うのかもしれないけど、スイマセン、それも観てないです。所属していたというアイドルユニットのフォルダーも知らない。

んで今回、ちまたで日本映画を牽引しているという噂の女優(?)、満島ひかり主演映画をようやっと鑑賞と相成ったわけで。

監督は俳優・奥田瑛二の長女。妹は女優の安藤サクラ成海璃子主演の『罪とか罰とか』でのグラビアクイーン役も貫禄十分だったけど、『愛のむきだし』でも凄いんだそうで*2)。

ちなみに奥田さんは僕の母校の遠い遠い先輩で、学校で講演もされました。開口一番「こんにちは、少年隊です」とカマされたんだけど、高度なギャグだということを理解できなかった僕たちは一瞬ざわついて(時代がうかがえるけど、あの当時だって“少年隊”はなかった)そのあとムリヤリ拍手したのを憶えてます。


それはいいとして、『カケラ』。

大学生の女の子が知らない女性からいきなり声かけられて付き合っちゃうという話。


まぁ、なんか痴話喧嘩みたいなことしたり彼氏と別れたり、いろいろあるけどストーリーでグイグイ見せてく作品じゃない。

いつもボ〜っとして半分口開いて鼻の下にココアやミルクのヒゲつけたりしてる主人公“ハル”を満島ひかりが演じてる。

…まじまじと見るとコアラみたいな顔した子だな〜。

ふ~む。

彼氏に服脱がされて無造作に寝転がったりトイレのドア開けっ放しでオシッコしたり、急に生理になっちゃったり、お風呂場で見せる立派なお尻とか。

…う~ん、なんか90年代初頭から半ばにかけて、こういう映画いっぱい観た気がする。

女の子同士の男性の観客がドン引くぐらいのあけっぴろげなガールズ・トークの連発を想像(期待)してたんだけど、ふたりとも恋バナや下ネタトークに花を咲かせるキャラクターではないのか、そこはあえて描いてないのかわからないけど意外とおとなしく、かと思えば物凄く説明的な台詞で居酒屋でキレ合ったりして別の意味でこちらを引かせてくれます。

アパートとか駅前の商店街とか学校のキャンパスとか、ちょっとあやしげな夜のお店とかこの手の作品でお馴染みの風景。

学校行く前にうどん屋で腹ごしらえしたりして(この映画はモノ食う場面がやたらとある)。

髪をかき上げながらうどんをすすってる満島ひかりを見てて思ったんだけど、女の人ってなんで麺類食う時に眉間にシワ寄せるんだろ。まぁ、たしかにひとりで黙々とラーメンすすりながら笑顔を浮かべてる女の人がいたらそれはそれで不気味だが。

…話が逸れました。

なんていうか、多分この映画、20年前に作られてても20年後に作られてもそんなに違和感ないだろうな、って。

じゃあ、つまんなかったのか、っていうとそうでもなくて、新鮮味は感じないけど妙な懐かしさをおぼえたんですが。

満島さんのその“全身”でキャメラの前に立ってる姿には、綺麗に撮られるとか、売れるためとか関係なく、ただひたすらその役柄であり続ける“役者”としての姿勢が見えて素敵でした。


ハルは基本いつも受け身で自分から何も行動は起こさない。

彼氏から体を求められれば嫌でも無抵抗、中村映里子演じるリコに言い寄られたらそのまま付き合う。

「思いきり愛されたい」というのが彼女の願い。

主人公のこの欠落感の具体的な理由は映画の中では描かれないので、観客が自分でそこを埋めて欲しい、ってことなのかもしれない。

そしてリコ役の中村映里子。この人も初めて見るけど(実は『ハッピーフライト』で綾瀬はるかに話しかける女子高生役で観ていたんだけど、気づかず。他にもバイク王とかコンタクトレンズのCMに出てたらしいが)、長い髪とすらりとした体躯、凛とした表情が満島ひかりの役とは対照的。*3


しかし、当たり前といえば当たり前だけど、これは主人公が満島ひかりみたいなカワイイ子だから成り立つ話だよね。

普通にブサイクちゃんだったら、「愛されたいかな」とか言ってたら張っ倒されますよ(もちろんそれは野郎にもいえることなんだが)。

たとえば最後の最後に彼女が自分の意志で何か行動をおこしたら、この映画はもっと骨格がハッキリした「女の子の成長物語」になり得たんじゃないかと思うと、ちょっと残念。

い〜や、そぉじゃないんだよ、わかってねーな、って人がいたらぜひ教えて下さい。

桜沢エリカの漫画が原作らしい*4けど、桜沢エリカの漫画っていかにも女の子の部屋に置いてありそうで(ってゆーか置いてあるのを見た)、だからこれは10代後半とか20代ぐらいの女の子が観たら「わかるなぁ」って思う映画だったりすんのかな、なんて。

志茂田景樹を久しぶりに見た。生きてたんだ^_^;かたせ梨乃が付け乳見せてます。

あと女の子のワキ毛フェチの人にもお薦めです(タワシかっ、と思わず映画館で笑ってしまった。あれは彼氏の趣味か?)。

どんな映画だ^_^;

あれは監督に命じられてほんとにワキ毛を伸ばしたそうですが。素晴らしき女優根性。

キンタマついてりゃ偉いのか!」っていう台詞は今まさしく男たちが突きつけられてる言葉ですよね。


関連記事
『クヒオ大佐』
『悪人』

にほんブログ村 映画ブログへ にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

カケラ [DVD]

カケラ [DVD]

LOVE VIBES (YOUNG YOUコミックス)

LOVE VIBES (YOUNG YOUコミックス)

*1:その後、何本か鑑賞。でも主演作品はほとんどないけど。

*2:その後『SR サイタマノラッパー2』を鑑賞(感想はこちら)。

*3:NHK大河ドラマ軍師官兵衛」で福島リラとともに黒田家の侍女の一人を演じていた。ハルの彼氏役の永岡佑NHKの朝ドラや大河ドラマへの出演は多い。

*4:「LOVE VIBES」。