映★画太郎の MOVIE CRADLE 2

もう一つのブログとともに主に映画の感想を書いています。

『ランナウェイズ』


フローリア・シジスモンディ監督、ダコタ・ファニングクリステン・スチュワート主演『ランナウェイズ』。2010年作品。日本公開2011年。R15+

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ガールズロックバンドの草分け的存在であるザ・ランナウェイズのヴォーカル、シェリー・カーリーの目を通して少女たちの短くあわただしかった2年間を描く。


…って、僕は音楽にはとんと疎いので、ザ・ランナウェイズについてもよく知りません。

Cherry Bomb ザ・ランナウェイズ日本公演
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創立メンバーのひとりジョーン・ジェットも、『キック・アス』の劇中で彼女の曲「バッド・レピュテーション」が使われていて初めて名前を知ったぐらい。

Joan Jett - Bad Reputation
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そんな音楽にもロックにも無知な人間がなんでこの映画を観ようと思ったかというと、ダコタ・ファニング下着みたいな服でステージで歌ってるから。

それだけの理由。スイマセン。

とはいっても、じつは彼女が“天才子役”として一躍脚光を浴びるきっかけとなった『アイ・アム・サム』はちゃんと観ていません。

何年か前に日本でも公開された『リリィ、はちみつ色の秘密』のチラシでだいぶ成長した姿は知ってたけど、これも観てない。

主人公の声を担当したコマ撮りアニメ映画『コララインとボタンの魔女』は観たけど、吹替版だったので彼女の声は聴けず。

だから『宇宙戦争』でトム・クルーズ相手にピーピーギャーギャー騒いでたちっちゃな女の子が、気づいたらこんなにおっきくなっていたというわけで。もう18歳なのね、あのダコたんが。


その後DVDで彼女がデンゼル・ワシントンと2004年に共演した『マイ・ボディガード』を観たけど(感想はこちら)、なるほど、たしかに達者な演技でした。

ダコタ&エル・ファニング姉妹 トトロ 北米版
こんなおチビちゃんたちがもうあんなに成長して。オジサンはいろいろと感慨深いぞ。
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もう一つの理由は、たまたま最近DVDで観た『アドベンチャーランドへようこそ』(感想はこちら)でヒロインを演じていたクリステン・スチュワートジョーン・ジェット役で出てるから。


そんなわけで観に行ってきたのだが…たしかに歌って踊ってましたよ。下着姿でダコたんが。

何か見てはいけないものを見てしまったような気まずさも若干あるのだが。

以下、ネタバレあり。


1975年。父親はアル中で母親にはほったらかされているダコタ演じるシェリーがクリステン・スチュワート演じるヤンチャなジョーンと出会い、ザ・ランナウェイズに参加することに。

オーディションで自分のために書かれた「チェリー・ボム」を引っさげてトントン拍子にのし上がっていくかと思いきや、お色気担当、みたいな役割を担わされて篠山紀信に「激写」されてバンドのメンバーたちとは仲違い、プロデューサーの“フランケン野郎”キム・フォウリーには「お前らには疲れたり退屈する権利はない」といわれる。

来日の場面では謎の漢字が書かれた酒瓶や白塗りの女の人が出てくる危うい日本描写にハラハラしつつもなんとかやり過ごしたと思ったら、シェリーに限界がくる。

他のメンバーたちとは最初から音楽の趣味も違ってるし、バンドに賭ける想いもジョーンたちほど強く感じられないシェリーが長くは続かないことは予想できた。


こってりとメイクを塗りたくって疲労とクスリでやつれたダコタ・ファニングの顔が痛々しい。

目がなんか変なとこ向いてるし。

まぁ、よくある話、といえばそれまでだし、それ以上ではなかったけれど、ダコたんは頑張ってました。クリステン・スチュワートも。虫の好かない野郎のギターにオシッコかけたりしてたし。『アドベンチャーランド~』ではこの人は暗さが持ち味なのかな、と思ったけど、今回はそれにタフネスさが加わった。

シェリーの母親役でワンシーンだけだが『ペーパー・ムーン』や『がんばれ!ベアーズ』のテイタム・オニールが出ていた。エンドクレジット見てはじめてわかった。

新旧名子役の共演ですな。


“スター”になって音楽を続けるジョーンにバイト先から電話をかけるシェリー。でもお喋りはなし。

このシーンはなんだかしんみりとした。

主要キャラクターであるシェリーとジョーンが実際にどのくらい仲が良かったのかわからないが、映画の中ではふたりの関係がちょっと弱いので友情物としては物足りないし、バンド物としては他のメンバーたちの影が薄すぎる。

この映画はシェリー・カーリーの著書をもとに作られているから彼女が主人公だけど、ジョーン側の視点から描いたらまた違うものになったかもしれない。


「ウェイトレスで終わりたくない」といっていた少女は日常へ帰った。

「あたしのうちはここ」といっていた少女はステージに残った。

自分の場所がみつけられたら、それが一番幸せだよね。


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