※以下は2010年に書いた感想です。
富永昌敬監督、浅野忠信、美波、小池栄子、山田孝之出演の『乱暴と待機』。2010年作品。PG12。
いつも以上に頭が悪い感想ですんで、バカや下ネタが嫌いなかたはご遠慮いただいたほうがよろしいかも。
以下、ネタバレ…あるよーな、ないよーな。
まだ観てない人が読んでも、多分支障はないとは思いますが。
…まぁ、実にケッタイな映画である。
まったく予備知識なしで観たもんだから、どういう方向に進んでいるのやら、どこへ着地すんのかもわからず、大変不安な気持ちになりながらの鑑賞。しかしてその実態は…。
4人の俳優たちが繰り広げる不条理コント。
そう、コント。
コントだから「えっ、なんでそーなんの?」とか「コイツは一体何者なんだよ!」とか「こいつらはどーいう関係?」とか、いちいち気にしてたら観てらんない。
何しろほぼ上記の4人で90分ちょっとの作品をもたせようというんだから、お話がどーこーよりも、有名実力派俳優である彼らの繰り出すバカとエロを積極的に愉しむしかない。
原作は戯曲なんだそうな。
どうしてこの映画を観ようと思ったかというと、先日「ニコニコ動画」の「ニコ生」を長時間観てたら途中で何度も何度もこの映画の予告篇が流れて、「これは観なければ」と洗脳されてしまったのだった(弱ぇ…)。
予告篇の中にもなんかちょっとエッチそうな場面があったんで、そういう感じの映画なのかなぁ(PG12)、とは思っていたんだが…。
いやぁ、質の高いコントでした(^o^)
同じキャストでいろんなシチュエーションを延々と続けてくれたら喜んで観るんだけど。
この出演者の中の“美波”という女優さんは存じ上げなくて、でも顔を観た瞬間にどっかで見たことある気が…でも思い出せない、と上映中ずっと悶々としてたんだけど、結局記憶はよみがえらず。土屋アンナ主演の『さくらん』にも出てたそうだが。
で、観始めた直後に、これはきっと彼女に萌える映画なんだな、と察したのだった。
何しろお経唱えながら登場した瞬間から怪しすぎる。
しかもいきなり失禁^_^;
映画の中であんなに豪快におもらしする人、久しぶりに見た。
この人がまた、ぶっ壊れたヤンクミみたいな格好で(チャリ漕ぐ時にスウェットのパンツ上げすぎ)イってる眼つきや仕草、「ひゃうっ」つってビビるとことか、もうすべてがどうかしちゃっている。
なんでこういう役をやろうと思ったのか、機会があったら(ねーよ)一度じっくり聞いてみたい。
小池栄子はまたしてもおっかない目でガン見してるし。「いっぺん死ねよっ」って。この人も上や下からいろんなもん垂れ流してますが。
いつも「男前な女優さんだなぁ」と思うけど、それにしても『パーマネント野ばら』(感想はこちら)といい、ほんとに男運の悪い役が似合う女優さんである。
彼女が演じる若妻の「あたしだって泣きたいの我慢してがんばってるのに、なんで悪者みたいな感じになってんの!?」という怒りが実によく伝わってきた。
どう考えたって一番悪いのは山田孝之演じる夫なんだが、その怒りが直接は夫に向かわずに、まず元同級生の美波に向けられるのが面白い。
小池栄子はもっとその演技力を評価されていい人だと思う。
そんなわけで、この映画はとにかく出演者の魅力によるところが大きい。
浅野忠信がああいう宇宙人みたいな何考えてんだか皆目不明なキャラを演じさせたら天下一品のアクターなのはあらためていうまでもないけど、それにしても今回のあの口調は…「救急車を呼べ」の台詞には場内爆笑。
あれはつげ義春の漫画「ねじ式」の「医者はどこだ」にかかってるんでしょうかw*1
いつも不思議だったんですが、立て続けに映画やドラマとかやってて、こういうわけわかんないストーリーでも、出演者のみなさんは役柄とかシナリオの内容とかちゃんと理解して演技してるのかな?
「もちろん理解してる。シナリオを読み込んであれこれ考えながらキャラクターを作り上げる、みんなそういうことが好きだから役者やってるんで」というのはある映画監督の言だが、あのアホなキャラクターたちを出演者一同が和気あいあいと、ときに神妙な顔つきで役作りしてる様子を想像するとちょっと可笑しい。
山田孝之も『十三人の刺客』(感想はこちら)や『GANTZ』、『のぼうの城』の合間に(いや、別にこの作品を見下してるわけじゃありませんが)こういう役演ってるのかぁ、と。
逆にまったく違う役だから気分転換になってたりして。
だって相当情けない役だもの、これ。
結婚してる身でありながら「その辺は積極的に麻痺してこうよ」って、サイテーの夫ぶり。
しかもあんだけ刺されたら死ぬだろ普通。
それでも彼は圧倒的に正しい。
なぜなら…。
浅野忠信が「天井裏からこんにちは」ってな感じで覗きをする場面。
美波と二人きりになった山田孝之は、彼女の上半身には見向きもせずにいきなり下から攻めるんである。
イヤラ嬉しいじゃありませんか。
そう、ここで美波さんのケツがっっ(代役かもしんないが)!
いただきます!!
…すいません、取り乱しました。
なんだろうな、この前の佐藤寛子*2といい、ここんとこ綺麗な女優さんのステキなおヒップを拝ませていただいてますが、つくづく思うに女優さんって不思議な存在だ。
何か別種の生き物に見える。
あくまでも役者本人のパーソナリティは謎であり、演じられる役は作られた架空の存在でありながら、それでもどこかしら彼女たち自身が投影されているんじゃないかと思わせる魔術。
…で、結局なんだったんですかこの映画はσ(^_^;)
彼女はああいう性癖の持ち主だった、って話?
ヒトに嫌われるのを怖れて、なんでも断れない女の子。
それが極限までいくと彼女のようになる、ってことかしら。
しかし、それまで普通に会社勤めしてたはずの彼女が、なんで浅野忠信と再会した直後からあそこまでおかしくなってしまったのかは、結局よくわからないままなのだった。
もうね、美波さんの顔面の動き見てるだけで男は誰でも欲情しますよ、きっと(しかし「面倒くさい女」というよりも危すぎるだろう、あれでは)。あの顔は12歳じゃなくて15禁ぐらいでいいんじゃないだろーか。
予告篇にもあるように、彼女の存在そのものが“ある意味、ファンタジー”なのかも。
ありがとう、「男の理想」を演じてくれて。
いやもうファンになりましたよ美波さんの。あぁなりましたともさ。
ただし伊達眼鏡かけて髪の毛をゴムでふたつに分けてグレーのスウェット着てる時に限るけど。