8/1(木)から始まった「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」が、75日間開催の予定がわずか3日で中止に追い込まれました。テロ予告の電話やFAXなどによる恫喝・脅迫、ネットでの職員への誹謗中傷などが相次いだためです。
主催者の予想をはるかに上回る脅迫行為があったわけで(右翼の街宣車がスピーカーで主催者を脅す一幕も)、さらに河村たかし名古屋市長や菅義偉官房長官らが「平和の少女像」の展示に対して作品の撤去を求めたり文化庁の補助金給付についてあえて言及したことが妨害者側を勢いづかせたところがある。
大村秀章愛知県知事によれば管轄の東警察署と情報共有して対応している、とのことですが、果たして警察はちゃんと捜査をするのかどうかさえも危うい。河村市長が関係者に謝罪を要求するなど被害者側の責任を問うような常軌を逸した者たちもいて、怒りや呆れ、情けなさでいっぱいです。
見たくないなら見なければいいんだよね。見ない自由もある。でも「みんな見るな」と強制する権利はない。人がものを見て考え、自分の意見を持って発言や表現することを苦々しく思う者たちがいるということ。彼らは自分たちとは違う価値観やものの考え方に不寛容だ。そして、気に入らないものを暴力で排除する。
それは「悪」だ。
展示品を「こんなものアートじゃない」と批判するのは自由だ。僕も毎朝『なちゅぞら』観ながら「こんなのドラマじゃねぇ!」と文句言ってる。でも、もしも僕が「こんなものを放送するのは許せん。やめないとテロを起こす」とNHKに脅迫電話かけたら 犯 罪 でしょ?それと同じことをやってるわけだ。
— ei-gataro (@chubow_deppoo) August 3, 2019
恥を知れ。
追記:
Twitterでご意見をいただいたので、それらへの返信を貼っておきます。
中止になった経緯を書いた記事をちゃんと読まれたのでしょうか。あれが「良識」ならば、多分あなたと僕とでは「良識」 の概念がまったく異なるんだと思います。 https://t.co/kh9MMZf0ZC
— ei-gataro (@chubow_deppoo) August 4, 2019
「良識ある県民の意見」って、こういうのを言うんじゃないかな。https://t.co/eG4gZNsH9T #あいちトリエンナーレを支持します
— ei-gataro (@chubow_deppoo) August 4, 2019
「こちらは別に命令していない」と言い訳すると恫喝や脅迫にならないのであれば、やりたい放題できてしまいますね。「『ガソリンを持ってうかがいます』と言っただけで『撒いて放火するとは言ってない』」とかね。関係者や観客の安全が脅かされるのでは、と相手に思わせてる時点で充分“犯罪”です。 https://t.co/s9PDs8M3sE
— ei-gataro (@chubow_deppoo) August 4, 2019
その後。
「展示されたまま」封鎖されるのだそうだ。撤去ではなくて。直接この目で観ることはできないが、中に何があるかはみんな知っている。会期中ずっと、その状態が日本の病理を象徴し続ける。『表現の不自由』展は終わっていない。https://t.co/Rhg75EklUl
— Spica (@freie_Herz) August 4, 2019
Twitterで「こんなものはアートではない」「許せない」「冒涜」「不愉快」などと青筋立ててる者たちは、自分たちこそがそうやって「批判」しながら同時に“不愉快”なヘイトを撒き散らしていることへの自覚がまったくない。不愉快ならば脅迫やテロも許すのか。今問題にされてるのはそのことだ。 https://t.co/iBtzKYg4Uv
— ei-gataro (@chubow_deppoo) August 6, 2019
展示品を批判するのも抗議するのもそれは自由。だが脅迫やテロはダメ。こんなシンプルなことがなぜ理解できないのか。
— ei-gataro (@chubow_deppoo) August 6, 2019
今回の問題の核心は芸術や表現の自由ではなく、歴史修正主義、そしてその基盤である朝鮮蔑視=レイシズムにあるということが改めて明白になりましたね。https://t.co/wNOPcYKZyb
— deadletter (@deadletterjp) August 9, 2019
平和の少女像そのものは韓国の民族衣裳を着て無表情で黙って座っているだけで、怒っても泣いてもないし、特に美しくも醜くもない。でも、それに対する反応が鏡のようにその人の正体を映し出している。その意味でアートとして成功していると思います。
— 町山智浩 (@TomoMachi) August 10, 2019
追記2:
その後、10/8~14日の閉幕までの短期間に「表現の不自由展・その後」は再開された。
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