※以下は、2010年に書いた感想に一部加筆したものです。
トニー・ジャー監督(パンナー・リットグライと共同)・原案・武術指導・主演という最新作『マッハ!弐』。2008年作品。日本公開2010年。PG12。
アユタヤ王国の侵略が進むタイ。主人公のティンは国王の息子だったが、両親を殺され山賊に拾われる。そこでさまざまな武術を身につけた彼は、やがて戦士へと成長する。
朝の情報番組でとりあげられていてさっそく友人と観に行ったんだけど、公開初日なのに場内はガッラガラ。
…オ~イ、みんなTV観てないのか?『マッハ!弐』の存在知らないの!?
それでも『トム・ヤム・クン!』以来約3年ぶりに名倉潤、じゃなくてトニー・ジャーの雄姿を劇場のスクリーンで観られて感激。
なんかいろいろトラブッてて完成が危ぶまれたりしてたらしいけど、無事公開成ってよかったよかった。でもトニー・ジャーが暗黒街だか黒社会から追われてたとかなんとか聞いたけど、やっぱむこうの業界ってそういう方面と深いお付き合いがあるのかしらね。おっかねーな。
『マッハ!2』(英題は『オン・バク2』)とあるけど、前作とはストーリーも登場人物も舞台となる時代も直接関係はない。
でもタイトルが“オン・バク”というからには、またあの仏像がどこかで絡んでるんだろうな。
以下、ネタバレあり。
前作『マッハ!!!!!!!!』では感動に震えたし、トニー・ジャーの新作に期待してる人は日本中に大勢いると思うけど、ストーリーのネタばらしはしませんが前もって断っておくと、この作品はかなりショッキングです。
何がショッキングかというと、おそらく初めて映画館で『スターウォーズ 帝国の逆襲』を観た人みたいな衝撃を受けると思う。「ええっ!!ここで終わり!?」という。
悪が退治されずに映画が終わってしまうんである。
なんだか千葉真一の『激突!殺人拳(The Street Fighter)』のラストみたい…って伝わらないか。
『激突!殺人拳』(1974) 監督:小沢茂弘 中島ゆたか 山田吾一 石橋雅史 志穂美悦子
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これ続篇作ってくれるんだろーな。じゃなかったらヘタすると映画館で暴動が起きるぞ、場所によっては。
『七人のマッハ!!!!!!!』の主演ダン・チューポンが強敵役で特別出演してるけど、メイクのせいで誰だかわからず。トニー・ジャーの一人二役かと勘違いしてしまった。
『スターウォーズ』は大ヒットして続篇も作られてともかくシリーズは完結したけど、これはちょっとヒットは難しいと思うなぁ、残念ながら。公開館が限定されちゃった理由もわからなくはない。だけどコケちゃったら今後のトニー・ジャーの新作の日本公開もあやしくなってくるんで、みんなできればぜひ観に行って下さい(※残念ながらコケてしまったようです)。
まず、前作のような香港映画テイストなエンターテインメントから一転、ユーモアやギャグが一切ないハードコアでデストロイな内容なんで観る客を選びます。
全篇戦いのオンパレード。とゆーか、それしかない。
舞台はタイのアユタヤ王朝時代。なんか世界史の授業で習ったな。あまり憶えてないけど。
いろんな国の人間が入り乱れて忍者やサムライみたいのも出てくるし、タイのリチャード・キール(=ロジャー・ムーア版007の悪役ジョーズ)みたいのも出てきたりして、なんだかもうメル・ギブソン監督の土人爆走映画『アポカリプト』とふんどしスパルタンな『300 <スリーハンドレッド>』が合体したような超ド迫力バトルが展開される。
全部リアル・ヒッティングだから痛そうなのなんのって(もちろんみなさんプロだから痛そうな“演技”もしてるんだが)。
象さんも『トム・ヤム・クン!』に続いて大活躍。象の群れがひざを折り曲げてトニーにかしずく場面は圧巻。
なんだろうな。この映画のラストが前作に続くとか、そういうことなのか?ティン=トニー・ジャーは時空を超えて生まれ変わるのだろうか。英語版予告ではタイトルに「ザ・ビギニング」とか書いてあるし。なんか物凄く壮大なサーガ(伝承物語)の誕生を予感させる。あくまでも続篇が作られたら、の話ですが。
ちなみに夢を壊すようでなんだけど、前作からの宣伝文句の、
CGを使いません。
スタントマンを使いません。
ワイヤーを使いません。
ってのは、日本の配給会社が勝手に言ってるだけで、合成もワイヤーも使ってますから(直接の擬斗シーンでではないが)。堂々とウソはいかんよな。
まぁ、主演のトニー・ジャーが使ってない、ってことを強調してるんでしょうが。
スタントマンを使わない、ってのも主役がアクションシーンで代役を立てない、ってことなんだろうけど、トニー・ジャー自身が元々スタントマン出身なわけだし。
少なくとも前作でコメディリリーフを務めてた黄色い短髪のオッサン(ハム・レイ)はスタントを使っていた。今回もワンシーンだけ出てるけど、ほんとカメオ出演並みの出番。
それにしたって、やっぱりスゴいです。トニーさんは。
今回は相手に合わせてさまざまな武器を使い分け、ムエタイ以外の技も駆使して戦う。なんか王羽(ジミー・ウォング)主演の『片腕カンフー対空とぶギロチン』の異種格闘技戦のリアル版みたいなシーンもある。
いつかトニー・ジャーと同じくタイの“チョコレート・ファイター”ジージャー・ヤーニンが共演してくれないかなぁ。あの二人が組んだら『ポリス・ストーリー3』のジャッキーとミシェル・ヨーみたいな感じですっごく面白い映画になると思うんですが。*1
『ポリス・ストーリー3』(1992) 監督:スタンリー・トン 出演:マギー・チャン 日本公開1993年
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すべての人にはお薦めできませんが、ワイヤーワークやCG、デジタル合成技術を駆使したVFXアクションにちょっと飽きた方は、ガチでスパイシーなこの映画を観て遥かなる野蛮でヴァイオレントな時代に想いを馳せてみてはいかがでしょうか。
元気をもらった。…よーな気がする。
ありがとう、トニ~・ジャ~~~!!!(『マッハ!参』につづく)
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*1:2015年2月14日公開の『マッハ!無限大』で共演が実現。