S・S・ラージャマウリ監督、プラバース、ラーナー・ダッグバーティ、タマンナー、アヌシュカ・シェッティ、ラムヤ・クリシュナ、アディヴィ・シェシ、ロヒニ、プラバカール、サティヤラージ、ナーサル出演の『バーフバリ 伝説誕生』。2015年(日本公開2017年)作品。R15+。
マヒシュマティ王国の“国母”シヴァガミ(ラムヤ・クリシュナ)の犠牲によって救い出された幼子はシヴドゥと名付けられて成長する。天女のような美しい女性の幻に導かれて巨大な滝を登ったシヴドゥ(プラバース)は、そこで出会った戦士アヴァンティカ(タマンナー)と恋に落ちる。アヴァンティカは、マヒシュマティの王バラーラデーヴァ(ラーナー・ダッグバーティ)によって長らく囚われの身となっている小国クンタラ出身のデーヴァセーナ妃(アヌシュカ・シェッティ)を救出しようとしていた。
ネタバレがありますのでご注意ください。
古代インドの架空の国々を舞台にした壮大な映像叙事詩二部作の前篇。
後篇の『バーフバリ 王の凱旋』(感想はこちら)を劇場で観ました。
面白かったし前篇を観ていなくても内容はちゃんと理解できましたが、やはりせっかくなら前篇も観ておきたいと思ってDVDをレンタル。
この二部作は1本が140分ぐらいあって(オリジナル版は160~170分ほど)、主演俳優のプラバースが二役を演じる親子二代に渡る英雄譚を時系列を何度も前後させて描いているので途中でちょっと混乱する部分もあるんですが、すでに後篇を鑑賞済みなのもあって抵抗なく観られました。
一番わかりやすい見分け方は、代々マヒシュマティに仕える忠臣カッタッパの髭の色。
髭が黒い時は父アマレンドラ・バーフバリの時代。髭が白くなっている場面は息子のマヘンドラ・バーフバリ(シヴドゥ)の時代。
村人に育てられたシヴドゥは、やがて自分がマヒシュマティ王国の王子バーフバリであることを知る。
『王の凱旋』は映画館の大きなスクリーンと大音響の中で観たこともあるし、冒頭からアクションのつるべ打ちだったので僕は結構楽しめたんですが、この『伝説誕生』は映画が始まってからしばらくは青年になったシヴドゥがアヴァンティカに魅せられて彼女を追う場面がわりと長くて、いきなりアヴァンティカの身体に刺青を入れちゃったり、アヴァンティカがシヴドゥにひん剥かれてメロメロになっちゃったりと、ちょっとあまりにやり過ぎな感じがして若干ヒイちゃったんですよね。
アヴァンティカは腕の立つ女戦士かと思ったらシヴドゥにいいようにあしらわれてるし敵にもすぐに捕まりそうになっちゃうので、男と対等の力を持つ強いヒロインを期待していたのに正直ガッカリ。
確かに露出した色白の肌と綺麗な化粧のアヴァンティカは魅力的ではあったけれど、褐色の肌をして剣を振るう姿もかっこよかったから、もうちょっと彼女のアクションシーンを見たかった。
まぁ、ヒーローがヒロインを半ば力ずくでものにしてしまうという展開は、神話や昔ながらの英雄譚としては別に不思議じゃないのかもしれませんが。
でも『王の凱旋』でのアマレンドラ・バーフバリとデーヴァセーナの出会いは、もうちょっと巧くやってたと思うんだがな。
『王の凱旋』の冒頭であらすじが解説されていたのでそこですでに物語はほぼ知っていたけど、国母シヴァガミがシヴドゥことマヘンドラ・バーフバリの父アマレンドラ・バーフバリの父親(マヒシュマティ建国の父ヴィクラマデーヴァ)の姉であること(だからシヴァガミはシヴドゥにとっては大伯母)がわかって人物関係がより理解できました。
つまりシヴァガミは実の息子であるバラーラデーヴァではなく、弟の先王の息子を新しい国王に選んだということですね。
こういう一族の中での王位を巡る争いや他国との戦争なんかは、NHKの大河ドラマが好きな人などは入り込みやすいでしょうね。
シヴドゥは一人マヒシュマティに忍び込んでデーヴァセーナとともに脱出するが、王国の奴隷にして忠臣カッタッパがそれを追う。
そしてシヴドゥの顔を見たカッタッパは、そこに亡きアマレンドラ・バーフバリの面影を見て驚愕する。シヴドゥは紛れもなくマヒシュマティの王子マヘンドラ・バーフバリであった。
カッタッパの回想によって、シヴドゥの本当の父バーフバリとバラーラデーヴァの因縁が語られる。
蛮族カーラケーヤとの戦争で先に敵の首領の命を奪った者を次期国王とする、というシヴァガミの命令でバーフバリとバラーラデーヴァは国王の座を懸けて競うことになる。
このカーラケーヤとの戦いの模様は盾を使って陣形を組むところが『レッドクリフ』っぽかったり、剣や斧を使って戦う様子は『グラディエーター』(感想はこちら)や『300 <スリーハンドレッド>』を彷彿とさせるし、重い鉄球で大勢をなぎ倒したり上に覆いかぶさってくる敵兵を一気にふっ飛ばす場面は『マトリックス リローデッド』を思わせたりと、過去のいろんな映画を巧いこと引用していてなかなか愉快。
VFXの精度に関しては少々苦しいところもあるのでハリウッドの超大作ほどには惹き込まれないけれど、それでも天にまで届くほどの滝(この風景も『アバター』→感想はこちら っぽかったり)の景観や王国に建てられる黄金の像の迫力など、なかなか目に楽しい。人海戦術で押しまくる大勢のエキストラも。
戦争場面は勧善懲悪に徹していて、敵のカーラケーヤは徹頭徹尾倒すべき「悪」として描かれる。主人公バーフバリも彼らには容赦しない。また隙あらばバーフバリの命を狙い王位を我が物にしようとするバラーラデーヴァも同様。
シヴドゥは追ってきたバラーラデーヴァの息子バドラ(アディヴィ・シェシ)の首を剣で斬り落とす。敵を殺すことにはなんのためらいもない。
ある意味ここには今や『スター・ウォーズ』が失ってしまったものがある。
「神話」とは血なまぐさく残酷なものでもあるのだから。
日本でも“絶叫上映”が催されて、コスプレしたり鳴り物持ったファンの人たち(先日の新宿での2回目の絶叫上映では女性客が多かったようですが)が盛り上がったみたいで。
まさしくこれまでスター・ウォーズがやってきたことですよね。
みんな、映画の中でぐらい勧善懲悪の英雄譚を楽しみたいんだよな。
そして、戦いのさなかでも敵を倒す前にまず民を救う、という姿勢こそ王に求められるものだということ。
それは続く『王の凱旋』でも描かれる。
また『王の凱旋』観たくなってきたなぁ!(^^)!
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