映★画太郎の MOVIE CRADLE 2

もう一つのブログとともに主に映画の感想を書いています。

『デューン/砂の惑星』


デヴィッド・リンチ監督、カイル・マクラクランフランチェスカ・アニスユルゲン・プロホノフケネス・マクミランショーン・ヤング、スティング、パトリック・スチュワートマックス・フォン・シドーホセ・フェラー出演の『デューン/砂の惑星』。1984年作品(日本公開1985年)。PG12。

プロデューサーはディノ・デ・ラウレンティス

原作はフランク・ハーバートの同名小説。

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宇宙帝国暦10191年。宇宙航行に欠かせないスパイス<メランジ>の採掘権と恒星間の覇権を巡って権謀術数が渦巻く世界で、大王皇帝シャダム四世(ホセ・ファーラー)と恒星間移送をつかさどる宇宙ギルド、大公家連合によって銀河の勢力バランスは危うく保たれていた。惑星カラダンの領主レト・アトレイデス公爵(ユルゲン・プロホノフ)は皇帝から宇宙で唯一メランジが採れる惑星アラキスの統治を命じられるが、それはアトレイデス家の人気の高まりを恐れる皇帝の策略だった。巨大な砂虫“サンドウォーム”が棲む砂の惑星アラキスに降り立ったレトと妾妃ジェシカ(フランチェスカ・アニス)、息子のポール(カイル・マクラクラン)たちをアラキス統治の前任者ハルコーネン男爵(ケネス・マクミラン)の軍勢が強襲する。ポールとジェシカはハルコーネンの手を逃れ、砂漠の民フレーメンたちと出会う。その中には、ポールがかつて夢の中で見た女性チャニ(ショーン・ヤング)がいた。


1985年の劇場公開当時、映画館やTVで予告篇を観た覚えがあるけど映画自体は劇場では観ていなくて、僕のこの映画の初見は90年放映のテレビ朝日日曜洋画劇場」。

このテレ朝版の吹き替えでは、主人公ポールの声の松橋登カイル・マクラクランの肉声にそっくりで好演、さらに出番は多くはないが、宿敵ハルコーネン男爵の甥フェイド(スティング)の声を大塚芳忠がアテていた。


ほうちゅうさんの「ありゃなんだ。お前のペットか、え?俺に可愛がられるほどの価値はあるか」というステキな悪役演技、そしてハルコーネン男爵を担当する故・内海賢二さんの安定感のあるパワフルなお声を覚えています。

残念ながらこの吹替版はソフト化されていないようで。いつかまた観てみたいですが。*1


この作品は120億円という現在でも十分すぎるほどの巨額の製作費による超大作にもかかわらず大ヒットとはいかず、一般の観客や視聴者はおろかデヴィッド・リンチのファンや原作小説のファンからも評判は芳しくなくて、今なお「やっちゃった映画」「底抜け超大作」の代表作みたいな評価をされている。

でも僕は初めて観た時から妙に惹かれるものがあって、今でも定期的にDVDで観ています。

ちなみに原作は読んでいません(昔、図書館で借りてきて1冊目で挫折)。いつものことですが。

だから原作からの改変がどうとかいうことについてはよくわかりません。


この映画はいわゆるスペースオペラの一種といえるのだろうし一応戦闘場面もあるけれど、たとえば『スターウォーズ』のような活劇を期待すると肩すかしを食らう。

なんというか、歴史劇みたいな作りなんですね。

美術や世界観そのものに浸って楽しむ、という。

全宇宙が強大な帝国とさまざまな勢力によって支配されているという、その後多くの作品に影響を与えた設定。

スターウォーズ』もまたこの作品の強い影響下にある。

たとえば1作目『エピソード4 新たなる希望』(感想はこちら)でオビ=ワンが操るフォースは、『砂の惑星』で特殊な能力を持つ魔女集団ベネ・ゲセリットの道女であったレディ・ジェシカが使う“ヴォイス”とほぼ同じようなものとして描かれている。


作品を覆う中世風の世界観などもそう。

また、奇しくもこの映画と同じ年に作られた宮崎駿の『風の谷のナウシカ』(感想はこちら*2もやはりフランク・ハーバートの原作から影響を受けていて、腐海の主の“王蟲”は砂虫のサンドウォームからとられているし、主人公が救世主だった、という映画版の結末も酷似している。


さて、今さらながらこの映画について書こうと思ったのは、かつて1970年代にアレハンドロ・ホドロフスキーによって企画されていた「デューン」の映画化についてのドキュメンタリー映画ホドロフスキーのDUNE』の公開が間近に控えているから。

ホドロフスキーの企画は頓挫したあと、同じスタッフによってリドリー・スコットの『エイリアン』が作られたという経緯がある。

ちなみにホドロフスキーはリンチ版『デューン』にはかなり手厳しい評価を下してるそうです。まぁ、思い入れのあった企画だから無理もないと思いますが。

84年といえば先ほど出たスターウォーズの3作目『エピソード6 ジェダイの復讐(帰還)』(感想はこちら)の翌年で、僕は『ジェダイ』の方は劇場で鑑賞したんだけど、あきらかに視覚効果の面ではこの『デューン/砂の惑星』の方が劣っていて合成技術などけっこう苦しい部分がある。

これら2本の映画を比べてみると特撮の技術力の差は歴然としている。

ホドロフスキー版から一部流用もされているという宇宙船や建造物などの独創的なデザインは素晴らしいのだから、それらが最大限に効果的に映し出されていないのは実にもったいない。


その後、2000年代になってリヴァイヴァル上映されて劇場で観たけど、おそらく85年に公開された時のプリントとみえて映像は傷だらけでした。

美しい画面でいつかあらためて観てみたい。

*1:2015年に吹替版を収録したBlu-rayボックスが発売。

*2:公開されてからちょうど今年で30年目。

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