先月の23日(木) をもって、愛知県名古屋市の新栄町にあった映画館「名演小劇場」が休館することになりました。
最近よく行っていたので、本当に残念です。今年に入ってから人づてに聞いたので、寝耳に水だった。
映画館の公式サイトの今後の予定がなくなっているのが寂しかった。
1972年に建てられたもともとは演劇を上演するための施設で、映画を上映するようになったのは2003年からだそうですが、僕はその頃名古屋にいなかったのでそのことは知らず、だいぶあとになってからたまに足を運ぶようになりました。
覚えている一番最初の映画は2014年公開のサウジアラビア映画『少女は自転車にのって』で、以降、特にここでしかやっていない作品をたまに観にきていました。
といっても、今あらためて確認してもここで観た映画の本数はごくわずかで、『ヴィヴィアン・マイヤーを探して』『シネマの天使』『私はあなたのニグロではない』『はりぼて』などほんとに数えるほどしかないんですよね。
以前はリヴァイヴァル作品に足を運ぶこともめったになかったため、一年に一度来るかどうかぐらいの頻度でした。結構長いこと来てない期間もあったし。
なので、とてもこの映画館への熱い思い入れを語るような資格はないんですが、僕は高校生の時に演劇部に所属していて、当時顧問の先生(もともと大学時代に演劇をされていた)が有志のかたがたと一緒にここで芝居を打たれたことがあって、部員みんなで観にいったのでした。
90年代当時はまだ演劇が上演されていたんですね。だから映画を観にいくようになるずっと前からこの施設の名前は記憶にあった。
先生がどんなお芝居を上演されたのか、その内容も、オリジナルなのか既成の台本を使ったものだったのかさえももはや覚えていませんが(確か、守衛かなんかの役だったよーな)、腹から響くようなよく通るイイ声の先生で、僕は担任や科目(社会科)を受け持っていただいたことはなかったけれど、とても尊敬していました。学校の先生を尊敬することってほとんどなかったので、自分としては珍しかった。
平気で体罰を加えるような教師がいる中で、けっして生徒に手をあげるようなことのない先生だった。今では当たり前ですが、当時はまだ暴力教師が普通にいた時代だったので。
今思えば、先生はまだ20代の後半か30代の前半くらいで若かったんですが、貫禄あるかただった。懐かしいです。
僕が所属していた演劇部も、その後、校舎が全面建て替えになることが決まった時にその直前の文化祭にお邪魔して以来ご無沙汰のまま、何年か前に廃部したようなことを聞いたけどご挨拶に伺うこともなく今に至ります。
あ、名演小劇場、関係ない話になっちゃってますが。
地元に密着していた老舗の施設がなくなってしまうのは寂しいものですね。
身勝手な言いぐさだけど、たとえなかなか訪れることがなくてもそこにあってくれるだけで安心できるものってあるから。
それに、去年にはドキュメンタリー映画『映画はアリスから始まった』で久しぶりにここを訪れて、それ以降はジャン=ポール・ベルモンドやチャップリンの特集上映、「大映4K映画祭」(感想はこちら)などに足を運んだし、新作も『ドライビング・バニー』『君だけが知らない』、それから今年に入っても『スタントマン 龍虎武師』『茶飲友達』を観ました。
「チャールズ・チャップリン映画祭」は頑張って通って全上映作品を観た。
最後は「ジェラール・フィリップ生誕100年映画祭」でした。
最終日の23日には行けなかったけど、その何日か前に行くと劇場の前に人が並んでいて東海テレビのカメラも来ていた。
今さら悔いても詮無いことだけど、もっと熱心に通っておけばよかったと思います。
僕の映画人生をより豊かなものにしてくれただろう映画館だったのに。
さぁ、これから通いだすぞ、って感じの時に「休館」って聞いたものだから、なかなかショックで。お気に入りの食堂ができた、と思ったら閉店しちゃった、みたいな。
現金な話だけど、ここがなくなっちゃったら、これまでここが上映してくれていたような種類の作品群は今後どこでやってくれるの?って心配がある。
これで古くからある名古屋にあるミニシアターは、名駅(名古屋駅)の「シネマスコーレ」と今池にある「名古屋シネマテーク」のみになってしまった。伏見にある「伏見ミリオン座」や矢場町の「センチュリーシネマ」、2019年に大須にできた「大須シネマ」も入れればミニシアター自体は5つですが。どれもが貴重な存在です。
建物の老朽化も閉館の理由の一つだそうだから、そうすると、あの建物は取り壊されるんだろうか。一度なくなっちゃったら新しく同様の施設を建てるのはますます難しくなりそうだけど、でもいつか復活してくれることを信じています。
ありがとう、名演小劇場。また会える日を待っています。
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