映★画太郎の MOVIE CRADLE 2

もう一つのブログとともに主に映画の感想を書いています。

『アンタッチャブル』

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ブライアン・デ・パルマ監督、ケヴィン・コスナーロバート・デ・ニーロショーン・コネリーアンディ・ガルシア、チャールズ・マーティン・スミス、パトリシア・クラークソン、ケイトリン・モンゴメリー、ビリー・ドラゴ、リチャード・ブラッドフォード、クリフトン・ジェームズほか出演の『アンタッチャブル』。1987年作品。PG12。

音楽はエンニオ・モリコーネ

第60回アカデミー賞助演男優賞ショーン・コネリー)受賞。

日本語字幕は戸田なっち。「~なので?」はアンディ・ガルシアの台詞で一箇所だけ確認。

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1930年、禁酒法時代のシカゴ。酒の密売やカナダからの密輸で財を成し一般市民の犠牲者まで出している犯罪組織のボス、アル・カポネロバート・デ・ニーロ)を検挙するために財務省酒類取締局の捜査官エリオット・ネス(ケヴィン・コスナー)はヴェテラン警察官のマローン(ショーン・コネリー)や銃の腕前がピカイチのストーン(アンディ・ガルシア)、税理士のウォレス(チャールズ・マーティン・スミス)らと特別捜査チーム“アンタッチャブル”を結成してカポネを追う。 


午前十時の映画祭11」で鑑賞。

「午前十時の映画祭」は去年の「10」で“ファイナル”だったんちゃうんかい!とツッコミ入れたくなりますが、どのような経緯があったのか知らないけれど、1年間のお休みを経て復活、また来年の3月まで往年の名作がスクリーンで楽しめることと相成りました。めでたい。

ブライアン・デ・パルマ監督の本作品は僕は劇場で観るのは今回が初めてで、昔TVの地上波で吹替版が放映された時に観た覚えがあるんだけど、デ・ニーロ演じるカポネがバットで人の頭を連打して殺す場面と、ショーン・コネリー演じるマローンがマシンガンで蜂の巣にされる場面、それから有名な階段での銃撃シーンなど断片的に記憶してはいたものの、映画の全体的なストーリーなどは忘れていました。

だから、ぜひ映画館で観たかったんですよね。

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で、観終わってあらためて感じたのは、要するに昔ながらの西部劇みたいな(騎兵隊も出てくるし)ほんとにわかりやすい勧善懲悪の娯楽作品だったんだな、ってこと。

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いや、別にわかりやすい勧善懲悪の娯楽作品がダメだということではないんだけれど、なんていうか、もうちょっと実話寄りのお話かと思ってたもんだから。

警察や裁判所の陪審員たちまで買収している巨悪アル・カポネを、正義感溢れるネスとその仲間たちがどうやって倒すか、という、日本でいうなら「鬼平犯科帳」みたいなノリのポリティカル・アクション。

50年代に放送されたTVドラマが基になっているようだけど、内容はほぼフィクションのようですね。

エリオット・ネスが彼のチームとともにアル・カポネの犯罪を追っていたのは事実だけど、ネスがカポネの逮捕・起訴にどれだけ貢献したのかについては諸説あるようだし、ネスが殺し屋を建物の屋上から突き落として殺した事実もないのでしょう。

そもそも、史実ではカポネが脱税で捕まったこととネスは直接関係ないっぽいし、このあたりの実在の人物が伝説化・英雄化していく過程は、数年後にケヴィン・コスナーが演じたワイアット・アープもそうだったようにまさしく西部劇の成り立ちをなぞっている。

だからまぁ、予告篇やポスターでは「感動大作」みたいに宣伝してるけど、これは歴史映画でもなければエリオット・ネスの伝記映画でもアル・カポネのそれでもなくて、ちょうど『OK牧場の決斗』のようなエンタメ映画。もちろん、よくできてるから大いに楽しめましたが。

ところどころ展開が端折り気味に感じられるところもあったんだけど、ギリギリ2時間以内に収めていて冗長さは微塵もないのでとても観やすい。

作曲のエンニオ・モリコーネさんと助演のショーン・コネリーさんのお二人が去年惜しくも亡くなられていますが、彼らへの追悼の意味でも今観ておいてよかったと思います。あらためてご冥福をお祈りいたします。

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「午前十時~」では現在、ショーン・コネリーニコラス・ケイジと共演した『ザ・ロック』も同時に上映されています。

そういえば、ケヴィン・コスナー主演のある映画ではサプライズ的なカメオ出演をしてましたね。あの映画もまた劇場で観たいなぁ。

コネリーは『アンタッチャブル』でオスカーを獲っているし、モリコーネによるテーマ曲も有名でTVのヴァラエティ番組でもよく使われてますよね。クリント・イーストウッド*1主演の『ザ・シークレット・サービス』(感想はこちら)でも似たようなサスペンスフルなメロディが使われていた。この映画はモリコーネの饒舌な音楽のおかげでより風格が出てると思う。 

セルジオ・レオーネ監督、ロバート・デ・ニーロ主演の映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(感想はこちら)の音楽のような叙情性、アル・カポネのテーマと呼べる曲は悪徳の香りが漂う旋律。 

2年後に公開される『ニュー・シネマ・パラダイス』(感想はこちら)の劇中曲も彷彿とさせる。

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主演のケヴィン・コスナーがハリウッドスターになるきっかけを作った(それにしても、この映画のコスナーは若い)とともに、アンディ・ガルシアにとっても出世作でしたね。

アンディ・ガルシア自身はキューバ出身だけど、ここではイタリア系を演じていて、これがその後の『ゴッドファーザー PART III』(感想はこちら)への出演に繋がったんでしょうね。 

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ハッキリ言ってビリー・ドラゴ(19.6.24 死去。合掌)演じる殺し屋(一応、役名は実在のギャングから取られているが、当然史実とは大きく異なる働きをするし、その最期も映画のためのフィクション)が一人で“アンタッチャブル”のメンバー2人を直接手にかけるのはいくらなんでもちょっとやり過ぎだし、クライマックスの屋上でのネスとのマローンの死をめぐるやりとりも陳腐な印象を受ける。これを「エリオット・ネスの自伝を基にした」と言われてもねぇ。

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良くも悪くも80年代の映画っぽい。単純明快なストーリーとケレン味

それでもデ・ニーロは得意の「デ・ニーロ・アプローチ」で体重を増やして髪の毛もわざわざ抜いて薄毛にして臨んだカポネ役を楽しげに演じているし、ヒロイックなコスナーはかっこいい。

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あの階段の銃撃シーンは『戦艦ポチョムキン』の「オデッサの階段」の場面の引用ですが、僕なんかはどうしても『裸の銃を持つ男33 1/3』(『アンタッチャブル』と同じパラマウント映画)のこの場面のパロディを思い出して吹きそうになりますw 

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衣裳はアルマーニだし、ズラッと並ぶクラシックカーも壮観。

今ならCG使って描けるけど、当時は現物を揃えて撮ってるからこその現実感とゴージャスな雰囲気がなかなか贅沢。

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この映画ではアル・カポネをわかりやすい“悪役”として描いていて、だからこそ買収で多くの人間たちの口をふさいできたカポネが、絶対触れられない者たち=アンタッチャブルによってその悪事を暴かれる様子には溜飲が下がると同時に、現実の世の中もこうであってくれたら、と思わずにはいられない。裁かれずにのさばってる奴らがいっぱいいるじゃないか。

「正義」のために戦い死んでいく男を演じるショーン・コネリーの在りし日の姿を眺めながら、だけど禁酒法などというバカバカしい法律のせいでギャングが密造酒で儲け、そのために何人もの人々が命を失いもしたと思うと、法律なんだから、と黙って従ってりゃいいわけじゃないよな、とも。

まぁ、コロナ禍の今観ると、「禁酒法」というのもまた別の意味にも感じられて可笑しいんだけど。酒飲むのは構わないけど、大勢で集まって酒盛りすんのはやめとけ、と。命にかかわるんだから。

平日の朝にもかかわらず、客席にはそこそこお客さんがいました。もともとこの映画のファンっぽい熟年層が多かったかな。

面白かったですよ。

映画が始まる前にロバート・デ・ニーロ主演の新作映画の予告篇が2本流れていました。デ・ニーロ強化月間か(^o^)


ブライアン・デ・パルマの映画で僕が初めてリアルタイムで映画館で観た作品って、多分、アル・パチーノ主演の『カリートの道』で、映画ファンの評価は高い作品のようだけど劇場公開以来観返していないので内容をまったく覚えていないし、それ以降の監督作品は『ミッション:インポッシブル』から2006年の『ブラック・ダリア』までは全作観たけど、どれもあまりピンとこなかった。

なんとなく、もう終わってしまった監督なのかな、なんて思ってしまったりも。

ファントム・オブ・パラダイス』(感想はこちら)は大好きな映画だし『キャリー』(感想はこちら)もよかったけど、『悪魔のシスター』も『殺しのドレス』も『ボディ・ダブル』も観てないし、今さらあえて手が伸びなくて。

それにしても、ヘンな映画いっぱい撮ってる監督ですよねw 

スネーク・アイズ』のニコラス・ケイジの顔芸やキャメラワークについて友だちと笑いながらツッコミ入れつつ感想述べ合ったなぁ。やっぱり内容は覚えてないけど。

デ・パルマのそのフィルモグラフィの中で『アンタッチャブル』は物凄く「普通」に感じられた。でも監督ご本人は普通の映画じゃ我慢できなかったのかな^_^;

そういえば、昔買ったDVDボックスで『フューリー』と『ミッドナイトクロス』をまだ観ていないので(『フューリー』は観たような気がするんだけど、ジョン・カサヴェテスが死ぬとこ以外は全然覚えてない。クローネンバーグの『デッド・ゾーン』とごっちゃになってるし)、いつかちゃんと観て感想も書きたいです。 


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*1:関係ないけど、ショーン・コネリークリント・イーストウッドは同じ1930年生まれ。