映★画太郎の MOVIE CRADLE 2

もう一つのブログとともに主に映画の感想を書いています。

『ロッキー4/炎の友情』

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監督・脚本・主演:シルヴェスター・スタローン、出演:ドルフ・ラングレン、カール・ウェザース、タリア・シャイアバート・ヤングブリジット・ニールセンジェームス・ブラウンほかの『ロッキー4/炎の友情』。1985年(日本公開1986年)作品。

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世界ヘヴィー級王者のロッキー・バルボアシルヴェスター・スタローン)にソヴィエト連邦のボクサー、イワン・ドラゴ(ドルフ・ラングレン)が試合を希望してくる。ロッキーの親友で元・世界チャンピオンのアポロ・クリード(カール・ウェザース)は、自身の復活を懸けてエキシビション・マッチでドラゴと対戦することに。

ネタバレがあります。 

 

ちょっとタイミングが遅れちゃいましたが、現在も劇場で公開中の『クリード 炎の宿敵』の前日譚でもある「ロッキー」シリーズの第4弾。

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近所のレンタル店でずっと貸し出し中だったのが、ようやく借りられました。

僕がこの映画を初めて観たのは映画館ではなくて80年代のTV放映でですが(声優の羽佐間道夫氏の声でお馴染みの吹替版で。アポロの声は故・内海賢二氏)、その後もBSでたまにシリーズが放映されていて観る機会は結構あった。

だから映画の内容はずっと前から知ってるけど、『クリード』の新作に合わせて久しぶりに観てみたということなんですが。

上映時間は91分なので(日本では二本立て興行の1本だった)お話はさくさくと進み、30分ちょっとぐらいにリングの上でアポロがドラゴに殺されて、1時間を過ぎたあたりでロッキーとドラゴの試合が始まる。

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ハリウッド映画のシナリオ作法に忠実なエンタメ映画として作られている。

続篇となる『クリード 炎の宿敵』が130分あるのと比べると、両者はすでにタイプの異なる作品といえる。

クリード 炎の宿敵』ではテッサ・トンプソン演じる主人公の妻が試合前に唄ってたけど、『ロッキー4』で唄うのはJBだし(さらにゴルビーのそっくりさんも登場)。

もうストーリーを進めるための最小限の描写とバックに流れる歌とインストゥルメンタルのみで、「ロッキー」シリーズの再構築でもある「クリード」シリーズのような人間ドラマは思いっきり端折られている。

どちらがいいとか悪いとかいうことではなくて、こちらは80年代当時のアクション映画の作り方なんですよね。

ちょうど同時代のジャッキー・チェンの映画がそうだったように、子どもの頃はこれぐらいテンポが早くて適度な上映時間の作品の方が観やすくて好きだったし(そもそもそんなに長い映画を観たことがなかった)、強く印象に残っているのは迫力ある試合のシーンだったから、その刷り込みもあって長らくお気に入りの1本でした。スタローンの顔が一番男前だった時代の作品でもあるし。

「MVみたいな映画」と評された通り、モンタージュのバックに歌と音楽が何曲も続けて流れたり、いかにも80年代の映画、といった感じでぶっちゃけ少々ダサくもある。

でも、ロッキーとドラゴがそれぞれ対照的なトレーニングを行なっている場面を交互に映し出す「トレーニング・モンタージュ」はやっぱり燃えるし、どう見ても倒せそうにないような巨漢のドラゴが最後にロッキーによってダウンさせられるところはカタルシス抜群で、やっぱりなんだかんだ言って今でも僕はこの映画が好きなのです。

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劇中でロッキーは何度も「小男」と表現される。実際、スタローンは身長177cmでアメリカ人やハリウッド俳優としては大柄ではないけれど、逆にそのコンプレックスのようなものをバネにして肉体を鍛え上げてアクションスターとなったわけで、映画の中で2m近い長身のドルフ・ラングレンと対戦して最後に勝利を収めるのは、同じように劣等感を抱える者には最高に気持ちがいいんですよね。

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この作品が公開から30年以上経っても人気があるのは、時代を越える娯楽作品としての面白さがしっかり保たれているからでしょう。理屈を越えて「燃える」から。

アポロとのエキシビション・マッチで、試合会場のド派手な演出をリングの上で呆然と眺めるドラゴがちょっとカワイイ。

確かに当時のアメリカ人がイメージしていたロシア人を極限までカリカチュアしたようなドラゴは劇画の世界の住人みたいだし、人間ドラマよりも「アメリカ対ソ連」の冷戦バトルを強調した作りは批判されてもいる。 

逆に、この映画から『クリード チャンプを継ぐ男』や『炎の宿敵』 のような続篇が作られたというのが驚きなぐらいで。

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なので、この映画を最近になって初めて観て、「クリード」シリーズのようなドラマ性をあまり感じられなくて映画として物足りなかった、という人がいるのもわからなくはない。

記者たちの前で「ロシアになんか行かない」と言っていたエイドリアンは案の定、その後ロッキーを追ってロシアに駆けつけるし、ストーリーはほとんど観る者の予想通りに進んでいく。

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ボクシングの試合のシーンは迫力があるし観ていて燃えるのは確かなんだけど、明らかに相手の顔や身体にパンチが入ってないのがわかるショットも多くて、この30年ほどの間にハリウッド映画のボクシングシーンがいかに進化したかよくわかる。

今のハリウッド映画ではほんとに当たってる、あるいは当ててるようにしか見えないように撮ってるもんね。よりリアルな描写になっている。

30年という年月はその長さの分だけいろんな感慨を観る者にもたらす。

クリード 炎の宿敵』はまさに『ロッキー4/炎の友情』の別ヴァージョンのような趣きがあって、両者が異なるタイプのボクシング映画だからこそ、その変化が面白いと思うんですよね。

あぁ、こういうふうに物語や登場人物たちに肉付けしたか、と。

スター・ウォーズで例えるなら、『エピソード4 新たなる希望』とスピンオフの『ローグ・ワン』みたいな関係。荒唐無稽で勧善懲悪だった前者とリアル寄りの後者のような。

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「荒唐無稽」といっても、さすがはハリウッドの娯楽映画なだけに、ちゃんと押さえるべきところは押さえている。

復帰を目指してドラゴとの対戦を望むがロッキーに反対されたアポロが言う「人間は簡単には変わらない」という台詞。

自分はファイターとして生きてきた。牙を抜かれたら生きている意味がない、とアポロは考えている。

ロッキーはいつでも慎重でアポロとは対照的な性格として描かれているが、アポロが殺されたあとドラゴとの対戦に臨もうとする彼は、まるでアポロが乗り移ったかのように、やはり反対する妻エイドリアンに同じ言葉を言う。

アポロのキャラクターは演じていたカール・ウェザースの持ち前の明るさや強気な性格が反映されているようだけど(モハメド・アリのキャラクターも取り入れているそうだが)、この映画ではスタローン本人の一面も現わしているんじゃないかと思う。

映画界で成功したこれからも新しい挑戦をしていかなければ、というスタローンの想いも込められていたんでしょう。だから、アポロ亡きあとにロッキーはその精神を受け継ぐ。

アメリカの代表としてソ連と戦うわけではない(星条旗パンツ穿いてるけど)。アポロの仇を討つのでもない。

自分のために戦う。自分との戦い。ロッキーはそのことを自覚している。

試合のあとに、ロッキーはロシアの観客たちにマイクで、二人のボクサーが闘って変わることができた、俺もあんたたちも変われるんだ、と語る。 

「人は簡単には変われない」というアポロの言葉は、ロッキーとドラゴの壮絶な打ち合いの末に覆される。

憎しみやイデオロギーの対立を超えて、互いに力を出し切って闘った者たちだけが成し得るものがある。それはやがて観客にも伝わり、“ロッキー”コールとなって会場に響き渡る。

ロッキーの勝利は観衆を味方につけたことでもたらされたものでもある。

ロッキーという存在はアメリカを象徴してもいるけれど、国境も肌の色も関係なく、底辺から立ち上がろうとしている者たちそのものをも意味している。

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このストーリーの骨子も根底のテーマも、そのまま『クリード 炎の宿敵』に受け継がれている。 

幼い息子のロバートを抱きしめて「お前を愛してる」というロッキーの姿には、『炎の宿敵』での同じ親子の姿を観たあとだと泣けてくる。

今回、久々に『ロッキー4』を観返して、「ロッキー」シリーズにあって「クリード」シリーズにないのはポーリーの存在だなぁ、と思いましたね。

エイドリアンの兄のポーリーは誕生日に新車を期待していたのにロボットをプレゼントされてガッカリしたり(でも、その後気に入って女房代わりにする) 、ドラゴとの試合前にロッキーに「お前は俺をまともな人間として扱ってくれた。生まれ変わったらお前になりたい」と感謝の言葉とキスを贈る。

で、リングのドラゴの迫力を見て前言を撤回するw コメディリリーフとして和ませてくれるんですよね。こういうポーリーのキャラもいかにもあの時代っぽい。

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だから、バート・ヤングが演じたポーリーが『チャンプを継ぐ男』の時にはすでに亡くなったことになっていたのは寂しかった。

ポーリーほどポンコツではないけれど、「クリード」シリーズではロッキーが時折ユーモラスな雰囲気を醸し出していて、シリアスな物語の中でほんのちょっと息抜きさせてくれる。

『炎の宿敵』で30年以上の時を経て再登場したイワン・ドラゴは、『ロッキー4』では感情が見えない無表情から闘う時の敵を見つめる憎しみに満ちた目、そして最後にロッキーに打たれ続けて顔を歪ませてやがてリングのマットに沈んでいく様子がほんとに見どころで、ご飯が何杯でもいけそうなぐらい素晴らしいんですよね。

単に凶悪というのではなくて、誇り高い最強の男だからこそ、そんな無敵にも思えた大男が敗れる姿は、これもまたかっこいいんですよ。ドラゴが「悪役」から弱さや痛みを知る生身の人間に変化していくさまが見られる。

『ロッキー4』人気の一端を担っているのは紛れもなくドルフ・ラングレンだ。

クリード 炎の宿敵』という最良の続篇を得たことで、『ロッキー4』の面白さはさらに増した。

この2本を合わせることで、ロッキーとアポロ、そしてドラゴのそれぞれの物語が美しく完結した気がする。

これだけ長い期間が開いていながら相互の作品を高めあえる正・続篇というのもなかなかないんではないだろうか(日本では『ロッキー4』と同じ年に公開されたトム・クルーズ主演の『トップガン』の続篇が来年に控えているが、さて)。 

 

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ロッキー4

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