映★画太郎の MOVIE CRADLE 2

もう一つのブログとともに主に映画の感想を書いています。

「マッサン」を観終えて

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4月から半年間、BSプレミアムで毎朝(月~土)午前7:15からのアンコール枠で再放送されていたNHKの朝の連続テレビ小説マッサン」を観ていました。

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ほんの少し前には泉ピン子さん演じる義理の母親にイビられたり、「初めチョロチョロ、中パッパ」と一所懸命ごはんを炊いていたと思ったらエリーは空に旅立ち、この半年間が走馬灯のように駆け巡ってもう最終回。

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明日からのエリー&マッサン・ロスが怖い。

「マッサン」は2014年度下半期の本放送時にも観ていて好きでしたが、ちょうど放送中にドラマの舞台にもなった北海道を旅行したこともあってとても思い出深いドラマです。

あいにく余市ニッカウヰスキーの工場には立ち寄りませんでしたが、すぐ近くの小樽には行ったし、もちろんその時にはそこかしこに番組のポスターが貼られていました。

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まだ制作が始まる何年も前に、海外出身の白人女性のヒロイン役を公募していたことを覚えています。

正直なところ、その時点ではなんかトンデモなドラマになるんじゃないかと思っていた。だって外国人を朝ドラのヒロインに、ってまったく前例がないことだったし、「俳優としてのキャリアを問わない」という条件には、大丈夫かな?と。

すでにその前の「花子とアン」も観続けてたから、そのままその新ドラマも観ましたが。

そしたら、ヒロインのエリー役のシャーロット・ケイト・フォックスさんは初めて見る女優さんだったけど演技も堂々としていて安定感があり、“マッサン”こと亀山政春役の玉山鉄二さんとの息もピッタリで、毎朝エリー(と政春)に萌え萌えしちゃうことに。

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こんなにヒロインがみんなとハグする朝ドラは他にないよねw

本放送の時からTwitterのTLで視聴者の皆さんから「ヒロインはマッサン」と言われていたけど、このドラマの主人公はマッサンとエリーの二人で、だから彼らのそれぞれの視点から物語が描かれていて、それがドラマをより奥深いものにしていました。

さて、ちょっと前にプロテニスプレーヤーの大坂なおみさんの全米オープン優勝が話題になりましたが、その大活躍を褒めそやす一方で、相変わらず彼女に対する差別的な発言や「“日本人”かどうか」を云々するような無神経な物言いもあって、心底呆れています。

ほんとに、戦時中にエリー(竹鶴リタさん)が日本で受けた仕打ちから日本人は何を学んできたのだろう。

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マッサンとエリーのモデル、竹鶴政孝とリタ


大坂さんは試合でセリーナ・ウィリアムズ選手に勝ったし、リタさんはニッカウヰスキーの生みの親を支えた糟糠の妻だから今では日本の人々から賞賛されているけれど、 それ以前には彼女たちも差別されてきたんですよね。

そして、今でも差別に苦しんでいる人たちがいる。そのことをこのドラマは静かに訴えている。これは何十年も昔に国際結婚した男女のほっこりする「イイ話」ではないんですよ。

「マッサン」の劇中で、「鬼畜米英!」と石を投げられて怪我をしたエリーのショックで呆然としている表情が忘れられない。

そんな目に遭いながらも、エリーはマッサンに「この美しい日本に連れてきてくれて、ありがとう」とお礼を言うのです。

お礼を言わなきゃならないのは僕たちの方じゃないだろうか。エリー、こんな日本を愛してくれてありがとう、と。そして、酷いことをしてごめんなさい、と。

戦時中に、エリーが海外出身だから、肌の色が違うから、という理由で特高警察にスパイと疑われて家の中まで踏み込まれて狼藉を働かれるシーンには怒りが湧いたんだけど、では今この時代にはそういうことは起こらないときっぱり言い切れるだろうか。

この国は本当に開かれているだろうか。本当に自由な国だろうか。多様性に対して寛容だろうか。

「マッサン」でエリーがたびたび日本の奇妙な慣習に疑問を投げかけたり、戦時中にスパイ呼ばわりされたことは遠い昔の話じゃなくて、“現在”に直接繋がっている。

もちろん、そういうシリアスなことばかりじゃなくて、ユーモラスな登場人物たちのやりとり、「こうあってほしい」人々の繋がりも魅力でしたが。

観てるとウイスキーが飲みたくて堪らなくなるんだよね^_^;

玉山さんはもちろんのこと、“シャロやん”ことシャーロット・ケイト・フォックスさんも今も時々日本のTVドラマや映画にも出演しているし(現在公開中の『食べる女』や来年放送の大河ドラマにも出演)、マッサンとエリーの養女であるエマの幼い頃を演じた住田萌乃ちゃんもドラマでよく顔を見ますね。あれからずいぶん成長したなぁ。

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シャーロット・ケイト・フォックスさんについて感じるのは、そのプロフェッショナリズム。彼女が現在どれぐらい日本語の会話が可能なのか知りませんが、このドラマのために来日するまでは彼女は日本語をまったく喋れなかったし、収録中も英語で書かれたシナリオを読んで内容を理解していたんですよね。つまり実際にはシャーロットさんが演じたエリーのように日本語が堪能ではなかったはず。

でもドラマを観ていると、片言ながらも日本語を話すエリーは普通に他の日本人の登場人物たちと意思の疎通が取れているように見える。日本に何年も暮らしている人のように見えましたよね。

それは凄いことだし、きっとシャーロット・ケイト・フォックスさんはとても耳がいい人なんだと思います(劇中でも唄ってるし、歌のCDも出している)。

彼女の今後のさらなる活躍を願っています。

ほんとに、このドラマとお別れするのが名残り惜しいです。毎朝観ることで一日が始まる感じだったから。 

またの再会を楽しみにして…。


あ…そういえば本放送の「半分、青い。」の方はというと、ヒロインが100均の店で働きだしてからしばらくは頑張って観ていたんだけど、イライラするんでついに観るのやめてしまった。

この15分をもっと有効に使おうと思ったから。おかげで朝からヘンなストレス溜めずに済むようになりました。

心底「途中で離脱してよかった」と思えた感想 

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ここ何年かは朝ドラは最初から最後まで一応観続けてきたんだけど、残念ながらそれはこれでストップ。「ま○」に続いて、現代劇は途中で離脱、というジンクスは破れず。

来月から始まる「まんぷく」に望みを託します。

 

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