映★画太郎の MOVIE CRADLE 2

※2019年の“はてなダイアリー”終了に伴い、2018年9月にブログを移行しました。

「ピーターラビット展」あいにきたよ。


名古屋市博物館でやっていた「ピーターラビット展」に行ってきました。

僕は独身で子どももいないからピーターラビットの絵本を読むのってもう幼稚園の時以来(その後もキューピーマヨネーズのCMではお馴染みでしたが)で、ピーターラビット以外の登場キャラクターとかどんなお話だったのかもまったく覚えていなかったんですが、作者のビアトリクス・ポターによる「ピーターラビットのおはなし」と彼女が残した24冊の絵本、私家版の作品やスケッチ、ノート、手製のポストカードなど、かなりの量の絵や関連の品が展示されていて、挿絵の1枚1枚に絵本の文章も付けられているので、それを読みながら見ていったら2時間半ぐらいかかってしまった。

かなり見応えがありました。

いつものように音声解説も借りて、目と耳から情報が入ってくるので忙しい。

音声解説のナビゲーターはディーン・フジオカ。確か以前テレビでも特集番組やってたような。

あらためてじっくりと見てみると、ビアトリクス・ポターが描くピーターラビットや動物たちの絵って写実的で、漫画やゆるキャラ的なデフォルメがしてないんですよね。


だからピーターはほんとにリアルなウサギだし、ネズミやアヒルやブタにカエルとか、それぞれのキャラクターたちも服は着てるけどみんな解剖学的に正確に描かれている。

実際、ポターさんは動物を解剖したり茹でたり骨格を調べたりして動物のデッサンをしっかりと身につけていた。

不思議の国のアリス」の挿絵みたいな感じもするなぁ、と思っていたら、どうやらポターは「アリス」の挿絵を描いたジョン・テニエルにも影響を受けているようで。確かにペンで細密に描かれたリアルなタッチはちょっとテニエルの絵に似てるかもしれない。

ピーターラビットのおはなし」の本って手のひらサイズの大きさだけど、原画も同じぐらい小さくて細かいのが驚きでした。こんな細かい線でしかも彩色までしてあるって、一体どうやって描いたんだろう。

とても印象深かったのが、どれも小さな子ども向けの絵本なんだけど、わりとえげつない描写があること。

もちろん直接的に残酷な絵はないんだけれど、「肉のパイ」とか、物語の中には動物を殺して「食べる」という行為についての描写が頻繁にあって、主人公のカエルが普通にバッタを食べようとしている絵もあるし、お金のやりとりについても誤魔化しがない。リアリズムなんですね。

殺して食う、というのがごく自然なこととして描かれている。もちろん、殺される側からすれば恐ろしい体験なんだけど、その行為自体はまるで自然の摂理のようにさらりと語られる。

人間のマグレガーさんは彼の畑に姿を現わしたピーターを鍬を振り上げて執拗に追いかけまわすし、踏みつけようとさえする。ピーターは捕まったら確実に食われてしまう(かつてピーターの父親はマグレガーさんにパイにされてしまった)。

昔の童話とかおとぎ話に通じるものがあるんですよ。ちょっと残酷で怖い。

一見擬人化された動物たちを描いた牧歌的で明るい絵なんだけど、あくまでも写実的だからここで繰り広げられる物語はただの絵空事ではないんですね。魔法とか空想的な要素は一切ない。動物の生態をしっかり研究したうえで造形したキャラクターたちを日常的な風景の中に“住まわせている”感じ。

しかもピーターをはじめお馴染みのキャラクターたちは作品を越えて共演するので、ある作品には脇役でピーターラビットが出てきたり、ある作品で脇役だったキャラクターがさらに別の作品では主役を張っていたりする。作品の世界が互いに繋がっていて、どこまでも果てしなく続いているような、ポターが愛し作品の舞台にもしたイギリスの湖水地方に読者をいざなってくれる。

懐かしい気持ちに浸れればいいな、ぐらいの気持ちで見にいったんだけど、いやいや、なかなか面白かったですよ。初めて知ることがいっぱいあった。

リアルリアル、って強調しすぎたけど、でもやっぱり可愛いんですよ。

ピーターラビット以外だと、青いボンネットをかぶってるアヒルのジマイマがお気に入りです。


子どもの頃に読んでたからそんなに大昔の作品というイメージがなかったんだけど、ビアトリクス・ポターは19世紀後半の生まれで1943年に77歳で亡くなっているので、ずいぶん前に書かれた本なんですね。

日本では明治時代あたりから入ってきたけど、当時は日本には著作権についての意識がなかったので平然と盗作されてて、まるでドラえもんに対する「うまい棒」のあのキャラみたいなパチモンくさい絵で作者の名前も付けられずに流通していたみたい。

「ピータロー兎」とか、アレンジを加えられた日本版もいくつか展示されてました。

現在僕たちが慣れ親しんでいるのは1971年から出版された福音館書店版。

僕が小さい頃に読んでいた絵本や児童書が今でも普通に販売されてますが、ほんとに息が長いですよね。

ピーターラビットのおはなし」は今や四世代で読み継がれています。

自分の無知を恥じ入りますが、作者のビアトリス・ポターさんは専門の研究者が世界中にいるぐらい有名な人なんですね。彼女の人生に触れられたことも今回の収穫でした。

ピーターラビットの絵本がまた読みたくなりました。



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ビアトリクス・ポター (福音館の単行本)

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ピーターラビットの絵本 全24巻 贈り物セット

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