映★画太郎の MOVIE CRADLE 2

※2019年の“はてなダイアリー”終了に伴い、2018年9月にブログを移行しました。

『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』


※以下は、2010年に書いた感想です。


幽霊VS宇宙人』や「怪奇大家族」の豊島圭介監督、設楽統(バナナマン)主演『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』。2010年作品。

原作は北尾トロの同名エッセイ。

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映画プロデューサーから「愛と感動の裁判劇」のシナリオを書くように命じられた主人公は、取材のために裁判所に通ってさまざまな裁判を傍聴することになる。


長ったらしいタイトルなんで、チケット売場で「え~っと、裁判長、え~っと…」とモタついてるうちにとっとと発券されてしまったのだった。

前からちょっと気になってた作品。

まぁ、裁判員制度導入でタイムリーな題材*1でもあるし。

ちなみに2009年にすでに同じ原作をもとにドラマ化されてるけど、そちらは未見。

しかもあちらは主人公が途中で裁判員になる、という話だそうだけど、今回の映画版では主人公は一貫して傍聴人のままで登場人物もストーリーもまったくの別物ということ。

裁判を扱った映画というと、3年ほど前に観た周防正行監督の『それでもボクはやってない』を思い出す。

それでもボクはやってない』(2007) 出演:加瀬亮 役所広司 瀬戸朝香
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あの映画は周防監督の持ち味だった『ファンシイダンス』や『シコふんじゃった。』、そして『Shall we ダンス?』などに見られた独特の間とコミカルな要素を一切排除したシリアス劇として作られてたのが新鮮で、内容も見ごたえあったけど、今回の豊島監督の『裁判長!~』はなんとなくかつての周防監督が撮ったらこんな感じだったかも、と思わせられる作風。

もっとも、周防監督ならもっとキャメラワークに凝って登場人物たちのキャラも立たせただろうけど。

劇中で主人公が想像する安〜い実話の映画化予告篇風映像『裁判長!愛することは罪でしょうか』なんか、現実に当てはまりそうな作品がいっぱいあってなかなかステキな皮肉。

ここだけもっと極端に豪華キャストだったらさらに効果的だったんじゃないかと。

冒頭の「リアル小学生日記」なんかほんとに作ってもいいんじゃないかな?ゴールデンタイムに放送するのは難しいだろうけど。

交通事故の状況を説明するヴィデオの内容がブラックすぎて思わず吹き出してしまった。

随所に流れる「でぃんでぃん~♪」というどっかで聴いたCMみたいな曲が耳に残る。

傍聴中に美人女性検事に言葉責めされてる(という妄想に耽る)うちにだんだん気持ち良くなっちゃう主人公に妙に共感したりなんかして。


検事役の片瀬那奈も凛々しくて綺麗だったけど、個人的には弁護士事務所の場面でわずかに登場する『春との旅』(感想はこちら)のガニ股少女、徳永えりがよかったな~。

たしかに、すでに観た人の「裁判長!ここは2時間ドラマでどうすか」という感想のように、TVドラマでも可能だったとは思う。

ただ、わかりやすいドタバタ・コメディを期待すると裏切られます。

盛り上げておいて……なラストもお約束ではあるし、途中で予想がついてしまった。

主人公のツッコミ・モノローグなどはもうちょっと練ってもよかったんではないかと思うし。

あと、光量不足なのかやたら画面が暗いのが気になったんですが。*2

主人公や傍聴マニアたちが足繁く通い、ときに息を呑みながら見守る数々の裁判は、所詮、自分たちには直接関係ない“他人の人生”。


それを無責任に眺めて愉しむという趣味は、ちょうど自分ではなんのリスクも負わずにネットに好き勝手なことを書き散らす行為にも似ている(僕が今ここでやってるように、ね)。

それを大真面目に批判することもできるけど、そういうことすら作り手はちょっと突き放して見ている感じがした。

だから面白かったんだけど。

今後も僕が自ら進んで裁判所の傍聴席に座ることはないけど、裁判員として参加することになる可能性は誰にだってある。

そして当然ながら、くれぐれも“裁かれる方”にならないように気をつけなければ。


以下は、この映画の脚本家のTwitterでのつぶやき。

NO泣かせ! NO癒し! NO自分探し! NO手料理! NO動物! NO病死! NOタイアップ曲! NOテレビ局! NO香川照之!」…今の日本映画で当たり前の要素が何ひとつ無い、これまでなかったジャンルの映画の脚本を書きました。

これに一番笑った。


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*1:2009年より実施。

*2:作品自体の明るさによるものなのか映画館の映写機のせいなのかは不明。