映★画太郎の MOVIE CRADLE 2

※2019年の“はてなダイアリー”終了に伴い、2018年9月にブログを移行しました。

『インセプション』


※以下は、2010年に書いた感想に一部加筆したものです。


クリストファー・ノーラン監督、レオナルド・ディカプリオジョセフ・ゴードン=レヴィットマリオン・コティヤールエレン・ペイジトム・ハーディ渡辺謙マイケル・ケイン出演の『インセプション』。2010年作品。

www.youtube.com

人の夢の中に侵入することができる産業スパイたちが、クライアントの依頼で彼のライヴァル企業の社長の息子の夢に入り込む。


本題に入る前に、恒例の前置きを失礼。

ノーラン監督作品で個人的に一番好きなのは『メメント』。

メメント』(2000) 出演:ガイ・ピアース キャリー=アン・モス ジョー・パントリアーノ
http://www.youtube.com/watch?v=91QGubnDHSswww.youtube.com

あの映画は作品の構成そのものが新鮮だったし、その後この監督の映画から消えていくユーモアもあったので。

その次の『インソムニア』は、川谷拓三かジャッキー・チェンみたいな人懐っこい笑顔で人を殴り殺すロビン・ウィリアムズ*1が笑えたぐらいで、今ひとつ印象に残ってない。

バットマン ビギンズ』はそれなりに愉しんだけど、ヒーロー物なのにマスクを着けないリーアム・ニーソンには違和感が。『スターウォーズ』の続篇の出演蹴っといて、刀振り回してまた同じよーな役やってんじゃんかと思った。

ヒュー・ジャックマンクリスチャン・ベイル共演の『プレステージ』は、歴史物のように重厚に作ってあっただけに、その「驚愕のドンデン返し」にガッカリ。

そして『ダークナイト』は見ごたえあり、と作品ごとに揺れまくり。そうすると、その次は…?

一方、映画の一観客としてかねてよりレオナルド・ディカプリオに対しては若干の警戒心を持っていた。

まず、マーティン・スコセッシ監督と組んだ『ギャング・オブ・ニューヨーク』も『アビエイター』も「???」だったので。

このコンビの作品は『ディパーテッド』まで劇場で鑑賞したけど、大満足だったのは一本もない。

リメイクの『ディパーテッド』はオリジナルの香港映画『インファナル・アフェア』が面白かったんで普通に観られたんだけど、なんでスコセッシがディカプーを起用し続けるのかいまだによくわかんないし、彼らの作品を誰が評価してるのか、みんなほんとに観たいと思ってるのかとおおいに疑問だった。

いいかげんあの眉間の縦ジワはワンパターンになってないか?という気もするし。

そういいながらリドリー・スコットと撮った『ワールド・オブ・ライズ』も観てたりするんだけど。

そんなわけで、グダグダ文句垂れつつも結局は彼の最近の主演作をわりと観ていたのだが、ケイト・ウィンスレットと『タイタニック』以来の再共演となった『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』はまったく食指が動かず、そしてたまたまタイミングが合わなかったディカプー&スコセッシの第4作目『シャッターアイランド』もパスしてしまったのだった。

だからこの『インセプション』もヘタするとスルーだった可能性もある。

でもまぁ、なんだかストーリーが複雑、って感想や、とにかく面白い!って絶賛系まで反応はさまざまなようだし、『ダークナイト』でかっ飛ばしてたクリストファー・ノーランが馴染みのキャストに加え主役にディカプリオを迎えて何をやらかしてくれるのか、予告篇を観て興味が湧いてきたのだった。

さて、夏休み前の三連休中とあって映画館は大混雑。取れたのは最前列の一番端っこの席というかなり苛酷な環境での鑑賞。

以下、激しくネタバレしてますのでご注意を。


インセプション”とは“植え付け”という意味なんだそうな(ネットで調べると「開始」とか「学位受領」などと出てくるんだが)。

“夢”と“植え付け”といえば、シュワちゃんの『トータル・リコール』を思い出すけど、あながち的外れな連想でもない。

一言で表わせば“もったいぶった『マトリックス』”。

クンフー・バトルはないけれど。

かつて『マトリックス』を観た時に感じた、この現実の世界の平衡感覚が揺らぐ映像体験をふたたび味わったのだった。


“夢”がマトリョーシカのように何層にも入れ子構造になっていて、深い層になるほど時間を長く感じる(実際に経過した時間は短い)、という設定。

夢の中にいる時の不条理な状態をなんとなく受け入れている感覚。それが“夢”だと自分で気づいた瞬間、崩壊していくまわりの風景。


身に覚えがあるだけに、それを具体的にヴィジュアルで見せつけられると圧倒される。

特に無重力状態の描写は、派手さはないんだけど面白かった。

エッシャーのだまし絵的な映像とか、もっといっぱい観たかったぐらい。


とにかく映画の中で描かれる“夢”の設定やルールがやたらと細かいので、それをちゃんと理解しようとすると混乱してくる。

本作品のヒロイン、エレン・ペイジは『X-MEN ファイナル・ディシジョン』でヴィニー・ジョーンズに「俺はジャガーノートだ、ビッチ!!」と言われながら追っかけっこしてたのを憶えてるぐらいで、『ジュノ』をはじめ他の出演作をすべて取りこぼしてるのが残念。*2


とても可愛く見える時となんとなくサルっぽい時と極端に顔の印象が変わる女優さんだな、と。

騙されてるのに妙によく働くスケアクロウキリアン・マーフィがなんだか可笑しかった。

なんかトム・ベレンジャーにソックリなオッサンが出てるなぁ、と思ったらご本人だった。…えぇっ!あれマジでベレンジャー!?『プラトーン』や『メジャーリーグ』、『山猫は眠らない』の?…おじいちゃんではないか。歳食ったなぁ。

そんな感じで面白く観ていたんだけど、困ったことに途中で久方ぶりに猛烈な睡魔が襲ってきて、ところどころ目のフォーカスが合わなくなって意識が遠のいた。

いかん、俺が夢の中に入っちまう。

しばらくして波がおさまったのか、眠気は吹っ飛びましたが。

夢から覚醒する時にエディット・ピアフの曲を流すのは、ディカプリオの妻を『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』の主演だったマリオン・コティヤールが演じてるからだろうか?意味はよくわからんが。

夢に潜り過ぎておかしくなったコティヤールと彼女のことが忘れられずにミスを連発するディカプリオは他のキャラクターたちの足をひっぱりまくりで、「お前らのせいで仲間が危険な目に遭ってるんだろ!」とけっこうイライラさせられたんだけど、でもこの互いに求め合いながらもはや一緒になることは叶わない二人を観ていたら、なんとなくバットマンキャットウーマンの関係を思い出した。

ダークナイト』の続篇『ダークナイト ライジング』(感想はこちら)では、キャットウーマンアン・ハサウェイが演じましたが。

そしてラストはやはり『トータル・リコール』と同じ終わり方。

“難解”だとは思わない。多分ストーリー自体はシンプルなはずだから(だって、ターゲットを心変わりさせることだけが目的なんだし)。でも正直、一回観ただけでちゃんと内容を理解できたかどうかは疑わしい。最後までノリだけで観てました。

橋からダイヴする車の中で手足をブランブランさせながら、あるいは部屋やエレベーターの中でプカプカ宙に浮きながら爆睡してる主人公たち“夢の中のスパイ”の無防備な姿が妙にカワイイ。


自分の頭の中でもあんなふうに寝ているうちに大勢のお兄さんたちが、まるで靴作りの妖精みたいに必死に働いてる姿を想像するとなんだか笑えてくる。

エンドロール中に隣の席のにぃちゃんたちが互いに「デジャヴ」がどーたらこーたらとず〜っとストーリーを確認し合ってた。こちらは“デジャヴ”なんて単語が出てたかどうかも憶えてないんだが(もしかしてトニー・スコット監督の『デジャヴ』のことか?)。

それにしても、この映画がシナリオの段階で出演者たちは内容を想像できたんだろうか。

いやぁ、脳が疲れた。

ともかく、ノーラン&ディカプリオのコンビ作第1弾ははまずまずの成功といったところでしょうか。おみそれいたしました。

レオ様はまた強力な味方を手に入れましたな。*3

ノーラン監督がたとえばフィリップ・K・ディックの小説を映像化したらどんな映画が出来上がるだろう、などと夢想すると愉しい。

それでは今夜も“映画のような夢を”。


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*1:ご冥福をお祈りいたします。

*2:その後、DVDで『ローラーガールズ・ダイアリー』(感想はこちら)を、また映画館で『スーパー!』(感想はこちら)や『ローマでアモーレ』(感想はこちら)、『X-MEN:フューチャー&パスト』(感想はこちら)を鑑賞。

*3:ノーラン監督は最新作『インターステラー』ではマシュー・マコノヒーを主役にキャスティング。レオ様との第2弾はまだない。