※以下は、2008年に書いた感想です。
遺産でダサダサの喫茶店を始めることにした父親と娘の悲喜こもごもな毎日。
照りつける日差しの中、スコールを浴びたように汗だくになって映画館へ。
日曜ということもあって盛況である。やはり若いカップルの客が多いけど熟年層もけっこういる。
主演の仲里依紗はアニメ『時をかける少女』の男の子みたいに元気なヒロインの声が印象的だったけど、『ガチ☆ボーイ』では知らずに「妹役の子がイイなぁ」と思いながら観てました。
今回の『純喫茶磯辺』、最初、宮迫博之と仲里依紗は兄妹役だと思ってたら、なんと父娘役。離婚した母親役は濱田マリ。親、若っ。う~ん、でもまぁそろそろこういう設定もアリなのかなぁ。
以下、ネタバレあり。
昔、喫茶店に勤めてたことがあるので、やってくる客の生態や店の雰囲気(あそこまでシブくはなかったけど)が妙にリアルで懐かしくもイヤ~な気分に。
どうもここんとこ美少女サイボーグが未来からやってきたり(※『僕の彼女はサイボーグ』)宇宙毛玉が奇跡を起こしたりするような(※『ミラクル7号』→感想はこちら)映画ばっか観てるせいで、現実離れしたマンガっぽい小ネタを無意識に期待してしまう自分がいたりする。
この作品も、イイカゲンな父親や妙な客たちが繰り広げるオーヴァーアクトなドタバタで笑わせるのかと思って口元緩めていると、娘と客の一人との観てるこっちが「早く逃げて~!!」と叫びたくなるショッキングなエピソードあたりからじょじょに話がアダルトな方向に。
そしてバイト店員の麻生久美子を巡る親子のいさかい。
麻生久美子はちょっとワケありな女性を演じるのが巧みな女優さんだけど、今回のスキがあるように見えて深入りするとけっこうやっかいな女性も…あーゆうヒトって実際いるんだもんなぁ。
さすがに時給800円のサ店のバイトであのコスプレはないと思うが…。
コスプレといえば、これはまさに麻生久美子の足を観賞する映画。あと角野卓造の太腿も拝めます。…って卓造じゃねーよっ。
仲里依紗もコスプレは頑なに拒みつつ自然体の女子高生を好演。次第に不機嫌になっていって、ついに麻生久美子にキレるとこなんかも巧いなぁ、と。
腹抱えて爆笑するようなギャグがあるわけじゃなし、ラストも別にハッピーエンドじゃないんだけど後味は悪くなかったです。
過ぎ去ってみれば切なくもある、ひと夏の思い出。
とかく人生はままならない、ということをわざわざ劇場まで確認しに行くのもなんだかなー、という気持ちや、観終わってヘコんだまま帰路につくのがツラい、ってのもあって、ガチでヘヴィな内容の作品はおのずと避けてしまう傾向があるんですが、この作品はそんな深刻な話じゃないし、笑いも適度にまぶしてあってほんの少しビターな味わいのある映画でした。作り手の登場人物に対するつかず離れずな距離感がよかった。
アトラクション・ムーヴィーにちょっと食傷してきたら、こういう映画を観るのもいいかも。
映画館を出ると、若干日が傾きかけて暑さもだいぶマシになっていた。
「おいにいコーヒー」もいいけど、とりあえずビールが飲みたいな、と。