映★画太郎の MOVIE CRADLE 2

※2019年の“はてなダイアリー”終了に伴い、2018年9月にブログを移行しました。

『ブロンソン』


ドライヴ』のニコラス・ウィンディング・レフン監督、トム・ハーディ主演の『ブロンソン』。2008年作品。

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イギリスの実在の服役囚マイケル・ピーターソンの半生を描く。盗みと暴力沙汰をおこし収監されたマイケルは、自分が唯一得意とする“暴力”によって刑務所でも問題をおこしつづけるが、あまりに手がつけられないため精神病院に入れられてしまう。


以前からトム・ハーディ主演のすさまじい暴力映画がある、ときいていたので楽しみにしていた。

ただ日本ではいっこうに劇場で公開される気配がないため、いつ観られるのかわからなかった。

それが最近DVDになったようなので借りてきました。

まず、監督が昨年劇場公開されて観たライアン・ゴズリング主演の『ドライヴ』(感想はこちら)の人なので、ふつうの作品ではないだろうな、という予感はしていた。

んで、どうだったかというと、たしかに暴力は描かれてるんだけど、いわゆる暴力描写のすさまじさで観る者を圧倒するような作品ではなくて、もちろんアクション物でもなかった。

トム・ハーディがフルチンで暴れるヴァイオレンス・コメディでした(^_^;)

まぁ、コメディつっても誰もが笑えるかどうかはわかりませんが。

以下、ネタバレあり。


題名の“ブロンソン”という人名からどうしても「ブロンソンならこう言うね by みうらじゅん」「う~ん、マンダム」のチャールズ・ブロンソンを連想してしまうが、どうせ無関係なんだろうと思っていた。

そしたら主人公のマイケルがいきなり冒頭から「俺の名はチャールズ・ブロンソン」と名乗りだすんで「あ、ブロンソンに感化されたバカの映画か」と思ったんだけど、ツルッパゲのマイケルはホンモノのチャールズ・ブロンソンとは(ふたりとも口ヒゲがあるぐらいで)外見は似ても似つかないしなんの接点もなく、殴り合いを見物させて稼ぐときに強そうなので名前を拝借しただけだったことがわかる(最初、マイケルが“チャールトン・ヘストン”にしようとすると、「屁みたいな名前だ」と却下される)。


本物のチャールズ・ブロンソン


この自称“チャールズ・ブロンソン”が、もうキガイとしかいいようがないほど凶暴。

有名になりたいがほかに特技がないので、とりあえず(枝豆注文するよーなノリで)警官や看守、看護師たちをぶちのめしまくる。

よってたかって袋叩きにされて独房にぶちこまれたり拘束されたりするが、しばらくおとなしくしてて隙をみてまた暴れだす。

そのくりかえし。

ところどころ主人公による解説が入るのだがこれがまた常軌を逸していて、スキンヘッドにスーツ姿で顔を道化師のように白塗りにしておどけてみせたりする。


ダークナイト ライジング』(感想はこちら)を観てトム・ハーディが演じた悪役ベインに物足りなさを感じた人は、これを観てみるといい。じゅうぶんすぎるほど狂ってるからヘ(゚∀゚*)ノ

こっちの方がよっぽどバットマンの悪役っぽいんだが。

なんかこの映画のトム・ハーディは笑ってる顔がちょっと若い頃のデ・ニーロをおもわせる。


ものすごい笑顔だったのが一瞬で真顔になるとことか、大笑いしてしまった。

暴力をふるうタイミングが読めないので意表を突かれるし(そのうち慣れてくると「くるぞくるぞ」って感じになる)、表情の作り方や身体の動きがどこかコミカルなのだ。

しかもこの人、なにかやらかすときには何故か素っ裸になる。

あんな無防備なかっこうで殴りあったら金的が危険極まりないと思うんだが、身体じゅうに色塗ったりして、気合いでも入れてるのか?

かくして画面にはトム・ハーディのイチモツをかくしたボカシが乱舞するのであった。


刑務所は居心地がいいので、彼は気の向くままに暴れまくる。

なんでこんだけ大暴れしてても刑務所でまともなあつかいをうけられるのか不思議なんだが。

しかし、さすがにもてあまされて精神病院送りになる。あたりめーだ。

12モンキーズ』(感想はこちら)でブルース・ウィリスが入れられていた精神病院のさらにハードコア版みたいな、自分の排泄物を顔に塗りたくってる患者がいる部屋に入れられたりする。

鎮静剤を打たれて身体の自由もきかなくなる。

けっきょくそこから脱出するために、自分に声をかけてきた無害な患者の首を絞めて独房入り。

そこで26年間過ごす。

そして出所してわずか69日後にふたたび刑務所に舞いもどってくる。

好きになった女性にプレゼントするために貴金属店から指輪をうばったからだった。

その後も看守を人質にとってまたしてもフルチンで暴れたりもするが、意外にも彼には絵の才能があることがわかる(ここでもなんであんな凶暴な男を部屋のなかで自由にさせてるのかわからないんだが)。

マイケルが描く絵は、僕にはなんか気持ち悪いヘタウマ系の落書きにしかみえませんでしたが。

で、芸術的な才能をみとめられてめでたく出所するのかと思ったら、またフルチンで…。

…なんだよこのフルチンの天丼は^_^;


マイケル・ピーターソン改めチャールズ・ブロンソンの両親はごくふつうの人たちで特に家庭が荒んでいるわけでもなく(どちらかといえば息子には甘すぎるぐらい)、なぜ彼らの息子がこんな凶暴になったのか映画を観ているだけではよくわからない。

しかも、ブロンソンがふるう暴力は怒りによるものではなくて、自己表現なのだ。別に相手には恨みはない。

ふるわれる方はたまったもんではないが。

ここまでイカレてるともう善悪がどうとかいうよりも、『プロメテウス』(感想はこちら)のマッチョハゲではないが、なにかまったく別の星の生き物でも見てるような気分になってくる。

トム・ハーディの筋肉フルチン・ショーをただ唖然とながめているしかない。


この男には「やりたいこと」もめざすものもなにもないのだった。

女性から「あなたの未来像は?」とたずねられてもあいまいに笑ってるだけ。

さんざん暴れたあとで刑務所の所長から「なにが望みだ」ときかれても「なにしてくれるんだ?」としか答えられない。

暴力こそわが人生。

1952年生まれのマイケル・ピーターソンは、この映画の公開当時はまだ服役中だったんだそうな(現在どうなのかは知りません)。34年間の服役中30年間を独房で過ごしたという。

これこそ塀の中の懲りない男…。


マイケル・ピーターソン(本人)


劇中やエンドロールで流れるのが『ドライヴ』と似たような感じの曲で、この監督はああいう曲が好きなのかしら。

僕も嫌いではないですが。

しかし困った映画だったな~。

考えてみればこれは僕がはじめて観たトム・ハーディ主演映画なんだけど、結果的には筋肉ハゲの尻とボカシばかりが記憶に残る作品でした。

いや、別に観たことは後悔してませんが。

あいかわらずヘンな映画撮る監督さんだなぁ、って。

この作品はよくキューブリックの『時計じかけのオレンジ』にたとえられるようだけど、たしかに観てるあいだあの映画がちょっと思い浮かんでいた。

終盤のフルチン活人画の場面なんか、特にそれっぽい。

おなじニコラス・ウィンディング・レフン監督の『ヴァルハラ・ライジング』もそのうち観てみようかな。

トム・ハーディ主演作品では、いまだ日本では劇場未公開、未DVD化の格闘映画『ウォリアー』が観たいです。


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