映★画太郎の MOVIE CRADLE 2

もう一つのブログとともに主に映画の感想を書いています。

『サンタクロース』


ヤノット・シュワルツ監督、デヴィッド・ハドルストン主演の『サンタクロース』。1985年作品。

音楽はヘンリー・マンシーニ。エンドロールに流れる主題歌はシーナ・イーストン

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昔々、木こりのクラウス(デヴィッド・ハドルストン)は、妻のアーニャとともにトナカイの引くソリで子どもたちにクリスマスプレゼントを渡しに行く途中、吹雪に見舞われて立ち往生してしまう。凍えてあわやというとき、妖精の国からやってきた小人たちが現われる。彼らの住みかに招かれたクラウスは、そこでサンタクロースとなって何世紀ものあいだ世界中の子どもたちにプレゼントを配りつづけるのだった。


公開当時、母に連れられて映画館に観に行きました。

サンタクロースが出てくる映画ってこれ以外にも何本もあるんだろうけど、僕がちゃんと観たことがあるサンタの映画は多分この作品だけ。

子どもの頃って観る映画1本1本が今以上に貴重だったこともあって、けっこう印象に残っています。

ただ長いこと観てなかったんで細かいストーリーは忘れてしまっていた。

悪徳社長役でジョン・リスゴー(『猿の惑星:創世記』でアルツハイマーのお父さんを演じてた人。『創世記』の感想はこちら)が出てて、キャンディを食べて空飛んでたっけ。


彼の姪コーネリアを演じた子役のキャリー・ケイ・ヘイムが可愛かった。

歯に矯正器具してたけど、「大草原の小さな家」の女の子とこの子は僕のなかの2大矯正器具ガールだ(^o^)

しかもその当時クラスで好きだった女の子に顔や髪型が似てて、おまけにその子も矯正してたんでよけい気になったんだよね(心底どーでもいい情報)。

なんかあの頃からビタ一成長していない自分に我ながら引くけど。

キャリー・ケイ・ヘイムのフィルモグラフィにはこの『サンタクロース』以降の出演作品がなくて近況もわからないので、もしかしたらわりと早い時期に芸能界を引退したのかもしれない。

子役出身で成長してからも活躍中の俳優さんたちが大勢いる一方、ほんのかぎられた期間だけ映画やTVドラマなどに出てそのまま去っていく子たちもいる。

それが残された作品をいっそう美しいものにしてもいる。

そんなことをつらつら考えたりして。



最初に妖精の国で主人公の前に現われる、ひげが伸びた老エルフはどっかで見た顔だなぁと思ったら、『ロッキー』の老トレーナー、ミッキー(バージェス・メレディス)だった。
あぁそうか、『ロッキー3』でミッキーが死んじゃったんで(あ、ネタバレごめんなさい^_^;)なんとなく中の人も亡くなってしまったような気に勝手になってたんだけど、あの当時はまだご存命だったんだよな(1997年死去)。


監督のヤノット・シュワルツは、この作品の前年にヘレン・スレイター主演の『スーパーガール』を撮っている。
あの映画はクリストファー・リーヴ主演の『スーパーマンIII/電子の要塞』の翌年なんだけど、僕は映画館ではなくてその後のTV放映で観ました。
「スーパーマン」シリーズは大好きなので期待して観たら、けっこうビミョーな作品だった。
悪役をフェイ・ダナウェイ、ほかにもピーター・オトゥールミア・ファローなど出演陣もなかなか豪華だったんだけど、なんかスーパーガールが田舎町で魔女と戦うというよくわかんない話でした。

『スーパーガール』(1984) 音楽:ジェリー・ゴールドスミス 出演:マーク・マクルーア
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主人公の吹き替えを石川秀美(現・ヤックン夫人)が担当していて、その独特の台詞廻し(棒読み、ともいう)がいまや伝説となっています。

でもいつか機会があったらまた観てみたいですが。


そしてシュワルツ監督は引きつづきこの『サンタクロース』を撮ったわけだけど、1978年公開(日本では79年)の『スーパーマン』以来つづいてきたアレクサンダー&イリヤ・サルキンド親子がプロデュースする大作映画はこの作品をもっていったん終了する。

その後、スーパーマンの映画化の権利はメナヘム・ゴーランのキャノン・グループに売られて、87年の『スーパーマン4/最強の敵』という最強の「やっちゃった映画」が生まれることになる。まぁいま観るとそのポンコツ具合が微笑ましくもあるが。

スーパーマン4/最強の敵』(1987) 監督:シドニー・J・フューリー 出演:ジーン・ハックマン マーゴット・キダー マーク・ピロー マリエル・ヘミングウェイ ジャッキー・クーパー
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『サンタクロース』は期待してたほど当たらなかったんだろうか。

製作費125億かけたって話だけど、いったいどこにそんなに使ったんだ。

ずいぶん前にレンタルショップにVHSがあったきりで長いあいだ日本ではDVD化されなかったけど、2012年6月8日にようやくDVD&BD化された。


ただしその内容はというと、正直85年当時観たときもちょっと幼稚な話だったような記憶が…。

たしかに『ゴーストバスターズ』や『グレムリン』の翌年、『グーニーズ』や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(感想はこちら)と同じ年に作られた映画とは思えない古臭さは否めなかった。

でもねぇ、この世の中にはサンタクロースの正体を暴いてやろうと夜なかまで起きてる子と、サンタクロースの存在をずっと信じていたいと願うタイプの子がいると思うんだけど、僕は後者だったので映画館ではけっこう感動したんだよね。


おかげでながらく僕にとって“サンタ”といわれてまずイメージするのは、この映画でサンタクロースを演じたデヴィッド・ハドルストンの顔だった(もうひとつはレイモンド・ブリッグズの絵本「さむがりやのサンタ」)。

ただのひげの長い爺ちゃんじゃなくて、まるで聖人のような(聖ニコラウスだからもとは聖人なんだが)どこか気品のある雰囲気。


ちなみに、ずっと忘れてたけど調べてみたらこの映画の同時上映作品は「トムとジェリー」だったそうです(もしかしたらクリスマスのエピソードかな?)。

トムとジェリー「メリークリスマス」
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その当時「トムとジェリー」はTVでもやってたので、記憶が混ざってておぼえてないのだろうか。


で、さっそく観はじめたのですが。

30分経つか経たないかぐらいで力尽きて停めてしまった。

なにしろはじまって30数分は老夫婦とちっさいおっさんたちしか出てこないのだ。

サンタとからむはずの少年少女がなかなか登場しない。


そんなわけで一気に集中力が途切れてそのまましばらく放置していたんですが、再トライ。

そしたらなんというか、タイミングもあるんでしょうかね。サラッと観れてしまったのだった。

この映画については「懐かしい。大好きだった」という人と「公開当時に観たけどメチャクチャつまらなかった」という人がいるけど、どちらのいうこともわかる気がする。

たしかにいい歳した大人は観つづけるのがけっこうシンドいかもしれないですね。

未就学児童向けぐらいのたわいないお話なので、小学生でも「退屈」と感じる子はいるかも。

でもあの当時のこといろいろ思い出しながら観てたら、じ~んときてしまった。


シーナ・イーストンが歌う主題歌「It's Christmas All Over The World」はあまり知られてはいないようだけど、クリスマスシーズンになると今でも有線で流れてたりします。

公開当時はTVで予告篇とともによく流れていたので(特にサビの部分)、おぼえてる人も多いんじゃないかな。

It's Christmas All Over The World 歌:シーナ・イーストン
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僕はこの歌を聴くとなんともいえない懐かしさがこみ上げてきてたまらなくなる。

まだクリスマスが特別なイヴェントだった頃、教会のクリスマス礼拝に行ったり母親が買ってきた鶏のモモ肉にかぶりついたり(七面鳥は生まれて一度も食べたことがない)クリスマスケーキを切ったり、翌朝の枕元のプレゼントを心待ちにして眠った聖なる夜のことなんかを思い出したりして。

もうあんなふうにクリスマスを味わうことは二度とないのだろうか、と思うとなんともしんみりしてしまうのだけれど。

以下、ネタバレあり。


さて、サンタクロースになった主人公は妖精の国に住んで、そこから毎年世界中にクリスマスプレゼントを配りつづける。

やがて時代は20世紀に。

あまりのハードワークに過労気味のサンタは、小人たちのなかから助手を選ぶことにする。

機械を使って子どもたちに配るオモチャの大量生産をしてみせたパッチ(ダドリー・ムーア)が助手に選ばれる。

得意満面のパッチだったが、機械の故障でオモチャは不完全な出来のまま出荷されてしまう。


サンタはクリスマスに身寄りのない少年ジョー(クリスチャン・フィッツパトリック)と出会い、彼をソリに乗せてやる。

最初は本物のサンタだと信じなかったジョーも、ソリで空を飛びながらいっしょにトナカイの手綱を操るうちに子どもらしい無邪気さを取り戻していた。

金持ちの家に住んでいる、やはり両親のいない少女コーネリアはジョーといっしょにプレゼントを配りに来たサンタと出会い、嬉しさに胸をときめかせる。

クリスマスは無事終わったが、パッチが作った大量のオモチャは不良品ばかりで、サンタのもとに壊れたオモチャの山が返品されてくる。

サンタの助手を辞めたパッチは妖精の国をあとにして、人間たちの世界へ向かう。


不良品の販売で責任を問われ追い詰められていたBZオモチャ会社の社長(ジョン・リスゴー)はパッチと出会い、彼の誘いで空を飛べる魔法のキャンディを開発することに。

さっきも書いたように、ジョーやコーネリアら子どもたちのことはわりとよくおぼえてるのに、実際に映画を観てみると意外と彼らの出番は多くない。

コーネリアの伯父がくだんの悪徳社長だったことがわかって一応登場人物たちの関係がハッキリするんだけど、そこから期待するほど派手な大冒険が描かれるわけでもない。

また、ジョン・リスゴー演じる社長はもっと悪い奴というイメージがあったんだけど、彼が劇中でやる悪事というのは不良品のオモチャを売ってたこととパッチの入れ知恵で「空飛ぶキャンディ」を作ったことぐらい。

映画の悪役としてはかなり小粒のワルなんである。

つねに葉巻をふかしたそのキャラのインパクトほどに暗躍するわけではないのだ。

実はこの人、悪役にもかかわらず劇中で一度も主人公のサンタと対面していないし。

「悪い人」にはサンタが見えない、ってことだろうか。

この社長はパッチに「子どもの頃、自分は悪い子だったのでサンタにプレゼントをもらえなかった」と語っている。


今ならそうやってヒネくれてしまった大人が最後に改心してハートウォーミングな物語として幕を閉じる、といったところだろうけど、この社長は警察から逃げようとしてキャンディを大量に食ったあげく、「助けてくれ~」と叫びながらそのまま宇宙の彼方に消えていってしまう。

それに対して、彼を結果的にそんな目に遭わせた張本人のパッチはまったくお咎めなしで(不良品のオモチャや温まると爆発するというトンデモないキャンディを作って子どもたちを危険に晒したのはコイツなんだが)、最後は妖精の国にもどって子どもたちといっしょに笑いながらメデタシメデタシ。

ん~、ずいぶんと乱暴で雑なシナリオだこと。


映画のなかで何度かクリスマスがやってくるけどふたりの子どもたちがぜんぜん成長してないとか、クライマックスのソリの宙返りがムリヤリすぎる、といった粗さがし以前に、この映画にはたしかに「子どもだまし」といわれても致し方ないところがある。

本当に優れた作品というのは、仮にそれが子ども向けであろうと大人にとっても見ごたえがあるものだし心に訴えかけるものもあるのだが、残念ながらこの映画は根本的な部分に「もしかしたらこれは“やっつけ仕事”なんではないか」と思わせるようなテキトー感が漂っている(125億も使ってるのに^_^;)。

「“いい子”と“悪い子”のリストを作って選別する」という、子どもが観たって疑問を抱きそうな選民的な考え(じつはキリスト教自体がそういう宗教なのだが)をまったくなんの迷いもなく肯定している。

皮肉のつもりならずいぶんと人間を突き放した描き方といえるし、いかにもな80年代的無邪気さや呑気さといえばそういうことなのかもしれないが。

だから作品そのものを真面目に評価しようとすると、その完成度にはおおいに「?」印をつけざるをえない。


なんだか最後の最後にすさまじいケナし方しちゃったけど、ただ、それでも僕はこの作品のことを嫌いになれないんですよねぇ~。

多分、僕以外でこの映画を好きな人たちも同様に、作品そのものだけではなくて、きっとアルバムをめくるようにして自分が子どもだった頃のことを同時に思い出してるんじゃないかな。

鮮やかな色使いのきらびやかな美術、クリスマスソング、そしてサンタや子どもたちの笑顔。

それらを見聞きしていると作品の出来不出来にかかわらずちょっとほっこりしている自分に気づく。

そういう映画があってもいいと思うし、だからこの映画は僕にとってはいまでも大切な作品です。


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