映★画太郎の MOVIE CRADLE 2

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「マリー・ローランサンとモード」展


名古屋市美術館で9月3日(日) まで開催されていた特別展「マリー・ローランサンとモード」に行ってきました。

www.ctv.co.jp


前から申し上げているように、僕は美術だとかモード(流行)にはてんで疎いんですが、ただ母がもともと美術短大の出で若い頃は絵を描いていたので、僕が子どもの頃には実家に美術関係の本だとか画集などが置いてあって、そこにローランサンの絵もあったのでした。

あと、いわさきちひろの絵本なども馴染みがあった。いわさきちひろさんの水彩画はどこかローランサンの絵を思わせますが、いわさきさんは幼い頃にローランサンの絵に憧れていたということなので、やはりどこか繋がりがあるんですね。

正直、僕自身はマリー・ローランサンに特に強い思い入れがあるわけではないんだけれど、日本では人気がある画家だし、彼女の絵と彼女自身については興味があった。

今回マリー・ローランサンとともに取り上げられているのはガブリエル(ココ)・シャネルで、二人は同じ1883年生まれなんですね。そしてともに1920年代、アール・デコの時代に注目されるようになった。


二人はロシアのセルゲイ・ディアギレフが団長を務める「バレエ・リュス」に参加して、それぞれ舞台美術やバレエの衣裳などをデザインした。

20世紀初頭に活躍したファッションデザイナーのポール・ポワレと、その彼のあとを受け継ぐような形でファッション界を席巻したシャネル。そして、ローランサンもまたポワレと接点があった(ポワレの妹、ニコル・ポワレローランサンは親友の仲だった)。

「死んだ女よりもっと哀れなのは忘れられた女です。」というローランサンの言葉は、夫のオットー・フォン・ヴェッチェン男爵との仲がうまくいかなくなった時期に書かれたものだそうで、そういう事情を知らないと彼女の言葉の真意が理解できないですね。

結局、ヴェッチェンと別れたローランサンは、ココ・シャネルから彼女の肖像画を依頼される。

ところが、シャネルは出来上がった絵が自分に似ていないとして受け取りを拒否、ローランサンも描き直さなかったため、結局その絵はシャネルの手に渡らないまま、その後彼女たちが再び交わることはなかった。

「マドモアゼル・シャネルの肖像」

同時代を生きて、その人生をかすかに交差させながらもそれぞれの道を歩んだマリー・ローランサンとココ・シャネル。二人ともかっこいい。

他にもピカソジャン・コクトーなど多くの芸術家たちの名前が出てくる。

「人脈」という言葉はやたらと多用する人がいるのであまり好きではないんですが、でもローランサンがかかわった人々はほんとに多彩で、彼らから影響も受けているし、やがては自分自身の色を発見していく。

僕などがイメージするマリー・ローランサンの絵が、初期の彼女の絵の愛好者たちからは不評だった、というのが意外でしたね。

でも、確かに彼女の画風は変化していて、最初からああいう絵ではなかったんだな。


マリー・ローランサンの絵には「性」的なところが希薄で、男性の目ではなくて女性自身の好みが反映されている、という指摘は確かにそうだなぁ、と思うし、だからこそ女性たちに好まれるのでしょう。

展示会場にも多くの女性が来場していたし、カップルも多かった。男性でも好きな人はいるでしょうが、圧倒的に女性に愛される画家なんだろうと思う。

それは彼女の絵を見ればわかる気がする。


展覧会の最後には、現代になってシャネルのブランドを受け継いだデザイナーによってローランサンの絵からインスピレーションを得た服が発表されて、あの肖像画の受け取り拒否から90年後にローランサンとシャネルが時代を超えて結びついたことが語られていて、ちょっと感動的でした。


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