映★画太郎の MOVIE CRADLE 2

もう一つのブログとともに主に映画の感想を書いています。

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』エクステンデッド版

f:id:ei-gataro:20190227174211j:plain


セルジオ・レオーネ監督、ロバート・デ・ニーロジェームズ・ウッズエリザベス・マクガヴァン、ラリー・ラップ、ジェームズ・ヘイデン、ウィリアム・フォーサイス、エイミー・ライダー、ダーラン・フリューゲル、トリート・ウィリアムズ、チューズデイ・ウェルド、ジョー・ペシバート・ヤングダニー・アイエロジェニファー・コネリー、スコット・ティラー、ラスティ・ジェイコブズ、ブライアン・ブルームほか出演の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』エクステンデッド版(251分)。2014年作品(オリジナル版1984年)。

「午前十時の映画祭9」で鑑賞。

www.youtube.com

www.youtube.com

1920年代、友人の“ファット・モー”の妹デボラにほのかな恋心を抱きながらニューヨークの下町で悪童仲間たちとちんけな犯罪で小金を稼いでいる“ヌードルス”デヴィッドは、ブロンクスから母親と引っ越してきたマックスと知りあい意気投合、 親友となる。地元のチンピラの“バグジー”に目をつけられ痛めつけられて、仲間の一人を殺されて逆襲するヌードルス。やがて成長したヌードルスとマックスはギャングとして本格的な犯罪に手を染めるようになるが、彼らが駅の荷物保管庫に貯めていた金が何者かによって持ち去られる。


この映画は20年ぐらいかもっと前に、VHSヴィデオテープだったかDVDだったかもう忘れましたがレンタルで観ました。日本で最初に劇場公開された205分ヴァージョンなのか、それとも229分の「完全版」だったのかちょっと記憶にないですが。

その頃はすでにレオーネ監督の他の作品は何本も観ていたから、有名な映画であることももちろん知っていた。

観る前はロバート・デ・ニーロが主演だし大恐慌時代が描かれたりすることから、フランシス・フォード・コッポラ監督のゴッドファーザー」シリーズのようなギャング映画を想像していました。

ei-gataro.hatenablog.jp

実際、ギャングも出てきて銃による殺人シーンもいくつもあるから似たような雰囲気はあるんだけど、でも何か違うんですよね。

1本の映画の中で主人公“ヌードルス”デヴィッドの少年期と青年期、そして老年期が何度も行き来するんだけど、たとえば、やはり2つの時代を織り交ぜて描く『ゴッドファーザーPART II』(デ・ニーロは、アル・パチーノ演じる主人公マイケルの父ヴィトの若い頃を演じている)のように字幕で年代や場所が細かく説明されないし、時代の行き来も『ワンス~』の方がもっと感覚的かつ恣意的。

f:id:ei-gataro:20190227194952j:plain

f:id:ei-gataro:20190227194945j:plain

f:id:ei-gataro:20190227194942p:plain


ゴッドファーザー」シリーズはのちに1作目と2作目がTV放送用に年代順に編集し直されたヴァージョンが作られたけど、『ワンス~』の場合はそういう編集はできないような作りになっている(強引に時系列順に並べて編集した短縮ヴァージョンは不評だったそうで)。

1960年代末に初老になったヌードルスが自分に「招待状」を寄こした相手が誰なのか探る、という外枠の中に1920年代や30年代の若かりし日の彼や仲間たちの物語が挟まれるという構成で、ちょうど最近の映画なら『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(感想はこちら)みたいな現在と過去の処理の仕方をしている。

クライマックスで闇の中に消えていくゴミ収集車のテールランプが30年代頃の自動車のヘッドライトに変わり、若い男女が乗ったその車が老いたヌードルスの前を通り過ぎてゆく場面には、ウディ・アレンの『ミッドナイト・イン・パリ』(感想はこちら)の一場面を思いだした。もしかしたら『ワンス~』が念頭にあったのかもしれませんね。

レオーネ監督は同じイタリア系ということもあってかフランシス・フォード・コッポラ監督を多分に意識(コッポラはアメリカ人でレオーネは生粋のイタリア人だが)、というか『ゴッドファーザー』にはハッキリと対抗心を持っていたようで、レオーネの評伝によれば「『ワンス~』は『ゴッドファーザー』とは違うんだ」と発言している。

それでもデ・ニーロという共通する出演者やノスタルジックなギャング映画というジャンルなど、どうしたって両者を重ねて観てしまうし、そうすると観る側の好みによって優劣をつけてしまいそうにもなる。

僕は「ゴッドファーザー」シリーズ、特に『PART II』は結構お気に入りの映画で定期的に観たくなるんですが、前もってお断わりしておくと、残念ながら最初にこの『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(それにしても長ったらしいタイトルだな)を観た時にどうもあまりピンとこなくて、「ゴッドファーザー」級の傑作を期待していたために軽い失望感を味わったのです。

同じような長尺でも「ゴッドファーザー」シリーズみたいに何度も観たい映画ではないな、と。

だけど、今回「午前十時の映画祭」で上映されることを知って、再挑戦のつもりもあったし、レオーネが生前に自らの手で作った229分の“完全版”に、さらにカットされていた場面を加えた251分の「エクステンデッド版」(「午後十時の映画祭」では“ディレクターズ・カット”と表記)ということなので、貴重な鑑賞経験になるだろうからかなり前から楽しみにしていたんですよ。

ここ最近、映画館で作品の鑑賞中にうたた寝しちゃうことが多いので、絶対に眠ってしまわないように気合いを入れて臨みました。

以下、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』と『ゴッドファーザーPART II』の内容に言及しています。未鑑賞のかたはご注意ください。

続きを読む